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第10話 聖夜 2015・12・24 ①

愛する人と出逢わせてくれたChristmasの奇跡 そんな恋人たちのXmasをお届けします 5カップルと飛鳥井のXmasをどうぞ! 恋すれど 野坂知輝×脇坂篤史 我 逝く先に 堂嶋幸哉×堂嶋正義   恋    江口類×久我山慶一 振り向けば  宇佐美悠×加賀美竜二 原稿の中心で愛を叫ぶ  水森健×西園寺一臣 5カップル登場となります 康太は玄関でシューズを榊原に履かせて貰っていた 翔 流生 太陽 大空 4人も慎一や一生に靴を履かせて貰っていた 流生が「かぁちゃ!」気合いを入れて名前を呼んだ 康太は「おう!準備は出来たか?」と問い掛けた 「「「「あい!」」」」 4人は手を上げて返事した 「うし!なら外に出るぞ」 「「「「あい!」」」」 康太が外に出ると子ども達も外に出た 気合いは充分入っていた 瞳はボーッと炎が舞い上がってるだろうな…… と榊原は苦笑した 外に出ると康太は駆け出した 子ども達も駆け出した 榊原はハラハラと康太を追った 一生と慎一は子供が5人だぜ……と苦笑して後を追った 音弥は入院でいなかった お正月には一旦帰れるけど…… お正月が終われば戻らなきゃならなかった 音弥の分も楽しむ為に! 子供達は気合いを入れて走りだした 駆けてく途中で……… 康太がベショッと転んだ 榊原が慌てて駆け寄った 「康太……」 榊原が康太を抱き上げると…… 手から血が流れていた 慎一が康太に近寄り確認していく ズボンを捲ると……膝も怪我をしていた 慎一はポケットからバンドエイドを取り出すと 「帰ったら消毒します!」と言いペタペタはった う~ う~ う~ う~ 今年も康太は唸った 「………唸らないの……」 「売り切れる伊織!」 榊原は康太を立ち上がらせると 「走らないで下さいね!」と釘を刺す でも聞いちゃいないのが康太だった 「井筒屋!」 康太は叫んで走った 「かぁちゃ!」 流生は思いっきり走っていた 「いぢゅちゅや!」 太陽も走っていた 「ちな ほちい」 何が欲しいんだ……慎一は苦笑した 大空が丸まるのチキンを思い描き 「たべゆ!」と叫び 流生「りゅーちゃ ほちい」と叫んで走った 翔は「かける たべゆ!」と吠えていた 翔を食べるのかよ?と一生は苦笑した はぁ……はぁ…… 走っているとドスンッ!! ぶつかった 「危ないよ前見ないと……あれ?康太君」 ぶつかったのは堂嶋幸哉だった 康太は「お!お前も井筒屋のチキンを買いに行くのか?」と尋ねた 「スーパーにお買い物だよ? ねぇ、井筒屋のチキンって美味しいの?」 「すげぇ倍率高ぇチキンなんだよ! おっと!こうしちゃぁいられねぇ!おめえも来い!」 康太は幸哉の手を掴むと走り出した 「え?……ええええ???」 幸哉は走った すると、またぶつかった 「………いてぇな……」 「………僕も痛いよぉ……あれ?康太君……」 宇佐美悠がお尻をスリスリさすっていた 「おー!悠!おめぇも来い!」 康太は宇佐美と幸哉の手を掴むと走り出した 宇佐美は「ねぇ、後ろの子供は……誰の子なの?」と尋ねた 「あれはオレの子だ!」 「え?めちゃめちゃ可愛い!」 「後で触らせてやるから今は走れ!」 康太はひたすら走った そして井筒屋が見えてくると 「おばちゃん!オレのチキン!」と叫んだ おばちゃんが店の中から顔を出し 「取ってあるわよ!」と笑顔で康太を出迎えてくれた おばちゃんは翔達を見て嬉しそうに笑った 「翔君達も頑張ったね! ほら、これ、ご褒美だよ!」 と子供全員にクッキーをくれた このクッキーはおばちゃん達が、子供にあげる為に可愛い袋に手作りクッキーを袋詰めした品物だった 子ども達はクッキーの袋を貰って大喜びだった 幸哉は「あの……チキン買えますか?」と問い掛けた 「あぁ、買えるよ!」 おばちゃんは商品ケースに唐揚げやチキンを並べていた 幸哉はチキンを買ってニッコリしていた 堂嶋正義が『Xmas、二人で祝おうな』と言ってくれたのだ! その準備の為にスーパーに行こうとしたのだ 宇佐美も加賀美竜二とXmasを祝う為にお買い物に出掛けたのだった 宇佐美も「僕もチキン、買います!」と熱々のチキンを買い込んだ チキンを手に入れ康太は子ども達と、熱々コロッケをおばちゃんに貰って食べていた おばちゃんが幸哉と宇佐美にも熱々コロッケを渡す 宇佐美はコロッケの美味しさに 「何これ!このコロッケ美味しすぎ!」と興奮した 康太は「井筒屋は沢庵がめちゃくそ美味えんだぜ?」とお店の絶賛した 宇佐美は「井筒屋!」と叫んだ 「院長のユズルさんが井筒屋の沢庵を絶賛してました!」と康太に説明した 一生は首をかしげ 「康太、ユズルさんって誰よ?」と問い掛けた 慎一も「………ユズルさんは心当たりありません」と答えた 康太は「宇佐美が院長って言ってるやん 久遠 譲……今は飛鳥井 譲に決まってるやん」と説明してやった 一生は「久遠が…ユズルかぁ……知らなかった……」と呟いた 慎一も「久遠先生、今は飛鳥井と言うんですね」 と、そっち?…と言う所に納得していた 榊原は「では久遠先生にも井筒屋のチキンを差し入れしましょう!」と申し出て 康太も一生も慎一も賛成した 康太は「おばちゃん、チキン買っても大丈夫か?」と問い掛けた 一定の客がチキンを独り占めするのは宜しくないから…… 康太はおばちゃんに問い掛けた おばちゃんは喜んで 「買っていっておくれ!康太ちゃん!」と了承してくれた 康太は久遠に差し入れるチキンを買って、子ども達と帰って行った 宇佐美は別れ際に 「康太君、今年中に診察に来るんだよ!」と釘を刺して帰って行った 康太は幸哉に「飛鳥井に寄ってから帰るか?」と聞くと、幸哉は 「準備があるから帰るよ!」と言い帰って行った 幸哉とも別れて飛鳥井に帰る帰り道 康太は電話をかけた 「正義か? 適当なマンションに入って裏口から抜けて出ろよ 付けられてるぜ……お前」と電話を入れた それから黙々と歩いた そして電柱の影に隠れた男に近寄った 「誰を張ってるのよ?」 康太が聞くと男は驚いて声の方に振り向いた 「………康太……てめぇか……」 「何をそんなに驚いているんだよ?」 「………今……尾行中だ……」 「久我山、あの男は裏口から抜けた 幾ら待っても出て来ねぇぜ?」 「嘘……畜生!やられた!」 久我山慶一は悔しそうに地団駄踏んだ 「お前、誰に雇われた?」 「依頼主は殺されても言わねぇよ」 「与党大物議員は……目の上のたんこぶを消し去りてぇらしいな でもな久我山、負けるのは大物議員の方だぜ? アイツは幾ら叩たいても埃すら出ねぇぜ? 何てったってアイツの家族は弟のみ その弟は……養子だが誰の子か勘繰らねぇ方が良いぜ? 下手したら突き止めた瞬間消されるぜ?」 「…………それは……大物の落とし胤……と言う事か?」 「堂嶋正義の尻尾は掴めねぇ 正義の住んでる家はパパラッチすら入り込めねぇ飛鳥井のビルの中にいる 諦めろと言うしかねぇぜ?」 「………堂嶋正義はお前の駒だったのか…」 「オレの駒は三木繁雄のみ! 堂嶋正義はオレの駒じゃねぇ だがな久我山、堂嶋正義を政界に入れたのはオレだ! 傷つける気なら消すぜ?」 「………どうやらオレは……もの凄い危ない橋を渡されてる?」 「だな、オレはお前が知り合いでなきゃ……死にたくなる程の痛い目を見させてたけどな」 康太はそう言い笑った 「………それは勘弁してくれ…… お前の怖さは初対面で思い知らされてる」 「だったら追うな!」 「………解った……二度と堂嶋正義には手出しはしねぇ!約束する!」 「破ったら……解ってるだろうな……」 「……解ってる… でも依頼を……受けちまったからな……」 久我山は困った顔をした 「大丈夫だ! 裏から手を回しといてやるかんな!」 「ありがとう……厄介に巻き込まれる所だった ………ん?良い匂いするなお前……」 「クリスマスと言えばチキンじゃねぇかよ!」 「それ、どこで買った?」 「井筒屋!」 「まだあるかな?」 「あるだろ? 久我山と名乗れば売ってくれる手筈は付けといてやった」 「本当に?ありがとう康太」 「類の所へ行ってやれ!」 「世話かける……」 「依頼から手を引かせたのはオレだ、気にするな 絶対にお前には手は出させねぇ!約束してやる! 今後は、やっぱオレの為に動け… 類の為だ 護ってやんよ!」 「解った…そうする… 厄介に巻き込まれる所だった…… 悪かった……康太」 「食うに困らねぇ癖にあんで仕事を選ばねぇかな?」 「食う為に仕事してねぇからな俺は…… 俺はどんな事があっても類を護る為に仕事してるんだよ」 「だったら今後は政治家絡みの仕事は引き受けるな…… スケープゴートにされて消されるかも知れねぇぜ? 奴等は人一人消すのに……罪悪感すら抱かねぇかんな…… そんな奴等に類を危険な目にあわせるな!」 「解った!今度はお前からの依頼しか受けねぇよ!」 「そうしとけ!」 「助かったわ康太」 「オレもおめぇは消したくねぇんだよ 類、泣かせたら考えるけどな」 「また類に逢ってやってくれ」 「あぁ、今度飯食いに行こうぜ!」 康太は久我山の肩をポンと叩いた 久我山は康太に深々と頭を下げて、井筒屋へと走った 一生は康太に「知り合いかよ?」と問い掛けた 「お前が知らなくて良い」と言い康太は歩き出した 一生はそれ以上は聞く事はしなかった 知らなくて良い……と言う事は…… 裏家業のヤバい橋を渡らせる人間に関わるな……と言う事なのだから 一生は慎一に「知ってる?」と問い掛けた 慎一は何も言わなかった と、言う事は慎一は知っているのだ 康太は慎一に「類にもうじき還るって言っといてやれ」と言った 慎一は少し離れて電話をかけた 康太は家へと帰って行った 家に帰ると応接間の電話が鳴り響いた 慎一が電話に出ると水森健からだった 「………おめぇ……盗聴器でも付けてるのかよ?」 物凄いタイミングで康太はボヤいた 『何度か電話したんだよ! それよりもクリスマスだろ? オレさ…一臣と甘いクリスマスしたい訳よ でさ、頼むから仕事手伝って下さい?』 「………それってオレに関係ねぇやん?」 『関係あるよ!康太君、対談しましょ?』 「無理やろ?編集部は年末進行で修羅場なんじゃねぇのかよ?」 『それは漫画とか月刊誌とか、週刊誌とだろ? あの編集部は……修羅場だわ でもオレは小説部門だからさ…修羅場は免れてる… 康太君、対談とか引き受けて……』 「………対談なんて無理だろ?」 『新年号の見出しを飾る為に野坂先生との対談……ダメ?』 「お前さ……それ間に合うのかよ?」 『対談して直ぐに記事にして写真を載せて間に合わせる 脇坂編集長がさ……野坂先生との対談入れたら来月号の目玉になるって…… そしたらクリスマスは早めに上がって恋人と甘い時間を送れる……と言う訳ですよ』 「………それさ、断ったらどうなるよ?」 『…………クリスマスの時間の捻出は……難しくなります……』 「ならは、引き受けてやんよ 当日の対談は何人か連れて行くけど大丈夫か?」 『対談と無関係な人でなくば……大丈夫です』 「なら明日な」 『ありがとうございます! オレ、もう帰れます!』 「西園寺と仲良くな」 『………はい!ありがとうございます』 健は真っ赤な顔して電話を切った そして脇坂に向けて「了承取れました!」と伝えた 脇坂はページを埋めれて……ホッと胸を撫で下ろした 瀬尾利輝が年末に階段から落ちて入院したから…… 新年号のページに穴が開いた この穴を埋めるべく……飛鳥井康太に白羽の矢が立てられたのだった 脇坂はさっさと仕事を終わらせて帰る算段をした 脇坂は笑顔で電話をかけ 「チキンとケーキを買って帰ります」 と愛する野坂に告げた 足取りは……スキップしそうな勢いで… さっさと仕事を終わらせて、恋人の所へと帰って行った 今日はクリスマス 恋人達の為にある日だった それを見送り健は「ケッ!やってられるか!」と毒突き 「一臣、これから井筒屋のチキン買って帰るね」 と電話を入れて帰って行った 編集部の皆は……「ケッ!やってられるか!」と想ったのは……… 言うまでもない 当てられた編集部の皆も帰り支度をした 家族や愛する者の所へとゆくために…… 想いは愛する人達の元へ 今 帰るからね 足取り軽く帰る者と クリスマスなんか………大嫌いだぁ!と飲みに行く算段する者達が楽しそうに帰って行った 野坂はテーブルの上にシャンパングラスを並べて 脇坂が帰って来るのを待っていた 優しい男は惜しみない愛を捧げてくれた 生きて来て幸せだと思ったのは…… 脇坂と暮らし始めてからだった 野坂は受話器を取ると電話を掛けた 『おー!野坂、どうしたよ?』 「康太君、メリークリスマス!」 『メリークリスマス、幸せにな野坂』 「ありがとう康太君」 『明日、対談やるんだけど、お前も来るか?』 「誰が出る予定?」 『伊織の家族が今夜は飛鳥井に来るからな 明日は榊 清四郎、榊原真矢、榊原笙を連れて行く予定だ! ついでに村松も呼んで対談らしくするつもりだ』 「村松監督と面識あるの?」 『ある。多分呼べば来るだろ?』 「凄いよ康太君! 絶対に出たい!康太君にも逢いたい」 康太は笑って『なら明日な』と言い電話を切った 背後から抱き締められ……野坂はぬくもりに包まれた 「僕が帰って来たのに出迎えもしてくれませんでしたね……」 「篤史……ごめん……」 「知輝、お詫びはキスで受付中です」 脇坂が言うと野坂は、脇坂に口吻けを落とした そして離れて行こうとすると、腰を引き寄せられ…… 執拗な接吻を受ける事となった 「……ぁん……んんっ……あぁっ……」 官能的な口吻けに……腰砕けになった 脇坂は笑って支えて 「メリークリスマス」と言い口吻けた 「篤史から良い匂いする」 「井筒屋のチキンです」 脇坂が言うと野坂の瞳がキランッと光った 「井筒屋!買えたの?買ったの?」 ワクワク瞳を輝かせて野坂は聞いた 「去年、買えなかったので予約しました」 「凄い!ねぇ、早く食べようよ!」 すっかり……食べ物に気を取られ…… 甘い雰囲気はなくなった 野坂だから……仕方がないか…… 蜂蜜をぶっ掛けたような甘い聖夜は期待出来なくとも…… 酔わせて甘く取り立てはする 脇坂は優しく微笑み 「知輝、良いワインが手に入りました 君の好きな甘口です」 甘口なら飲みやすく、どんどん飲めるだろうから…… 脇坂は酔った野坂を美味しく戴けば良い…… テーブルに料理とお酒を用意して乾杯した 二人だけの時間が降り注ぐ 脇坂は幸せを噛み締めていた 飛鳥井の家では赤鼻のトナカイの角が……邪魔にされていた 「一生、やっぱし青鼻でええやん」 康太は文句を言った 「あんで俺がトナカイだよ!」 一生は怒りながら言った 「だってトナカイやるって言ったやんお前」 「………なら角が邪魔とか言うんじゃねぇよ!」 一生は唇を尖らせてボヤいた その唇にチュッと康太はキスを落とした 「拗ねるな可愛いじゃねぇかよ」 「…………拗ねてねぇし……」 一生が言うと太陽がトナカイに抱き着いた 「とにゃきゃいしゃん」 「お!トナカイさんだぞ!」 一生は太陽を抱き上げた 慎一は忙しそうに料理を並べていた 子供達を料理の方へ近づけない為に相手をしていた 今年のサンタは……… なんと……慎一の予定だったが土壇場で金髪碧眼のあの人が……着た 「ねぇ康太、どうしてヒゲは金髪じゃないのさ!」 「………サンタってじぃさんだからだろ?」 …………答えになってないし 仕方ないから榊原が 「北欧の人は銀髪が多いからですかね?」と答えてやった 「ならさ今は世界共通のサンタなんだからさ金髪のヒゲあっても良くない?」 康太は何とも言えなかった 榊原も何も言えなかった 一生も言うのを諦めた 慎一は聞かないフリして料理を並べていた 悠太は………曲がれ右して慎一と共に出て行った 仕方ないから康太が口を開いた 「聡一郎、ヒゲは付けなくて良いってばよぉ」 「それだとサンタになりません!」 「サンタにならなくて良いってば 聡一郎にしかなれねぇだろ?お前はさ」 康太はそう言い笑った 聡一郎はヒゲを取って笑った 「僕、来年は青鼻のトナカイやります!」 「おっ!良いなぁ!」 康太は笑った 榊原も「今から楽しみです」と笑った 西園寺はお買い物をして家へと急いだ 今日は恋人になって初めてのChristmasなのだ 気合いも入るし 想い出を作ろうと躍起にもなる 健はマンションへと急いだ 西園寺が買ったマンションは会社に近いから、ついつい棲み着いてしまっていた 「ただいま一臣」 玄関を開けて家に入ると西園寺一臣が健に抱き着いた 「冷えてる……」 「雪が降りそうだからな……」 「健、淋しかった…」 そう言われると仕事に行きたくなくなる 「一臣、原稿上がったのか?」 健が問い掛けると一臣はそっぽを向いた 「………原稿………」 「健、今日はクリスマスだよ?」 「………だから急いで帰って来たのに……」 「こんな日に仕事なんて無理だよ」 作家という生き物は口から生まれて来たみたいに口が立つ…… 屁理屈言って健を黙らせる位造作もなかった 「明日はちゃんと書けよ」 「それは健の頑張り次第かな?」 「何でオレの頑張り次第なんだよ?」 「健が頑張って俺を満足させてくれるんだろ?」 「………オレ……経験値低いからな…… 勉強してきてからで良いか?」 健は意地悪く言うと西園寺は健を抱き締めた 「経験なんてさせるか! 健はオレだけのモノだ……」 西園寺は魘されたように言い健に口吻けた 「一臣、クリスマスやろうぜ」 「あぁ……お前と始めて迎えるクリスマスだな」 「オレ……誰かと祝うの初めてだ……」 「俺も……こんなイベントなんて糞だと想っていた……」 「一臣……乾杯しないとね」 健はテーブルに料理を乗せた 西園寺はシャンパングラスを出して、シャンパンの封を開けた 恋人達の為にある時間が始まった 西園寺はうっとりとしてシャンパングラスに口を付けた 康太は応接間で子供達やコオ、イオリと遊んでいた 子供達は手にプレゼントと袋を持っていた 「これ、誰にやるのよ?」と康太が聞くと 流生が「ひょーろーきゅん!あげゆの!」と答えた 「貴史、喜ぶだろうな」 太陽が「ひょーろーきゅん うれちぃ?」と康太に聞いた 「あぁ、貴史は喜ぶぜ!」 と言い………ふと考えた 「………貴史のクリスマスを飛鳥井で潰させるのは……悪いよな?」 康太がごちると一生が 「それは貴史が決めることだろ?」と肩を叩いた 「うちの子は貴史が好きだからな……」 康太が言ってると玄関のインターフォンが鳴り響いた 慎一がカメラを作動すると兵藤が立っていた 「康太、噂をすれば……です 貴史が来ました」 康太は立ち上がると玄関を開けに行った 兵藤はクリスマスの衣装を着ていない康太を見て 「青っ鼻じゃねぇのかよ?」と問い掛けた 「今年は違う!」 「トナカイは誰よ?」と兵藤は問い掛けた 康太は一生を指差した 「………茶色の……トナカイ……トナカイだよな…」 と納得 「MerryChristmas!」 金髪碧眼のサンタが兵藤の前で挨拶した 「………金髪碧眼のサンタかぁ……これは……これで………」 と何だかスッキリしなくて……口籠もった 聡一郎は「金髪碧眼のサンタはサンタじゃないってか?」と目が据わって抗議した 「………聡一郎、顔恐いぞ…」 「放っておいて下さい!」 えらくやさぐれたサンタがふんぞり返っていた 兵藤は子供達の傍へと向かった 兵藤は大きな袋を持っていた 「ひょーろーきゅん」 大空が兵藤に抱き着いた 「おっ、かなどうした?」 「ひょーろーきゅん ぷれじぇんと ありゅの」 「おっ!兵藤君もプレゼントあるぞ!」 兵藤は子供達やコオやイオリと仲良く遊んでいた 飛鳥井の家族も仕事を終えて帰って来ると、榊原の家族も訪ねて来た 皆揃うと「乾杯!」してChristmasを始めた 兵藤は子供達に「兵藤君からのプレゼントだぞ!」と言い袋からプレゼントを取り出した 流生は「わぁい!ぷれじぇんと!」と喜んだ 康太は「ケーキ食ってからでも良いだろ!」と井筒屋のチキンに食いついていた 兵藤もチキンを食べていた 家族は笑顔で聖夜を迎えられて感謝していた 宇佐美悠はチキンをお皿の上に乗せ シャンパングラスを出して準備していた 楽しみにしていると電話が鳴り響いた 宇佐美は電話に出ると…… 加賀美だった 『悠?』 電話の声は優しかったが‥‥悪い予感しかしないのは…… 医者という職業を熟知しているから…… 「急患?」 『そう……ごめん遅くなる』 加賀美は悪そうに……告げた 「解りました……」 宇佐美は電話を切るとシャンパンの封を開けた 患者は待ってくれないのは解る 私と仕事とどっち取るのよ………と言う陳腐な台詞は吐けやしない……からしょうがない…… 楽しみにしてたのに…… 仕方がない…… 宇佐美は加賀美のテーブルのグラスにカチンッと合わせると…… 「乾杯…」と言いシャンパンを飲み干した 見ないテレビを付けて…… 宇佐美はシャンパンを開けていた 大切にされてない訳じゃない でもな……因果な職業だよな 宇佐美は笑った 満月とイベントは特に患者は多い シャンパンを飲み干し…… ワインに手を出し 宇佐美はいない恋人を想って飲んで過ごした 「ひょーろーきゅん!ぷれじぇんと!」 流生はそう言い兵藤に箱を渡した 「おっ!兵藤君にか?」 「ちょう!」 兵藤は嬉しそうに箱を受け取った 「「ひょーろーきゅん!」」 太陽と大空が兵藤にプレゼントを渡した 「お!ひなとかなもか!ありがとうな」 兵藤は太陽と大空の頭を撫でた 翔は無言で兵藤にプレゼントを二つ渡した 「翔……二つもくれるのか?」 「ひとちゅ おとたん!」 「………音弥……の、渡してくれたのか?」 「ちょう!」 「ありがとうな翔」 兵藤は翔の頭を撫でた 兵藤は子供達に笑顔でお礼を言った 康太は兵藤に「あに貰った見せろよ!」とプレゼントを覗き込んだ 「………流生達のプレゼントは危険な時があるかんな……確かめてからな」 兵藤が言うと康太は爆笑した 兵藤は大きな袋を手にすると 「兵藤君からプレゼントあるからな!」 そう言い袋を覗き込み 「飛鳥井翔君」と名前を呼んだ 翔は「あい!」と手を上げて兵藤の前に立った 兵藤は『翔』と書いた袋を翔に渡した 『流生君』と呼ぶと喜んで『あい!』と言い兵藤に抱き着いた 兵藤は笑って「抱き着いてたら渡せねぇよ」と言いプレゼントを渡した 太陽と大空にも同じようにプレゼントを渡し 音弥のプレゼントは榊原に渡した 「音弥、いねぇだろ? 渡しといてくれ」 そう言うと榊原は音弥のプレゼントを受け取った 康太は「あに貰ったんだよ」と問い掛けた すると流生は「あちょで!」と言い見せてくれなかった 兵藤は美智留や匠、瑛智の分も手渡した 笙にプレゼントを渡すと 「………え?何ですか?」と驚かれた 「美智留と匠の分」 「………え?良いんですか?」 「ええ。貰って下さい」 京香にプレゼントを手渡されると同じ台詞を京香は言った 「………瑛智にも……良いのか?」 信じられなかった 兵藤は「子供達の顔をぬいぐるみにして貰ったので、世界で一つしかないので貰って下さい」と言った 京香は手の中のプレゼントを開けてみた 袋の中には…… 瑛智によく似たぬいぐるみが入っていた 「………瑛智……ではないか……」 京香は呟いた 「慎一に手伝って貰って写真を基にぬいぐるみにしたんです その子の特徴を掴んでぬいぐるみになっているので、プレゼントにどうかと思いました」 京香はプレゼントを抱き締めて泣いた 瑛太は兵藤に「ありがとう」と礼を述べた 笙もプレゼントを開けると、美智留と匠のぬいぐるみがあった 「………凄い……こんなに似てるなんて……」 明日菜と顔を見合わせて……泣いた 兵藤は何で泣くかなぁ……と想って慌てた 康太は兵藤に「ありがとう貴史」と礼を言った 「………やめてくれ……居心地悪くなるやんか……」 とボヤいた 康太は兵藤に箱を渡した 「……え?何よこれ?」 「家に帰ったら、じっくり見ると良い」 と言いニカッと笑った 慎一も兵藤に袋を手渡した 「え?ええ??」 「家に帰って見て下さいね!」 兵藤は持ってきた袋の中にプレゼントを入れた 一生も「ほれ!」と兵藤に渡すと 聡一郎も隼人も渡した 慎一は「貴史には和希と和真のぬいぐるみを貰ってるので……」と手の内を明かした 一生は「俺はめちゃくそ高そうな誕生日プレゼント貰ったからな」と言い 聡一郎は「何となく」とぶちかまし 隼人も「気が向いたからなのだ」と言い放った 何となく……気が向いたからな…… 兵藤は言葉の暴力にノックアウト寸前だった 康太は「あに貰ったんだよ?」と見せろと問い掛けると兵藤は抵抗した 「………嫌……危険だわ……お前ら……」 と呟いて……抵抗した そしてトドメが玲香から結構大きな箱を渡された 「……え?俺に??」 「ついでじゃ!」 ………何のついで……なんだよ…… 兵藤は「……俺って……いじられキャラじゃねぇのに……」と呟いた 「良いやんか!まぁ飲め!」 康太はそう言いシャンパンをついだ 「ほら……おめぇに……」 兵藤はポケットから小さな箱を取ると康太に渡した 「え?オレに?くれるの?」 康太は兵藤から貰った小箱をポケットにしまった 流生は慎一に言って兵藤からのプレゼントを開けてくれと頼んだ 慎一は封を開けて流生に渡した 流生そっくりのぬいぐるみが流生の手の中にあった 「すげぇな似てるやん」 康太が言うと兵藤は 「ぬいぐるみにして欲しい人物の写真を渡すと、その顔をベースに型紙が出来るんだ その型紙通りに作って微調整は人の手でやるらしくて、予約して作るまでに半年要るんだ でも半年かけても記念にと欲しがる人は多いらしからな」 「ありがとう貴史」 兵藤は嬉しそうに笑った 久我山は井筒屋でチキンを買って家へと急いだ ドアを開けると類が久我山に飛び付いた 「お帰り!康太君から連絡貰った」 「逢ったからな…」 「元気だった?」 「あぁ、元気だった」 「良かった…」 久我山は類の頭を撫でた 「逢いたかったな……」 「今度逢いに行けよ!」 「………うん……」 久我山は類を抱き締めた 「………康太君と知り合って……5年かぁ…」 「そんなに経つか?」 昨日のような感じだが……5年も経つのか…… と久我山は今更ながらに想った 「俺は……本当に殺される恐怖を味わった…… 命が惜しいと想った事はないが…… 心底、命が惜しいと想ったな」 「………でも助けてくれたよ?」 「お前がいたからな…… 俺にはお前しかいなかったからな……」 「慶一」 類は久我山を強く抱き締めた 「類、準備は出来たか?」 「うん!準備万端だよ!」 類は久我山の手を取るとリビングに連れて行った リビングのテーブルの上にはグラスや料理が並べられていた 久我山はチキンを取り出すとお皿の上に置いた 「類、井筒屋のチキンだ!」 久我山が言うと類の瞳がキランっと光った 「井筒屋?買えたの?」 「康太が取り置きしておいてくれた」 「そうなんだ!嬉しい」 「さぁ食おうぜ!」 二人で迎えるクリスマス 類は幸せそうに笑っていた 久我山は類を膝の上に乗せてワインを飲んでいた するとインターフォンがピンポンピンポン連打された 「慶一、多分城崎君だよ」 「放っとけ」 「…………連打……止まらないよ?」 久我山は仕方なく類を膝から下ろして玄関に向かった ドアを開けたら案の定、城崎琢磨が立っていた 「………クリスマスに……うちに来るな」 と久我山は嫌な顔をしたが、城崎は久我山を押し退けて部屋へと入って行った 「慶一さ、さっき道路で話してたの誰よ?」 「知らない方が幸せな場合もある」 久我山は取り合わずにソファーに座ると、類を膝の上に乗せた 「見たのかよ?」 「お前達がいたマンションは親父の住んでるマンションだからな 用があって行ってたんだよ そしたらお前がやたらとイケメン達といたからな……」 「聞くな……知らない方が幸せな場合もある」 「当たり障りなく……」 「飛鳥井康太………と伴侶と仲間の方々だ」 「………あ……そう言うと事ね……」 まさか……飛鳥井康太の名前を聞こうとは…… 想ってもいなかった 「飛鳥井家の真贋……だっけ?」 「………深入りすれば消されるぜ琢磨」 「飛鳥井家って言えば平安の昔から在る黄泉の眼を持つ一族だろ? 真贋と言われる者だけが眼を持つと謂われてる……」 流石、作家……探究心の深さに久我山はクラッとなった 「琢磨……止めとけ こうしてても……あの人は視てるんだからな」 「解ってる……俺も命は惜しい……」 「お前さ……妻はどうした?」 「………離婚が成立した」 城崎は女優の如月沙織と結婚していた 「………今度は長く続いていたよな?」 「沙織は…最初の亭主や子供忘れちゃいねぇんだよ 同じ年格好の子供を見ると……泣いてる 俺じゃ……どうしてやれねぇ事ばかりでな……」 「医者と結婚してたんだっけ?」 「あぁ……惚れて惚れて猛烈に惚れてアタックした相手だったみたいだからな……」 「なら分が悪いな……」 「沙織、小学生の双子の子供がいるらしくてな…… 取り返してやろうかと言ったら…… 無理だって言うんだよ 何でか聞いた時に、沙織が子供は飛鳥井家真贋のモノだから……と言ったんだ それで調べたんだよ……」 飛鳥井家真贋 それって何なんだ……と調べた すると……詳しくは出て来なかったが…… 次の瞬間から……視られてる気配を感じた 下手な動きをするなら……潰される恐怖を感じた 「………琢磨……」 「俺じゃ……沙織は幸せに出来ないって想った…」 「馬鹿だな……お前は…… 他の誰かじゃなくお前が幸せにしてやれば良かったんじゃないのかよ!」 「なくしたモノを与えてやりたかったんだ…」 「なら今度はなくしたモノを埋めてやる努力をしやがれ!」 「…………あぁ、そうする」 「飲め!」 傷心の城崎を見守り、久我山と類は飲み始めた そんな日も……仕方ない…… なくせない友情だから…… 少しだけ寄り掛かり……明日へ生きる糧とする 夜更けまで3人は飲みまくった 静に夜は更け…… 聖夜はそんな3人を見守っていた 兵藤は早々に酔い潰れてソファーの上で寝ていた 美緒が迎えに来ても起きる気配もなく…… 「誠……情けない……」と息子の頬をつねった 玲香は「言うでない!飲もうぞ美緒」と執りなし飲み始めた 康太は榊原に手を出すと、その上に携帯をおいて貰った 康太は電話をかけた 「忙しいのに悪いな」 『康太さん、MerryChristmas』 「明日、Risata貸し切り出来ない?」 『良いですよ!明日は休みにしようかと想ってましたから』 「雑誌の対談で使いたいんだけど、大丈夫?」 『対談ですか?凄いな 何だか初めての事でワクワクします!』 「陵二、無理言って悪かった」 『気になさらないで下さい 料理はこっちで適当に決めて構いませんか?』 「構わない、なら明日頼むな」 康太は電話を切ると「場所は確保したな」と呟き また電話を掛けた 『康太、MerryChristmas』 ワンコールで電話に出た相手はかなり陽気だった 「康三、明日忙しいか?」 『明日ですか? 特に予定はありません』 「ならさ対談しねぇ?」 『対談の面子は?』 「オレと脚本家 幸田 飛鳥、作家 野坂知輝 榊 清四郎、榊原真矢、榊原笙の予定だけど?」 『それって……まさか……』 電話口の村松は息を飲んだ 「そう『熱き想い…』の作品に関わるキャスト達だけど?」 『脚本家の幸田 飛鳥は今は仕事を休んでいるのでは?』 「脚本家はオレの伴侶だ 榊 清四郎の代表作を書き上げるのが悲願なんだ オレは伴侶の悲願を叶えて、榊 清四郎ここに在り!と言う映画を撮る!」 『伴侶殿でしたか……でしたら是非一度逢いたい 対談に出ます! 野阪先生の連載も完結に近付きつつあるので、何らかのリアクションはあると想っておりました 君が私を生かした最大の理由ですからね! 気合いが入ります!』 「なら明日頼むな 誰か迎えに行かせようか?」 『頼めるか?』 「あぁ、自宅まで迎えに行かせる」 『ならそれまで待ってることにする!』 そう言い、電話は切れた 康太は笑顔で清四郎を見た 「清四郎さん、対談しましょう!」 「………対談ですか?」 「電話で言ったメンバーで好き勝手な事を話しませんか? 真矢さんも笙も、是非お願いします」 真矢は「勿論、参加します!」と笑顔で答え 笙は「僕、映画に関係ないのに参加して良いの?」と問い掛けた 「笙、映画関係者になるから構わねぇよ」 「……(話が)…見えないんですが……」 「晟雅にはもう言ってある 榊 清四郎の代表作になる映画のキャストに入ってるって事だ だからシリアスな役からコメディーな役までやらせてるんだ 清四郎さんの息子役をやって貰う 変わりのない決定事項だ」 「………僕初めて聞きました」 「そうか?」 「そうです………父さん達は驚いてませんね……」 笙が言うと清四郎は 「………とうとう……ですか?康太」と問い掛けた 「とうとう来たぜ清四郎さん! このまま突っ込んで逝くしかねぇかんな!」 清四郎は目頭を押さえて……… 「ありがとう……」と言った 康太は慎一に「明日、村松康三を迎えに行ってくれ!」と頼んだ 「解りました! 迎えに行く前に電話を入れます」 慎一がそう言うと、康太はニヤッと笑って電話を掛けた 「オレだけど」 一生はまた……それでよく繋がるなぁ……と感心した 『康太さん、どうしました?』 「エッチの最中だったらすまねぇ」 『大丈夫です! エッチの最中は電話に出ません もし出たとしたら延々と聞かせてやりますから…』 「……聞きたくねぇな 要件は対談の場所だけど…」 『何処でやりますか? 急なお願いしたので、要望は聞き入れます』 「Risataって言うイタリアンレストラン知ってる?」 『知ってます 知輝がお気に入りのレストランです』 「そこ、貸し切ったから」 脇坂は……唖然とした 人気のレストランを貸し切り…… 予約を入れるのに何ヶ月もかかるのに? 『それって……了承済みの話ですか?』 「おー!了承済みの話だ! でな、脇坂 その対談に野阪も出せよ」 『ええ。本人は出る気満々ですので構いません 対談のキャスト……教えて戴けませんか?』 「オレと脚本家 幸田飛鳥と榊清四郎、榊原真矢、榊原笙 村松康三と野坂知輝、足らねぇなら水谷世里奈と笹原高志も呼ぼうか?」 『ちょっと待って下さい! 笹原高志はそんなに簡単に出ないし 水谷世里奈は日本にいないでしょ?』 「オレが呼べば来る 水谷世里奈は日本にいて、熱き想いの衣装を手掛ける為に動いてる」 『………根回し万全って事ですか?』 「そう。」 『ギャラが支払えませんよ……』 参加者の名前が豪華すぎて……ギャラが幾らになるか…… 想像するだけで怖い…… 「オレと脚本家のギャラは要らねぇよ」 康太が言うと清四郎も 「なら私のギャラも要りません!」と申し出た すると真矢も「あら、私もギャラは良いわ!康太の頼みならノーギャラでも構わないわ!」と言ってきて 笙も「僕だって!康太の為ならノーギャラで構わない!」と言い出し収拾がつかなかった 『康太さん、ギャラの話は明日、対談の始まる前にしましょう!』 「お!なら明日午後一時には来いよ!」 『解りました!』と脇坂は電話を切った 清四郎は「村松監督に逢えるのかい?」と問い掛けた 「あぁ、逢えるぜ!」 清四郎は康太の言葉を噛み締めた やっと………逢えると胸が躍った 真矢は夫を抱き締めた 日本の時代劇史上初の大作となり 海外で絶賛と賞賛を集める その映画の主演男優として賞を総ナメする役者になる 榊清四郎の代表作になる映画を息子の脚本で演じる 役者冥利に尽きる……役をやれと康太が言うのだ… 清四郎は涙が止まらなかった 飛鳥井の家族は優しく見守っていた 「まずは伊織が頑張らねぇとな!」 「今夜のことですか? 勿論、頑張るに決まってるでしょ?」 榊原は満面の笑みで答えた 康太は「………違ぇし……」とボヤいた 「解ってますよ奥さん 僕の悲願の達成のために頑張ってくれてる君の想いに報いるつもりです」 「伊織……」 康太は榊原の胸に顔を埋めた 愛しい男の匂いを肺一杯に嗅いで味わう 昔から変わらぬ男の匂いに…… 康太は瞳を瞑った 優しい夜に 愛が降り注ぐ聖夜に 奇跡は起こる 出逢えた事が奇跡だと 忘れないで下さい 散らばる星の数程 人はいる その中から出逢えた奇跡 MerryChristmas    恋人達に祝福あれ 【恋人たちの夜】 宇佐美はすっかり酔い痴れて…… ソファーの上に寝そべっていた 「冷たくて気持ちいい……」 ソファーの革の冷たさに頬を擦り寄せた 「冷たいと言えば……竜二の手って何時も冷たいな……」 と加賀美の手の冷たさを想った 『ハル……』 冷たい指が……体を触ると熱くなるのを宇佐美は知っている 加賀美を想っていると……体躯が熱くなって…… 宇佐美はズボンと下着を脱ぎ捨てた そして勃ち上がった性器を掴み扱いた 「あっ……竜二……竜二……ぁん……」 加賀美の名前を呼びながら、扱く イキたいのに……射精まで至らない 宇佐美は秘孔に指を挿れた すると腸壁が指を食べ始めて…… 物足りなさを訴えていた 指で掻き回すと快感で先っぽが濡れた でも指じゃ足りないと…… 貪欲な腸壁は……加賀美のモノを探し始めた 自慰にふける宇佐美はドアが開くのも聞こえなかった 加賀美は部屋に入ると…… 艶めく宇佐美を見せつけられて…… 股間にズクンッと刺激を受けた 「一人でいる時……何時もこんな遊びしてるのかハル?」 「……え?……」 酔った宇佐美には、どれが本当でどれが幻覚か解らなかった 「竜二?……竜二はいらいんらよ……」 呂律が回っていなかった どれ程飲んだのか…… 加賀美はテーブルの上を見た シャンパンは飲み干して、ワインも飲み干して…… かなりの空きボトルが転がっていた 二人で飲むはずのお酒をヤケで飲んだというのか? 加賀美はコートを脱いでソファーの上に掛けると ベルトを外して前を寛げた 「こんなに美味しくなってるなら…… 食べるしかないじゃないか……」 加賀美は宇佐美にのし掛かると……口吻けた 舌が口腔で搦まり縺れ……嚥下できなかった唾液が顎へと流れた 加賀美は宇佐美の秘孔へ指を挿し込んだ 「………ココ……弄った?」 宇佐美は真っ赤な顔で加賀美を見上げた 「こんなに……歓迎されてちゃ……直ぐに挿れても大丈夫だよな?」 加賀美は言うと宇佐美の中へ押し入った 突然……体内に熱い存在を感じて…… 宇佐美は覚醒した 「……竜二?……ぁん……あぁん……何?……」 「ハル……何時も一人の時、あんな風に遊んでるのか?」 「……遊んでなっ……」 「お尻に指挿れて……掻き回して腰揺れてたぞ?」 そんな恋人の痴態を見せられれば堪らなくなるのは当たり前だった グイッと肉棒を深く挿し込むと…… 宇佐美は仰け反って……イッた 「……悠……早すぎ……」 加賀美は腹の上に吐き出された精液を掬い上げた 「ドロドロだ悠……」 「言わないでぇ……」 加賀美は精液を宇佐美の口の中へ……流し込んだ 宇佐美はその指をペロペロ舐めた 「悠のオナニー初めて見た」 宇佐美は真っ赤になり睨み付けた 「また見せてくれ」 「……いやだ……」 「一人で犯る時……指挿れてるんだな そんな指より俺の方が良いだろ?」 激しく腰を抽挿され……乳首を吸い付かれた 「………竜二……イッちゃう……」 「お前……もうイッたろ? 我慢しろ!俺はまだイッてねぇんだからな!」 激しく抽挿され……宇佐美の中でグッと太くなると…… 加賀美はイッた 「こんなに熱烈に想われるなら…… Christmasも悪くないな」 加賀美は激しく宇佐美の中を掻き回して接吻を貪った 宇佐美を上に乗せて、乳首に吸い付き味わう こんなChristmasも悪くない 宇佐美はヘロヘロになり…… 加賀美に抱き着いた 嬉しい こんなに恋人の存在が嬉しい 愛してる 貪り合い……求め合う 恋人達に在る夜だった 健は飲み過ぎて…… ソファーの上で丸くなっていた 「健……恋人達の夜はこれからだぞ?」 「いらにゃい……」 ブチッ…… 恋人達の熱い夜を要らないというのか! 西園寺は健を裸に剥いた そして抱き上げると寝室に向かった 「起きねぇなら    泣かすまで挿れよう          ホトトギス!」 決まったな! と西園寺は健の体躯をペロペロ舐めた 乳首は外気に晒されて尖っていた チュッと尖った乳首を吸うと、股間が連動して勃ち上がって濡れていた 「健……カウパーで濡れ濡れ……」 親指で擦り付けると…健は仰け反った 「らめ……らめらって……」 「らめって言う割に腰が揺れてるぜ?」 酔った健は艶々で赤く艶めいていた 食べて下さい!と投げ出された肢体を見て、抱かないのは男じゃない! 西園寺は健を俯せにして腰を持ち上げた プリッとしたお尻を揉んで撫でた 健のお尻は柔らかく……きめ細かい肌触りが良かった 双丘を割ってヒクヒク蠢く秘孔にキスを落とすと…… そこは歓喜して煽動した 西園寺はペロペロと蕾を舐めた 「一臣……らめ……」 「ダメって言いながら、物足りなさそうだぞ?」 「指じゃ足らない……」 涙目で見上げられたら…… 股間がズクンと太くなる 「………すまん健……」 「……え?……何……あぁん……キツいって一臣!」 西園寺は健の中に挿入した 太くなったのを挿れるのはかなり無理を強いるが…… 我慢の限界を超えていた 何とか……挿入して健が馴染むのを待つ 異物を受け入れて蠢き始めると西園寺は抽挿を始めた 二人して高みへと駆け上っていく 互いしか味わえないエクスタシー 健は西園寺の背を掻き抱いた 汗だくで求めあい……… 互いのもたらす快感を味わう 離さない 二度と離さない…… そんな想いは強い 健は西園寺に縋り付き……イッた 西園寺も健の奥深くに弾け飛ばした それでも終わらぬ欲望は互いを離し難くさせる 欲望の尽きるまで求め合い…… 愛し合う そんな夜に酔い痴れて熱くなる 類は久我山を見た 恋人達のXmasなのに…… 城崎が乱入するなんて…… しかも酔い潰れて……グーガー寝ている 「類、そんな目で見るな……」 「だって……クリスマスだよ?」 楽しみにしてたのに…… 「クリスマスだからな、恋人達の時間はこれからだろ?」 「慶一、城崎がいる……」 「当分起きねぇよ」 久我山はそう言い類を抱き上げた 「寝室に行くぞ」 類は久我山の首に腕を回した 「嬉しい……」 「愛してる類」 「僕も愛してるよ慶一」 甘い甘い夜はこれから始まる 久我山は寝室に行くとベッドの上に類を放り出した 上着を脱ぎ捨てズボンも下着も脱ぎ捨てた 全裸になると………股間は……聳え立っていた 類は久我山の肉棒に……釘付けになった 「………おっきい……」 「好きだろ?」 「うん……」 「好きにして良いぞ」 久我山はベッドに寝そべると類の服を脱がした 類は久我山の亀頭の先にキスを落とすと…… ペロペロと舐めた 口の中に入りきらない太さに…… 肉棒を舐めて……陰嚢を吸った 久我山は類の秘孔を解して……舐めていた 指を挿れると類は久我山の亀頭の先に吸い付いた 「類、そんなにしたらイッちまう そしたらお前の中に挿れられねぇぞ?」 「やら……ねぇ……挿れてぇ……」 「挿れるのはお前だ さぁ好きなだけ食え!」 久我山は類の双丘を左右に開いて亀頭を擦り付けた 類は久我山の肉棒を掴むと…… 蕾に擦り付け……食べ始めた クッ……久我山は射精の快感を耐えていた 類の指が久我山の体躯を這う 久我山の乳首を擦りあげ……吸った 首筋や鎖骨を舐めあげ……唇に口吻けた 「動いて慶一」 「類が動いて俺をイカせてみろ」 「ケチ……ぁん……あぁっ……イイッ……凄く太い…」 良い場所に擦り付け腰を動かす 耐えきれなくなり久我山は類の腰を押さえ付けて抽挿を始めた 激しく中を掻き回されて…… 類は達した 久我山も類の奥深くで射精した それでも萎えない久我山は類を好き放題した 終わらない夜に…… 類は喘いで泣いた 愛されるって……結構体力いる…… ヘロヘロになり類は想った 堂嶋は帰って来るなり風呂場へと押し込まれた 「幸哉……帰るなり風呂場ってどうよ?」 文句を言いつつスーツを脱いで幸哉に渡す 幸哉はスーツを受け取りハンガーに吊した 「疲れたでしょう? ゆっくり浸かって下さいね!」 幸哉は風呂場から出て行こうとした その腕を掴んで堂嶋は幸哉の服を脱がした 「風呂場でしたかったのか…」 クスッと笑って言われ幸哉は慌てた 「正義さん…お料理が間に合わないから… お風呂に入って貰おうかと想っただけだよ」 堂嶋は幸哉の服を脱がせてシャワーのコックをひねった 熱いシャワーが降り注ぐ中……堂嶋に執拗な接吻をされた 「……んっ……んんっ………んっ……」 鼻から喘ぎが抜けて行く 互いの勃ち上がった性器が体躯に触れて、その存在を露わにする 「ほれ幸哉、ここに座れよ 体躯を洗ってやるよ」 本当にマジメに体躯を洗うとは想わないが……幸哉は座った 堂嶋はソープを手にすると幸哉体躯を洗い始めた 案外洗って貰うのって気持ちいいかも…… と幸哉が想っていると……指がスルッと下へと滑って行った 勃ち上がった性器を泡でモコモコにして擦る ついでに秘孔にも泡を付けて滑りをよくする 指で中を掻き回すと……その刺激に腸壁が蠢いていた 堂嶋は指を増やした 「あっ……あぁん……」 声が響いてエコーが掛かる その艶めいた声に堂嶋はほくそ笑んだ 堂嶋は秘孔に指を挿し込むと、左右に開いた 「幸哉、欲しそうに開いてるぞ?」 「………ゃ……やらないでぇ……」 開かれる秘孔が待ち遠しく蠢くのは知っている 我慢を知らない場所が早くと訴える 「正義さん……挿れてぇ……」 「四つん這いになれよ そしたら挿れてやるから……」 幸哉を四つん這いにして背後から重なり貫いた 一つに溶け合い…… 激しく貫いた 「イイッ……正義さん……そこっ……」 堂嶋は幸哉のイイ場所を擦り付け感じさせた 二人でイク頃には……… 幸哉は逆上せ上がっていた…… 慌ててベッドに連れて行き、冷ましたのは言うまでもない 野坂は明日の対談を想ってニコニコとお酒を飲んでいた 「篤史、井筒屋のチキン美味しいね」 「ええ。君が食べたがっていたから喜んで貰えて良かったです」 「篤史……ごめん」 「何がですか?」 「俺……飲み過ぎた……」 そう言い野阪はスヤスヤ眠りの国に落ちてしまった 脇坂はピキッと怒りマークを額に付けた 「知輝、恋人達の時間はこれからですよ?」 グーグーいびきをかき始めた恋人の手を持つと脇坂は支えて歩かせた フラフラの野坂を寝室のベッドの上に寝かせると服を脱がせに掛かった 取り立てはする そのために無理して井筒屋のチキンを買って来たし 無理して仕事を片付けて来たのだから…… 「僕の恋人は本当に媚びない……」 媚びすぎな奴は嫌だが…… 恋人に甘えてくれても良いと想うのだが…… 脇坂は野坂の服を脱がせると、執拗な愛撫を施した    起きぬなら        起きるまで犯そう         ホトトギス! ナイトテーブルの引き出しをあけてローションを取り出すと 秘孔に垂らした…… 野阪はその冷たさに身をよじった 指を挿れ穴を解す ナイトテーブルの引き出しの中のバイブを掴むと、野阪の秘孔に挿し込んだ スイッチを挿れて抜き差しする 野阪の腰が揺れて…… 応えていた 脇坂は野坂の乳首を吸った バイブを抜くと……脇坂は自分の性器を挿入した 「さぁ、何度目で起きますかね?」 脇坂はナイトテーブルからローターを取り出すと、野坂の性器に巻き付けた 亀頭の割れ目に当てて巻き付けられたローターのスイッチをいれて抽挿を始めた 「あっ……何?……ぁん……あぁっ……篤史……」 野坂は堪らない刺激に目を醒ました 「恋人を置き去りにして寝た罰です」 「篤史……イキたい……」 「感覚だけでイキなさい」 脇坂は抽挿を早めた 中を擦られて亀頭の先の刺激に……… 野坂は精液は出ないのに………イッた 「ドライの感想は?」 「………最悪……」 「君が恋人達の時間だというのに寝るからいけないんですよ?」 「………だからって……ゃ……動かすな……」 「続けて良いならローターは外してあげます」 答えは一つしか用意されてない…… 野坂は「続けて……」と言った 意地の悪い恋人を持つと……苦労する 「今度は一緒にイキましょうね」 脇坂はそう言い野坂の中を掻き回した 「篤史……ありがとう」 「何ですか?今頃?」 「オレ……篤史と出逢えたら知れた事が沢山あるから……」 「それは僕も同じですよ 君と出逢えなきゃ見れなかった事や知れなかった事は沢山あります!」 脇坂は激しく野坂を揺すった 野坂は脇坂の背中に抱き着き…… イッた 脇坂も野阪の中に熱い飛沫を飛ばした 重なる体重が愛しい 汗をかいた男の背中が愛しい 野阪は脇坂にキスした 「愛してる」 「僕も愛してます」 二人は尽きぬ欲情を貪り…… 何時までも抱き合っていた 出逢わせてくれた事に感謝して…… 野阪は笑った

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