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第2話 出会い②
2日後、あの時と同じようにまた大雨が降った。それに次いで今度は雷もだ。あの子は今どうしているのだろうかと考えながらも仕事の帰りで疲れはてた体にむち打ちながらも俺は家に向かって帰っていた。
「おい、そこで何してる?」
「え…」
戸惑いながら上げたその顔は雨と涙でぐちゃぐちゃだった。
「久しぶりだな。てかそこで何してるんだ?帰らないのか?また風邪引くぞ?」
言い終えた瞬間、雷が落ちた。
それと同時に叫び声が聞こえた。
「ひゃっ…!」
見るとその子は音に怯え、ガタガタと震えていた。
「…もしかしてお前、家がないのか?」
そして、不安げな表情で見つめられた。
「はぁ…もし帰る家がないのなら、俺のところへくるか?」
「えっ…!」
「いや、いやならいいんだ。」
その時、服のそでをギュッとつかまれ、目を潤わせながら懇願してきた。
「お、おねがいします…置いて…下さい…」
「あ、ああ…」
つい成り行きで家に来るかと言ってしまったが、これから先どうすればいいのだろう?過去に何があったのか、今までどうやって生活していたのか、子供が1人消えて警察沙汰にはならなかったのか、学校はどうしていたのか、そしてこれからどうするのか。聞きたいことは山々だか、今は止めておこう。興味本位で聞いてしまっては傷つくかもしれない。
「おーい、先に風呂に入ってきなさい。それからご飯にしよう。」
「あ、はい。」
かといって、何から話をすればいいのかも分からず、時間はすぎていく。食事をしながらでも聞いてみようと思った。
「うまいか?」
「はい…久しぶりに食べました。」
「…いったい何日あそこにいたんだ?」
「わ、分かりません。」
「そっか…。ご両親はどうしたんだ?酷なことかもしれないが 、答えてくれないか?」
「…親は…いません…でも、施設から引き取ってくれた方はいました。」
「その人は何処にいるかわかるか?」
「…わかりません…気がついたらあそこで寝てましたから…」
「じゃあ、捨てられたってことか…?」
気がついた時にはもう遅かった。その子の顔にはすてに、涙が頬を伝って流れていた。
「わ、悪かった…無神経なこと言って…」
「あ、いいえ…そんな…こと…」
「……。」
そう言った後、涙が溢れんばかりに流れていた。俺は無意識にその子に寄り添い抱きしめていた。
「本当に悪かった…辛かったんだよな…思い出させて悪かった…もう泣くな…」
「ぅぅぅ…ぐすっ…ひっく…」
「よしよし、大丈夫…」」
そしてそのままその子を抱きかかえ、布団に入った。安心したのか、吸い込まれるようにして眠っていった。
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「ちょっと聞いていいかな?名前は何て言うんだ?」
俺は朝食を食べている最中に話しかけてみた。
「え…?」
「ああ、いや…何て呼んでいいかわからないからさ…」
「桐ケ谷…陸…です」
「陸…陸くんだね。俺は黒瀬霞。呼び方はなんでもいいよ。」
「…か、霞さん…で…」
「ん」
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