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「可哀想に。俺のためにそこまで嘘を吐くなんて……ごめんな、圭太」 「いっ、あゔぅっ!!」  言葉が全く通じない。  陰嚢をグッと強く握られ言葉すらもう紡げない。  あまりの痛みに暴れる体が水揚げされた魚のようにベッドの上で何度も跳ねた。 「俺の家のこととか、男同士だからとか……そういうことを考えて俺から離れようとしてるって分かってる。でも、嫌いになるなんて……嘘でも言ったら駄目だろ」 「やっ……あっ、あっ!」  美しく整った顔が、見たこともなく奇妙に歪むのが見えて背筋が凍りつく。 「ここ、取ったら少しは素直になれるかな」 「ひっ……っっ!」  ゴリゴリ陰嚢を揉む掌がそれをギュッと下へと引き、声も出せずに悲鳴を上げると、もう片方の彼の掌がペニスの先へと軽く触れた。 「凄いな。ココ、ぜんぜん萎えてない。圭太は痛いの好きだったんだ」 「ちっ、ちがっ……あぅっ!」  否と口にしようとすれば、ペニスをバシリと叩かれて、襲った強い愉悦の波に圭太は体を強ばらせる。 「やっ……あ、ああぅっ!」 「叩かれて達ったのか?」  少しだけ、驚いたような和斗の声が鼓膜を揺らし、放心した圭太は首を何度も左右に大きく振った。 ――違う、こんなのは……。 「恥ずかしがらなくていいよ。どんな圭太でも、俺は好きだから」  掌についた精液を舐め、覆い被さるように頬へとキスを落としてきた親友に……混乱した圭太は思わず唾をペッと吐き捨てる。 「嫌いだっ、お前なんか……大嫌いだ!! 離せっ、俺を解放しろ! 二度と顔も見たくない!」  きっと薬か何かを使ってこんな風にさせたのだ。  そうでなければこんな風に自分の体がなる筈がない。  そして……こんな辱めを受けてまで、友達なんかじゃいられない。 「泣かないで圭太。分かったから、少し落ち着くんだ」  ぼろぼろと涙を流しながらも拘束されて動けぬ体で精一杯暴れる姿に、ようやく分かってくれたのか……頭を一撫でした和斗はようやく上から退いた。 「……解け」  襲ってきた虚無感は、これまで過ごした楽しい日々が一瞬にして崩れたことへの悔しさから来るものだ。  なんでこんな事をしたのか問い詰めたい気持ちもあるが、そんな事より今はここから逃げ出したくてたまらなかった。  それくらい、怖かったのだ。

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