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第十章・3

「お父さんとお母さんとで、真剣に話し合って決めたの。あなたたちは、無理に引き裂いても幸せになれないわ」 「ただし3年の間、准に会うことも禁止だ。まぁ、電話やメールはいいだろう」  丞は、深々と頭を下げた。 「ありがとう……。ありがとうございます……!」  油断するなよ、と父は重々しく言った。 「もしかしたら、お前と会えない間に准が他の誰かと一緒になりたい、と言い出すかもしれんぞ」 「その時は、どうするの?」  丞の脳裏に、秀斗の影が浮かんだ。  確かに、可能性は充分ある。  だがしかし。 「そいつから、准を奪い返して見せるよ」  父は、苦笑いした。 「その意気だ」  もう一度両親に礼を言い、丞は二階へ上がった。  そして、自分の部屋ではなく、准の部屋へ入って行った。

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