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「安心しろ、お前の学費くらい俺がちゃんと用意する」 「だけど、子供でもナイトクラブに行けばお金を稼げるんだって、近所のお兄ちゃん達が言ってた。むしろ、えっと……『ダンショウカン』て所なら、おれくらいの子供が一番稼げるって――」 「飛弦!」  急に皇牙が大声をあげたため、飛弦がビクついて飛び上がった。 「絶対にそんな話を信じるな。そんなのは全部嘘っぱちだ。子供は仕事のことなんて考えなくていい。お前のことは俺が何とかする。全部俺に任せるんだ、いいな」 「で、でもおれ、おれ……」 「飛弦」  俺は皇牙の膝から飛弦を抱き上げ、芝生の上に立たせた。 「ダチュラで働きたいなら、せめて俺くらい踊れるようにならないとな?」 「……亜蓮みたく、おれもチェーン・ストリッパーになれるってこと?」 「ストリップじゃなくてもいいんだ。ダンスには色々な種類がある。カッコイイのも綺麗なのも、本当に色々だ。だけどどんなダンスでも、……踊るのって楽しいんだぞ」  その場で膝を曲げ、軽く二、三回ジャンプする。最後の着地で思い切り芝を蹴り、俺は高く跳躍した。 「わ、……」  そのまま上体を反らし、空中で一回転してみせる。着地にフラついたが何とか誤魔化せたようだ。飛弦の大きな目は更に大きく見開かれ、きらきらと輝いている。……ついでに皇牙の目も。 「すっげえ! 亜蓮、すっげえ!」 「飛弦も練習すればできる。……ああでも、家でやったら危ないから駄目だぞ。毎週日曜、俺が教えてやるからさ」 「本当っ?」 「ああ。踊れるようになれば金も稼げる。学校のことは皇牙に頼って、自分で稼げるようになったら少しずつ皇牙に恩返しすればいい。それが一番良くないか?」 「そっか。……そうだな、分かった! ありがとう亜蓮!」 「踊ったり歌ったり、楽しいことで稼いだ方がいいだろ。『男娼館』なんかで働いたら、酔っ払いのデブッたオヤジとチューしなきゃならねえんだぞ」 「うえ、やだぁ!」 「こんな風にな!」 「あははは! 亜蓮、やだやだ! チューやめて! あはは!」 「………」  気付けば飛弦を抱きしめて笑う俺を、皇牙の青い眼が茫然と見つめていた。

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