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第9話

「ふっ、ん、ちゅ…んん、ぁ…んっ」 突然のことに頭がついていかない。 驚いて逃げる俺の舌を、弘弥のそれが追いかける。 舌の先を甘噛みし、歯列をなぞり、上顎をねっとりと舐め上げる。 全く慣れない感覚に体が逃げようとするが、絡みつく触手がそれを許さない。 「んっ、ふっ、ん、んんっ!」 そろそろ息が苦しくなり弘弥の胸を叩いたことで、ようやく解放された。 「ぷはっ、はぁ、はぁ、はぁ…」 弘弥の胸に寄りかかり、彼を見上げる。 余裕のない瞳と目が合った時、、彼の手が後頭部に周り、ぐっと胸に押し付けられた。 「ちょっ…」 顔を上げて抗議しようとしたが、押さえつけられていてそれは叶わなかった。 代わりに彼の心音に耳を傾ける。 ああ、すごく、安心する……… 裕太の視界から松村を排除した弘弥は、彼を睨みつけた。 「そこまでは許してねえよ」 あからさまな松村への牽制に、こちらを心底軽蔑するような視線に、 向けられた等の本人は何ともゾクゾクとした快感を覚えていた。 「はは…君もいい目をするなあ…」 「その変な笑いやめろ」 「そりゃどーも」 「褒めてねぇ!」 弘弥の怒った顔にクスクスと笑みを漏らしながら、松村は裕太の顔を再び自分の方へ向けた。 「なぁ、裕太君」 「へ…?」 まだまだ顔に赤みを残したままの裕太が、ぼんやりと松村を見る。 「おい………っ!」 松村の行動に前のめりになりかけた弘弥だったが、触手にそれを阻まれる。 「イきたいんだよね?」 松村がそっと裕太の中心を撫でる。 ほんの少しの間、落ち着いたかと思っていた熱がぶり返してくる。 「ああん、んん、イ、イきたいっ!!」 (かぶり)を振って何とか熱を逃がそうとするが、熱はどんどん溜まるだけ。 「でも俺とキスするのは弘弥が許してくれないだろ?だから、君が弘弥をイかせられたら、イかせてあげる」 まるで小さい子供に言い聞かすように、裕太の顔を見てゆっくりと言葉を紡ぐ。 「俺が…?」 「そう…できる?」 「…できる」 そういうと、裕太は弘弥のズボンにそっと手をかけた。 触手も裕太の手助けをするかのように、彼を座らせる。 「ちょ…おい、俺はいいって!」 そんな彼の行動に、肩を押し焦って止めようとするが、裕太の手が止まることはない。 それどころか、弘弥が止めようとするほど、裕太への触手攻めは激しさを増していく。 「ん…んん、ぁっ、お願い、弘弥…イかせて」 涙目で裕太は懇願する。 そんな彼の願いを弘弥が拒否できるはずもなく。 ゆっくりと頷いた。

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