「む……んん、ぐぅ……っ！」 　股ぐらに顔面が埋もれ、その状態で腰を打ち振られると、口腔はおろか食道のその先まで戸神に占領されるようだ。 「う……ん、むぅ……っ！」 「フェラの奥義、その一。舌づかいにメリハリをつける」 　めちゃくちゃに揺さぶられて眼鏡が躍り、こめかみにフレームがぶつかる音が頭蓋に響く。そのたびごとに視界がぼやけては鮮明になることの繰り返し。 　舌を丸めて尖塔を押し返すと、やわやわとノックされる感触が気に入った様子で、腰づかいに加速がつく。 「ん、んん、ぅ、んんー、んん……」 　じゅぶ、ずちゅ、と猛りがせわしなく出入りするのにともなって陰嚢(いんのう)が餅をつくようなリズムで顎を打ち叩いていく。 　唾液が鼻に逆流する。仁科は、たまらず屹立を吐き出した。 「んーん、んん……ぅう、くぅっ！」 　ぐいぐいと乳首を引っぱられるとともに、再び押し入ってきた陽根に悲鳴を封じられる。乳首が鬱血すればするほど、タコ糸はじっとりと湿る。 　生き地獄に等しい時が終わるのを望んでいるのか、手ひどく扱われるにやぶさかでないのか、それすらアヤフヤだ。 「……む……ぉ、ん、んっ！」 　窒息する、と恐れおののくほどの奥深くまで喉を犯された。咄嗟に頂(いただき)を舌でひと掃きすれば、とりわけ感じやすいポイントを偶然捉えた。 　頭上で微かな呻き声が洩れた。と同時に、戸神が藪から棒に腰を引いた。 　身を乗り出して口淫にいそしんでいたところに、支えを失った形だ。仁科は、からくも天板に手をついて調理台から転げ落ちるのを免れた。 　本来なら急に動いた拍子にワイシャツが翻るはず。ところが点々と散らばるいかがわしいシミが接着剤と化して、ワイシャツの裾は逆に秘部に張りつく。 　それを見て、戸神がくすくすと笑った。 「先生のくせして、おもらししちゃった？」 　仁科は正座に膝をたたんだ。ワイシャツをかき合わせるのももどかしく、両手で股間を覆い隠す。 　だが、我知らずほろ苦い雫に舌鼓を打ったツケがここで回ってきた。今さらめいてむせて、咳き込んでいるところを狙ってペニスをむずと摑まれた。