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第3話 拉致①
迷子(?)だった陸を、警察の届けなしに家に置くことに不安を感じ、一度電話してみることにした。数分程度話た後に受話器をおいた。俺が誰と話しているのか気になったのか、隣には不思議そうにみている陸の姿があった。
「陸、今から外出したいんだけど…行けるかい?」
「あ、はい…」
「いいこだ。じゃあ、上着と防寒具持っておいで?」
「うん…!」
もう秋のなり始めだからまあまあ冷え込んできた。俺なりには、かなり寒いけど…。そんなことを思っていると、急に陸がたずねてきた。
「ねえ…何処に行くんですか?」
「ん?お巡りさんのところだよ?」
俺がその言葉を口にした瞬間、陸の顔がこわばった。
「お、お巡りさん…?」
「う、うん…そうだけど…どうかした?」
「や、いやだ…お巡りさん…」
「え、でも…もう着いちゃったよ?入るだけ入ってみない?」
「いや…!」
「そ、そうか…じゃあ外でまってな?ね?」
「や…行かないで…」
「大丈夫、すぐ戻るからね?」
「や…!」
陸の言葉が終わらないうちに俺は署のなかへと入った。なぜ怯えていたのかはわからないが、陸を外で待たせたことを、俺はこのあとすぐに後悔するのだった。
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おねがい…!行かないで…!1人なんていやだ…おねがい…側にいてよ…。言いたくても口から声がでない。そして、そうこうしているうちに霞さんは中に入ってしまった。怖くて入ることもできないから外で待つしかなかった。突然、背後から足音がして振り向くと、口になにかを押し当てられ、僕は意識を失った。全て一瞬のことで、なにが起きたのかわからなかった。
目が覚めたときには両手が縄で柱にくくりつけられていた。この状態で冷静でいられるはずもなく、ただただ怖かった。助けてほしいと思った。
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