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第22話

   (いただき)が、唇を横に掃く。ぬらりぬらりと輪郭をなぞる。顔を背けようにも、両手でがっちりとこめかみを挟みつけられて果たせない。  だからといって迂闊に怒鳴り返そうものなら、すかさずねじ込まれるに決まっている。尻でいざってできるだけ後ろにずれても、教卓に退路を断たれる始末。  おまけに後孔に刺激を与える形になって、下腹部がざわめいた。  第一、ささやかな抵抗すらも許されない。減点一、というふうに小鼻を力いっぱいつままれて、鼻の穴がふさがった。  手筈を整えてしまえば、戸神はあとは待つだけでよい。いつまで我慢できるかな、と真一文字に結ばれた口に視線を据えて嗤笑を浮かべる。  堪えに堪えて一分強。限界が訪れた。唇の結び目がわずかにゆるみ、戸神はその機を逃さず穂先で朱唇をこじ開けた。 「……ん、ぐっ……!」  自分を犯したイチモツを介しての味を知る羽目に陥るだなんて、男としてこれ以上の屈辱があるだろうか?  独特のえぐみに舌がぴりぴりする。仁科はえずき、頭を後ろに引いて一度は吐き出すことに成功した。  ところが逆に後ろ頭に手があてがわれて、股ぐらに顔が埋もれるまで引き寄せられた。   ペニスは切なげに揺れ惑っていた。それが、上履きの底でやんわりと踏みつけられた。  ひし曲げられて、あやされる。  不合格なら追試があるぞ、と言いたげだ。戸神が腰を軽く揺すった。陽物が口腔の奥行きいっぱいにのさばり返って、奉仕に努めろとせっついてくる。 「……ぅ、あ、ぐ……っ!」  喉を突かれて目を白黒させ、そのぶんも仁科は柳眉を逆立てた。  すると戸神は、からかうような手つきで眉間に触れてきた。肉体を対象に暴虐の限りを尽くしただけでは飽き足らず、精神(こころ)をも蝕む狙いなのか。この狡猾きわまりない生徒は、どこまで増長すれば気がすむのだ。  吐き気をこらえて、くびれに歯を立てた。嚙みちぎってやる……っ!

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