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第48話
戸神にとってはこれも下ごしらえの一環で、編み目状に肉が削 がれるような痛みに悶え苦しむ仁科の姿が、さしずめチャーシューができあがった図なのか。
仁科は思った。肩透かしを食わせるには、勃たせないのが一番だ。
しかし戸神は抜け目がない。乳首の感度を高めておいたのも乾物を水につけて戻すのと同じ原理で、いわば先行投資だ。
おおかたの男性の乳首がそうであるように、仁科のそれも人体のパーツのひとつにすぎなかった。ところが殻割り器でこねくり返された結果、今ではワイシャツがこすれる程度の刺激でこりこりになる状態にある。
折しも乳首を捉えた指が、可憐な粒を濃やかにすりたてる。
「……っ、う」
タコ糸の締めつけぐあいが微妙にきつくなった。朱唇がうっすらと開き、呻き声ともあえぎ声ともつかないものがこぼれ落ちる。
戸神が嵩にかかって両の乳首を揉みつぶす。つまんで、ひねって乳暈に押し込んでと、さんざん玩具にしたあとで学生ズボンをくつろげた。
「さあ、こいつにご挨拶だ」
ぐいと頭を引き寄せられて、つんのめった。草むらが頬にくすぐったい。
若い雄の香りにくらくらとした瞬間、股間に顔がうずもれるまで頭を押さえつけられた。
眼鏡がずれて鼻がひしゃげた。三分勃ちという段階にある陽根は、眠れる獅子を髣髴とさせて勇ましい。
仁科は思わず、ぎゅっと目をつぶった。
力任せに貫かれたさいのあれやこれやが、脳内のスクリーンにコマ送りで映し出される。戸神は人でなしだ。仁科を手折りおおせるが早いか自分のペースで抜き差しを刻みはじめたのが、その証拠だ。
性奴の心得というものを説くにあたって情けは無用。
それが、この一筋縄ではいかない教え子の行動論理であり、冷然と実行に移す。
痛かった、と呟くと腰がもぞついた。そろりと上目をつかうと視線がぶつかり、面白がる目つきにあわてて睫毛を伏せた。
と同時に尻たぶを打ち叩かれて以来、しつこく悩まされている内奥の疼きが強まって、タコ糸がまたいくぶん締まる。
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