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第42話

 次の瞬間には、ぎりぎりと乳首をひねりつぶされるかもしれない。不吉な予感に、かえって神経がすり減る。  仁科は背中を丸めた。ハリネズミがそうやって外敵から身を守るように、ますます縮こまった。  もっとも逆効果だ。局部を摩擦する形になれば、浅ましいことにペニスがしなう。  と、キューを出すように戸神がパチンと指を鳴らした。仁科は、つられて顔をあげたとたん息を呑んだ。  什器の類いは新校舎の調理室に移し終えるか処分ずみだ。だが、いくつかの品が収納棚に残っていたとみえる。  戸神は、その中でも利用価値があると判断したものをより分けておいたらしい。  を。  貴明、と猫なで声で囁きかけてきながら、戸神がすりこぎをついばんだ。瞳が悪戯っぽくきらめくさまから、企みが透けて見えた。  すりこぎの使い道は、どうせろくなものじゃない。仁科は両足を交叉させて、かかとで菊座を隠しつつ、ワイシャツの衿をかき合わせた。  戸神がすりこぎを手に歩み寄ってくれば、奥歯がカチカチと鳴る。にもかかわらずペニスはうなだれるどころか張りつめていくとは、どういう魔力が働いているのだ?  戸神がもう半歩、迫りくる。五徳をはね飛ばす勢いで後ろにずれた拍子に、バランスを崩して床に転げ落ちそうになった。  咄嗟に足をくの字に立てぎみに、斜め後ろに手をつく。   執拗に殻割り器でひしがれた結果、乳首はぷっくりと膨らんでいる。その乳首を摘み取ってほしげに胸がせり出すが早いか、揉みつぶされた。  パッと上体をひねって手をよけると、五徳が尻たぶにめり込んで躰がなおもぐらつく。飛び離れるようにして作業台のスペースに戻ると、自ずと大股開きに秘処があらわになった。  すりこぎが、ふぐりの下にすかさず押し当てられた。  蟻の門渡りと呼ばれるルートを這い進み、蕾に行き当たると、さっそく襞をかき分けにかかる。  すりこぎは古びて、ささくれている。棘が襞に刺さりそうで、仁科はすがりつくような眼差しを戸神に向けた。  だが黙殺されたにとどまらず、進入角を測るようにすりこぎが円を描く。

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