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第十二章・8
いろいろと語りあかしていたら、いい時刻になっている。
「ね、兄さん。そろそろ寝ようよ」
「ん? うん。そうだな」
寝る、とは言っても、もちろんぐうぐう眠ってしまうわけではない。
先ほど准が言ったように、初夜を迎えるのだ。
「えへへ。何だか緊張してきちゃった」
「俺もだよ」
その前に、と丞は准の手を取った。
「准、もう俺のことを『兄さん』と呼ぶのはやめて、『丞』と言ってくれないか?」
「え!? じょ、丞!?」
そうだった。
兄さんは、兄さんだけど、もう兄さんじゃないんだ。
「俺はお前のパートナーになったんだ」
「兄さ……、丞」
「それでいい」
にっこり笑って、丞は准に温かな口づけをした。
「……」
普段なら、すぐに甘い声で喘ぎだす准が、やけに静かだ。
唇を離してみると、頬をほんのり染め、濡れた瞳で丞を見ている。
「恥ずかしい……」
初夜を意識する准のバスローブを、丞は優しく脱がせていった。
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