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第14話

 スパルタ教育をほどこされた結果、内壁はずいぶんと()れてきていた。妖しく蠢く隧道を、戸神は執拗にリコーダーで探る。  吹き口が、を捉えた。そのせつな、ペニスがしなった。 「……ぅ、ぁあ……あ、あぁ……っ!」 「大声を出すのは禁止」  尻たぶをつねってきつつ、戸神はにっこりと笑った。  戸神曰く〝先生のエロ・スイッチ〟。  ちっぽけなボタンに照準を定めて、吹き口で繰り返し突きしだかれるにしたがって、ペニスは蜜をはらみはじめた。  おまけに戸神はスマートフォンを活用する。秘花がリコーダーを深々と銜え込んでいるさまをアップで撮られて絶望感に打ちひしがれ、にもかかわらずペニスは一向に萎える気配がない。  それどころか穂先に露を結ぶ。 「女子の間じゃ〝潔癖症っぽい仁科先生〟のくせに、ワイシャツに変なシミがついちゃったな。お行儀が悪いよ」  くすくすと囁いてくるのとは裏腹に、ペニスを無造作に摑む。  力任せにしごきたてられた。身じろぎすればもぎ取られてしまいそうで、そのくせ痛いばかりじゃない。  仁科は眼鏡をカタカタ言わせながら首を横に振った。プライドをずたずたにされるくらいなら、いっそ殺してくれたほうがマシだ、とさえ思う。  ところが躰は精神(こころ)を裏切る。規則正しく例の粒をつつかれると、甘だるいものが下腹部に満ち充ちる。あまつさえ乳首が独りでにしこり、ワイシャツに淡い影を投げかける。  頭が混乱する。心理的には虫唾が走りどおしなのとはあべこべに、なぜ性感に変調をきたす……? 「やめなさい……やめるんだ」  諄々と諭すように、あるいは哀願するように繰り返す。それでいて巧みなリコーダーさばきでくだんの(さね)に波状攻撃を仕かけてこられると、ペニスは鋭い反応をみせる。  蜜がとろみを増し、教卓の背板に銀色の筋を描くに至っては、人体の神秘と言わざるをえない。  認めたくないが認めざるをえない。自分は、この厭わしい行為に少なからず悦びを見いだしている……。

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