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第8話
『俺の事、好きなんて嘘だ!普通、好きな相手にこんなこと……出来るわけないだろ!それに俺は……そういう意味で和斗を好きな訳じゃない』
首輪を付ける少し前……圭太が叫んだ言葉の真意は聞かなくても分かっている。
「圭太は、素直になれないんだよな?」
だから封じた。好きな相手にこれ以上、嘘を吐かせるなんて出来ないから。
「好きだから……なんだよ」
好きだから傍に居てほしい。離れてしまうくらいなら、ちゃんと分かるまで教えてあげなければならない。
「大丈夫。圭太も俺のこと、好きだって知ってるから」
部屋へと戻って風呂に入れたらきっと目を覚ますだろうから、食事をして、今夜はベットで夜通し愛を注ぎ込もう。少しでも……彼の不安を取り除きたい。
それに、今日更にまた確信した。同性愛に戸惑いながらも圭太はこの関係を望み、自分を愛してくれてると。
「心配しなくていい。ずっと一緒だから」
唇に笑みをたたえながら、和斗は圭太を抱き上げる。
御曹司と一般人……更に男同士だが、こうやってずっとここにいれば外部に漏れる心配もない。それに、例え外に出てみた所で圭太にはもう戸籍が無い。
「だって必要ないだろう?」
圭太にはもう……恋人である自分以外に必要な物は無いのだから。
「……愛してる」
唇を寄せてそっと圭太の瞼を閉じて涙を舐め、和斗はその唇に……触れるだけのキスを落とす。
そんな和斗と圭太のことを見守るよう、ただ静かに、月明かりが照らしていた。
End
次ページからも続きます(2人の過去編)
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