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第十章・4
「准、大切な話があるんだ」
丞は、先ほどの件を弟に話して聞かせた。
3年間うちに帰ってこなければ、梅宮の家を出ることを許される。
そして、准とずっと一緒に居られるのだ。
「兄さんが、僕の兄さんじゃなくなるの!?」
「そうしないと、俺たちは結婚できないんだよ」
准の心は乱れた。
兄さんがいなくなるのは、寂しい。
3年も会えないのは、辛い。
でも、そうしないと、兄さんとは結婚できないんだ。
ん?
「兄さん、僕、兄さんにまだプロポーズしてもらってないんだけど」
「それもそうだな」
二人、顔を見合わせて笑った。
「准は、秀斗と結婚するのか?」
「解んない。でも秀斗も卒業したら遠くの大学へ行っちゃうんだよね」
僕、兄さんと秀斗、二人から離れ離れになっちゃう。
少し、しゅんとした面持ちの准だ。
そんな彼を、丞は励ました。
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