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第83話

(なか)をとっくりと搔いてもらって〟いるのだから、願ったり叶ったりのはず。  ところが強靭な腰づかいでかき混ぜられると、摩擦熱でかゆみがぶり返すという悪循環に陥る。  そのくせ甘やかにすすり泣く襞に、時にぞんざいに、時にねっとりと、メリハリの利いた打突を加えられると、悦楽の渦からもはや逃れる(すべ)がない。 「あっ、ん、ん、んんっ、ああ、ん……!」  視界が縦に横にぶれて平衡感覚がおかしい。ぐらりと倒れかかると、活を入れるように乳首に嚙みつかれた。  とたんにペニスがタコ糸に締めつけられ、そっくりそのまま肉の環が狭まる。  持続力には自信がある、と豪語するだけのことはある。今の不意討ちで暴発するどころか、いっそう陽根はそそり立って貪婪に花を散らす。  仁科は苦心惨憺、斜め後ろに片手を伸ばした。やっとのことで天板の(へり)を摑む。  ストップをかけないことには、冗談抜きに身がもたない。ただでさえ昂ぶりが(こて)と化して、あわいに散り残るとろろを塗り広げていくのだから。  だが、戸神にとっては好都合な展開だ。ゆえに、うそうそと腰がくねるさまを確信犯的に曲解する。 「奥をガンガン突いてくれって、おねだりか。俺、自分のペースを乱されるの嫌いなんだけど、しょうがないなあ」  大げさにため息をついてみせると、岩壁にハーケンを打ち込むように力強く押し入る。 「ひっ、ぎっ、ああっ!」  咲き誇るのに逆らって花びらを内側に折りたたんでいきながら、雄渾がずぶずぶと沈む。そして特別なデコボコを重点的にすりあげる。  快楽のボタン、イコールとろろがへばりついている箇所を。 「ふぅ、っくぅ! ん、ああ痒い、痛い、痒い痛い痒い、痛い」 「どっちなんだよ」  呆れ声でそう言って、噴き出した。もたれかかってきた躰を抱きすくめておいて、あらためて右足を掬いあげると、ファスナーが双丘に密着して鋸歯(きょし)状のみみず腫れが走るほどの奥を突きのめす。 「ん、……ひっ、ん、んん、ああぁあっ!」  切っ先が未踏のゾーンを掃きあげていった瞬間、嬌声が空気を震わせた。いったんタガが外れてしまえば、抑えが利かない。

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