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第十一章・8
食事が終わり、家族は揃ってリビングへ移動した。
「丞、よく3年間頑張ったな。約束通り、勘当してやる」
「父さん、ありがとう」
「とは言っても、法的な拘束力はないわ。あなたはいつまでも、大切な息子よ」
「ありがとう、母さん」
一応けじめはつけんとな、と父は咳ばらいをした。
「お前を梅宮の外の人間とみなして、准との交際を認めよう」
「はい」
「あなたたち、結婚するの?」
「そのつもりです」
だが、親戚や知人は呼べない結婚式だ。
世間から見れば、兄弟同士の結婚などただの違法だ。
誰からも祝福される、華やかな披露宴を望んでいたはずの両親には、本当に申し訳ない。
丞はそのことを、心から侘びた。
「いいさ、お前たちが幸せなら」
「二人の幸せが、私たちの幸せでもあるのよ」
「ありがとう。父さん、母さん」
この人たちの息子で、よかった。
今この時こそ、幸せの瞬間だ、と丞も淳も感じていた。
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