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「ずっとここにいてくれるか、亜蓮」 「……皇牙のいない世界には、もう戻れない」 「戻す気もねえさ。お前は俺の傍にいる。この先ずっとこの世界で、二人で……俺達の夢を叶えたい」  汗と涙で俺の頬にへばりついた髪を、皇牙が耳にかける。 「今日、VIPルームでお前が来る前に仕事の話してただろ」  ブロンド美女の姿が頭に浮かんで、俺は少しだけむくれながら「ん」と答えた。 「彼女との打ち合わせで、このアパートの近くに孤児院を建てる話が決まった」 「え……」 「前に飛弦と遊んだあの芝生広場を買ったんだ。あそこを広い庭にして、子供が好きそうなカラフルな外観にして、子供の安全と安らぎを第一に考えた内装にする。風呂も食事も、寝る時も、子供達はもう一人じゃない。好きなだけ遊ばせて、学ばせる。大きくなったら仕事も……勿論ナイトクラブじゃねえぞ」 「………」  俺は皇牙の首に両腕を回し、微笑みながらしがみついた。 「……じゃあ、俺が園長だな」 「馬鹿言え。そんないい役を俺が譲ると思うか」 「外観はカラフルでもいいけど、内装のコーディネートはちゃんとした人を雇ってくれよ」 「俺のセンスを見くびってるだろ、亜蓮」 「そこだけはまだ理解できてないかな……」  視線を合わせて同じ微笑みを浮かべ、俺達は今日何度目かのキスをした。 「ん、……」  浮かせた腰を皇牙が支え、ゆっくりと下からあてがわれる。 「泣いてもいいからな」 「……ん、ぅ」  皇牙のトライバルに強く爪をたてながら、俺は歯を食いしばった。 「あぁっ――!」  涙は痛みのためじゃない。それは皇牙も分かっているはずだ。貫いたまま馴染ませるように動きを止めた皇牙は、俺の腰と背中をしっかりと抱きしめてくれている。 「ふ、う……、っあ……、あぁ」 「脚の力を抜いて、ただしがみついてろ」 「こ、うが……。何か言って、もっと囁いて、……」 「綺麗だ、亜蓮。お前の全てが輝いて見える」 「お、俺は綺麗なんかじゃ……。そんなことを、言えって意味じゃないっ……」 「見た目の美しさだけじゃねえ、亜蓮。お前は内から輝いている」  皇牙の指が俺の左胸に触れる。 「今もここで滾っている情熱。それがお前を美しく輝かせている」 「な、んかそれ、前にも聞いたような……」  小さく笑って、皇牙が俺の鼻先を自分の鼻でくすぐった。 「お前が初めてステージに立った時から、俺の目はお前に奪われていたよ。飛弦とじゃれ合っている姿も、真剣な顔で練習している時も、心から楽しそうに踊っている時も。いつだって俺はお前に惹かれっぱなしだった」 「……ほ、んとに……?」 「見た目だけじゃねえ。お前の内にある人間としての純粋な美しさに、俺は惚れてる」 「………」 「っ、……締め付けんなって、急に……」 「……ありとう。落ち着いた」 「ゆっくり動かすぞ」  皇牙の腰が揺れ始めて、俺は小さく声をあげながらその体を抱きしめた。

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