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第十章・2
食事が終わり、後片付けも済み、准は二階へ上がった。
丞も自分の部屋へ行こうとしたその時、両親に呼ばれた。
リビングのソファに座り、父の言葉に丞は驚愕した。
「丞、出向は3年だったな?」
「うん、そうだけど」
だったら。
「だったら、3年間うちに帰って来るな。それができたら、お望み通り勘当してやる」
「父さん!?」
「盆も正月も。もし俺や母さんになにかあったとしても、絶対に帰らないと約束したら、そしてそれが実行できれば、親子の縁を切ってやる」
母が、補足を加えた。
「他人になる、ってそういうことなのよ。お父さんもお母さんも、関係のない人になるの。解る?」
「母さん……」
そして、3年耐えた暁には。
「准を、迎えに来い。お前に、託してやる」
丞は、言葉を失った。
立ち消えになったと思っていた話を、両親はちゃんと考えてくれていたのだ。
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