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第十章・5
「准は准で、自分の道をしっかり進むんだ。フォトグラファーになりたいんだろ? 専門学校へ、進むんだろう?」
「うん。あ、学校は2年で卒業だから、兄さんが帰って来る時と同じになるね」
「迎えに来るよ」
「今のが、プロポーズ?」
ああ、と丞はうなずいた。
「3年後に、結婚しよう」
「兄さん……」
返事は、今でなくていい。
准はまだ、若いのだから。
結婚なんて、考えたこともなかっただろうから。
それでも准は、瞼を閉じた。
丞は、そんな弟の唇に、そっとキスをした。
「兄さんとキスするの、久しぶり」
「そうだな」
今度は、たっぷりと濡れた熱いキスをした。
互いの舌を求めあい、絡ませ、ちゅくちゅくと唾液を鳴らした。
気づくと、准がシャツのボタンを外している。
丞は、それを手で押さえた。
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