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「今日の俺は機嫌が良い。何でも言うこと聞いてやるぞ、亜蓮」  さんさんと降り注ぐ太陽の下。俺は汗だくになって両手を膝につきながら、ベンチで休んでいる皇牙に「馬鹿野郎」と呟いた。 「お、俺にだけサッカーの相手させて、……そりゃ機嫌良いだろうよ……」 「サッカーだけじゃないよ、亜蓮。ダンスの練習もするんだから!」 「勘弁してくれ飛弦……ちょっとでいいから休ませろ」  芝生の上で大の字になりめいっぱい陽射しを感じながら、俺は深呼吸を繰り返した。 「おれも寝ようっと! 皇ちゃんも早く」 「昼寝タイムか」  飛弦を真ん中にして寝転がる俺達。見上げた太陽はどこまでも美しく、そしてどこまでも希望に満ち溢れていた。 「皇ちゃん、学校いつ行けるようになる?」 「もうじきだ。楽しみにしてろよ、友達もいっぱい来るからな」 「ほんと?」 「一緒に勉強するステラって子は亜蓮と同じくらいダンスが上手いし、ニコラは俺よりサッカーが上手いと思うぞ。遊び相手にはもう苦労しないだろうな」 「うー!」  テンションに任せて転がった飛弦が皇牙に抱き付き、続いて俺の方へ体を向けて頬にキスをしてくれた。  未来は明るい。  ここからきっと、全てが始まる。 「亜蓮、今日のステージは?」 「あるよ。だけどこんなに疲れてたら、もうへとへとで踊れないかも」 「……ところでさぁ、首のチェーンどうしたの? やめちゃったの?」 「もう必要ないと思ってたら、皇牙がもっと良いのプレゼントしてくれたんだ」  久し振りに首輪を外したからか、肩が、心が、凄く軽い。あの首輪と鎖の代わりに今付いているのは、皇牙がくれた誓いのネックレスだ。 「皇ちゃんの新しい旦那さんになってくれるのっ? 亜蓮、おれの三人目のパパになってくれるっ?」 「色々なことが落ち着いて、時間が出来たらな……」  そう答えたのは、眠たげにあくびをした皇牙だ。 「皇牙」  俺は上体を起こし、飛弦越しに皇牙の肩をちょいと押した。 「今日は機嫌が良いから、何でも言うこと聞くんだろ」 「おう、……?」 「それなら今夜のステージで、最後にさ、……」

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