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第十一章・7

「准も、ビールが飲める年齢になったんだなぁ」  しみじみと、丞は弟の成長を噛みしめた。 「准は結構、酒に強いぞ。俺より上かもしれん」 「父さん、そんなに飲ませたの!?」  こいつが欲しがるからだ、と父は言葉を濁す。 「母さん、ビールもう一本開けようよ」 「いい加減にしなさい、准。この後、大切なお話があるのよ」  大切な話。  丞も准も、箸が止まった。  それは、もちろんあの話だろう。  丞の勘当と、兄弟の結婚の話だろう。  わずかに緊張の走ったキッチンに、猫のおはぎが入って来た。 「え? 何? ネコ、飼ったの?」 「そういえば丞は、初対面よねえ」  ネコ嫌いの父が、よく許したものだ。  3年の歳月は、自分だけでなく家族みんなを変えたのだな、と今更ながら丞は感じた。

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