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第十二章・4
会食の後両親は家に帰り、丞と准はホテルに一泊だ。
「何か、落ち着かないな」
「ね、兄さん。結納返し、見てみようよ」
新婚気分を味わっていた丞は少し気を削がれたが、相変わらず天真爛漫な准は可愛い。
では、と渡された封筒を開けてみた。
「通帳?」
「いくら預金してあるの?」
通帳を開いた二人は、驚愕した。
高額過ぎる。
いくらなんでも。
「あ、手紙じゃないかな。それ」
通帳と一緒に入っていた白い便箋には、母の文字で温かな言葉が書かれていた。
『いずれは二人分の結婚資金と思って、貯めていたお金です。遠慮しないでください。でも、無駄遣いはダメよ』
「母さん」
「何か、じんと来るね。こういうの」
後で何か二人に贈物をしよう、ということにして、通帳はありがたく受け取ることにした。
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