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第10話

裕太はそっと弘弥の中心に手を添えた。 裕太が触れてすぐ、先からは我慢汁がたらたらと零れ、手を汚していく。 「すごい…止まんないね」 「…………っ」 じっと見続けていた裕太が急にそんなことを言うのだからたまらない。 弘弥は内心、早く終わってくれと願うばかりだった。 そんな彼のことはつゆ知らず。 裕太はぎこちない手つきではありながら、ゆっくりと手を上下に動かし始めた。 自分のものをしごく時のように、緩急をつけながら、時折亀頭回りもそっと触る。 我慢汁は溢れてくるが、弘弥がイく気配は一向に無い。 彼の顔をそっと盗み見ても、怖い顔をしてこちらを見ているだけ。 「弘弥…おれ…へた?」 「………っ…」 弘弥の問いかけに裕太からの返事は無い。 どうすればいいのか分からず、思わず涙が出そうになる。 「ゆう…」 「あ~あ弘弥泣かせちゃだめじゃん」 「!!」 そんな二人の様子を近くで見ていた松村が、弘弥の方に腕を回してきた。 「気持ちいい事は我慢しなくていいんだよ」 「お前…っ」 弘弥は松村に凄むが、彼には全く効かない。 「裕太君、それ咥えてみて」 「くわ…?」 「松村っ」 「そしたら絶対もっと気持ちよくなるからさ」 「いい、裕太。お前はそこまでしなくても………っ!」 裕太が口にくわえるのと同時、弘弥の言葉が途切れる。 「そうそう…舌を使って…」 「んん……」 「裏筋から亀頭までゆっくり舐めて…」 松村の言葉に従って、祐也は顔を動かしていく。 脈打つものをもっと直に感じているからか、裕太の動きも激しくなっていく。 「そうそう、上手いよ。あとは先っぽをズッて吸ってみたりとか…」 松村に言われ、先走りごと啜ってみる。 口の中に独特の苦みが広がった。 「うぁっ」 頭上から小さなうめき声が聞こえ、何か失敗したかと思い焦って顔を上げると、 熱い息を零しながら顔を赤くしてこちらを見る弘弥と目が合った。 「ひろや…」 彼と目を合わせようとしても逸らされる。 その代わり、彼の手が髪をそっと撫でてくれた。 その手が嬉しくて、もっと動きを早くする。 裕太の手つきに合わせて裕太の息も詰まってくる。 ――――――その隣で一番の元凶が不敵な笑みを浮かべていることにも気付かずに。 「ははっ、いいねえ。やっぱりこうでないと」 松村はそう呟くと、触手たちにも命令するかのように、楽し気に言葉を放った。 「君らがイけば今夜の宴は終わりだよ。………存分にお客様をもてなそうじゃないか」

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