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第26話

   反論の余地は? というふうに眉をあげた。それから、うなだれて唇を嚙む仁科を突き倒した。  返す手で花門に指をこじ入れると、(さね)を狙い撃ちにひと掻きする。 「感度は抜群だけど、自分本位に締めつける癖が減点対象で、五段階評価でいえば二。成績アップといくかは今後のがんばり次第だ」 「採点などしてくれなくても、けっこうだ。言っておくが、戸神。不問に付すのは今回限りだ……ぁ、あぅっ!」    が掌に包み込まれ、宝珠を握りつぶされる恐怖に凍りついた。 「才能を開花させてやるよ。休み時間のたびに俺に跨りにすっ飛んでくるようになるまで、じっくりと」    うそぶき、内奥を今いちどひと混ぜした。ぬめりを帯びた指を朱唇にこすりつけてから、戸神は颯爽と音楽室を後にした。  足音が遠のいていき、やがてあたりは静まり返った。仁科は小刻みに震える指で眼鏡を外すとレンズを磨いた。  白濁が喉の粘膜にこびりついているようで、ともすれば青臭い味が口の中いっぱいに広がる。  口淫で生徒を吐精に導くだと? そんなことは指導要綱のどこにも記載されていない。  菊座はひりひりして、たぶんいくらか切れている。なのに内奥の火照りがおさまらないとは、なんの祟りだ? ペニスにしても、未だにとろとろと蜜をにじませるありさまだ。  自分は性的にかなり淡白なほうだと思っていた。ところが戸神の言うとおり、むごく扱われて悦楽に耽る素質とやらを(そな)えた人種なのか……?  馬鹿馬鹿しい、妄言・戯言(たわごと)の類いにたぶらかされるな。  かぶりを振り、胴体に腕を巻きつけて縮こまった。  戸神は心の聖域を踏み荒らす真似をしてくれた。教え子とはいえ、あんな卑劣漢の言うことなど信じられるものか。

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