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第71話

「……ぅ、ん……」  さんざん道草を食ったすえに、指がようやく蕾にたどり着いた。仁科は天板に上体を伏せて安堵の息をついた。  ところが剝ぎ取られたの大きさは、ほんの豆粒程度だ。しかも、ひと仕事終えてやれやれとばかりに戸神は両手をはたく。 「生殺しにするのは、楽しいか……」  首をかしげてみせる仕種が、それに応えた。ムッとしながらも、花芯に指を入れてとろろをかき出してもらいやすいように、なおも足を開く。  指がおざなりにぐるりを掃き、もうひと搔き分のとろろの薄片が、ひらりと舞い落ちた。  皮肉な話だ。仁科を奈落の底に突き落とすのが戸神なら、〝蜘蛛の糸〟を垂らすのも戸神なのだ。  拝み倒して、少しずつとろろをこそげ落としてもらえるという展開に、地団太を踏むようだ。  焦れったさに瞳が潤む一方で、菊座は指を銜え込もうとするように盛んにひくつく。仁科は、いつしか欲も得もなく腰を揺すりたてていた。  ついに指がギャザーをめくりにかかった。まだか、まだかと鼓動が速まり、ほっそりした下肢にさざ波が走る。  とろろをかき落としながら指が陰門に分け入り、第一関節まで沈んだせつな、 「……ぁ、あ」  悩ましい吐息がこぼれて、天板の曇りをふき取った。  ぽたりぽたりと蜜がしたたり落ち、調理台の真下にたまっていた埃をうがつ。 「あぁあ、ちょっといじってやったくらいで盛大に洩らして。モップがけして証拠隠滅を図れば誰の仕業だって犯人探しがはじまるし、あとが大変だよ?」 「む……ぐぅ、ううう!」  枝をへし折るようにぞんざいに、ペニスを摑まれた。タコ糸が食い込めば痛みと痒みが同時にスパークして、ワイシャツをはためかせてのけ反った。  胸がせり出す形になれば当然、乳首が狙われる。 「ちっちゃくて可愛かったのが、スケベなデカさになっちゃって。次回の〝特別授業〟のテーマはこいつでイクで決まりだな」  力任せに乳首をこね回されて、眉根が寄るのに苦笑が浮かぶ。乳首で達するだなんて芸当ができるか。馬鹿も休み休み言え。  だがある意味、殻割り器の手柄といえるのか乳嘴(にゅうし)は恐るべき変貌を遂げた。  本当なら、荒っぽく揉み込まれれば激痛が走るはず。なのに鋭い悦びが全身を駆け巡る。

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