8 / 12

第8話

長い長い時間をかけてようやく弘弥の元へたどり着いた。 求めていたぬくもりが手に触れると同時に弘弥の首に腕を回す。 「ひろ、ひろや…んんっ」 「ゆ…た…んあっ!」 ただしこの間も触手による攻め苦は終わりを迎えることはない。 腕以外の体の自由を奪われ、ただひたすら熱を無理やり高められていく。 「ああ、あっ、あっ…、ね、ひろ、苦し…くるしい…」 「えっ!大丈夫か!?」 弘弥の心配してくれる様子が全身から伝わってくる。 この苦しさをどうにかしてくれるのは彼しかいない。 縋る思いで彼の耳元で言葉を紡ぐ。 「……イき…たい」 彼の腕を、自分の中心へ持って行く。 良く触れるようにと、根本に巻き付くものと尿道を犯すもの以外はそっと離れていく。 「…っ!」 今まで一度もイケなかった裕太のそこは、熱く張りつめていた。 おもわずビクッと震え、手を遠その生々しさに弘弥はざけようとしたが、裕太がそれを許さない。 「んんっ、…あ…弘弥……たすけ、て」 何とか声を絞り出し、じっと弘弥を見て訴える。 耳まで赤くなった弘弥は何かに耐えるようだった。 その時。 「友達が助けを望むのに、無視するのか?」 この空間の元凶である松村の声がした。 松村はゆっくりと二人の元へ歩み寄って行く。 「あ…せんせ…」 「松村!!」 裕太が何かを言う前に弘弥の方から松村に吠え掛かる。 「どうした?」 「どうしたもこうしたもねーよ!!早くこれを…ああっ!」 まるで反論するなとでも言うように、弘弥に対しての攻めが激しさを増す。 「これ、を…ねえ。はは、楽しんでいるようで何よりだ」 松村が弘弥に絡みつく触手をそっと撫でると、呼応するかのようにその部分が蠢く。 「ちがっ…、ああ…んんっ、早く、外せってばぁ…っ」 だがそんな弘弥の強がりも、松村には効果は無い。 むしろ楽しそうに二人の痴態を眺めているだけだ。 「気持ちいいことに嘘を付いちゃいけないだろう…なあ、裕太君」 松村は裕太の顎を掴み、自分の方へ向けさせた。 彼の頬は上気し、目に涙を溜め、吐息は熱い。 その”美しい”姿にますます笑みを深くする。 裕太は松村をぼんやりと見た後、そっと口を開いた。 「せんせ…」 「ん?」 「イ…イきたい…イかせて…っ」 体が熱くて熱くて仕方がない。 早く、体の中で渦巻く熱を解放したい。 ラクになりたい。 永遠と、終わりのない攻め苦を味わい続けているせいで、裕太はイく事以外考えられなくなっていた。 「イきたい?」 「うん」 「じゃあオレにキスしてみてよ」 「うん、うん、キス、…するからぁっ」 不敵に笑う松村に裕太は気付かない。 いつの間にか松村の手は裕太の顔から離れていた。 裕太が涙を零しながら叫び、自ら松村の顔に手を添えようとした時。 その手を遮り、弘弥が裕太にキスをした。

ともだちにシェアしよう!