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第2話
用を足し、トイレから出て来た2人。
「ぜっっったい、さっきのアイツらに言うなよ」
裕太はギッと弘弥を睨んだ。
「さっきのって?」
どこか楽しみながら祐太に問う弘弥。
「お前なぁ...!!!」
思わず声を荒げる祐太。
「分かってるって。驚きすぎてしゃがんじゃった怖がりな裕太くんの事は誰にも言いませーん」
言いながらもやはりニヤニヤと祐太を見る弘弥。
「あんなの誰だって驚くだろ!!!あと別に俺は怖がりなんじゃねぇ!!!」
「まだそれ言うの?」
「いや...そんなダセェ奴って思われたくねぇし...」
「ダセェっていうか...でも誰にでも苦手なもんはあるし別にいいんじゃね?」
弘弥の意外な言葉に思わず彼をじっと見る。
そんな視線に気づき弘弥は口端を少し上げた。
「何?惚れちゃった?」
「全く。つーかそれ結局俺が怖がりだって言ってるようなもんじゃん!」
「バレちゃった?」
「バレちゃったじゃねぇ!!」
思わず弘弥に掴みかかろうとした裕太を軽く交わし、彼を見て弘弥はクスクスと笑った。
相変わらず話は平行線のままで、楽しそうな弘弥を見て段々怒るのも疲れてきたとため息を吐く。
「あ、そうだ」
唐突に弘弥が声を上げた。
どうせ自分をおちょくるネタを思いついたのだろう。何て言い返そうかと考えていると、神妙な面持ちで弘弥が語り始めた。
「理科室、出るんだって」
「は?」
出る?何が?
「七不思議ってあるじゃん。うちの学校にもあるらしくて。真夜中の理科室で何かが這いずり回る音が聞こえるらしいよ」
「..........へぇ」
長めの沈黙の後に絞り出した祐太の声は、どことなく頼りない。
「それが...どうしたんだよ」
「折角だし確かめに行かね?」
「は!?やだよ。俺もう寝たいし」
気持ち早口になる裕太の声。
そんな変化に目ざとく気付いた弘弥がどこか楽しさを含ませながら、彼に問いかける。
「やっぱ怖いんだろ」
ピクッと裕太が反応する。
「だって見に行くだけだろ。理科室まで1分もかかんねーのに...そう考えても仕方ねーよな。あーけどまぁこういうのって無理して行くもんでもねーか...」
わざとらしく言葉を並べ立てる弘弥に、裕太の逃げの選択肢が奪われた。
「......ああもう行けばいいんだろ行けば!!ほんっとお前性格悪いよな」
「どーも」
ガシッと弘弥の腕が裕太の肩に回る。
「褒めてねーよ!!」
ワクワクを抑えきれていない弘弥を横目で睨み、ズカズカと理科室へ向かった。
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