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第17話 二十歳の誓い

*この話は飛鳥井康太達が二十歳の時に書いたモノです 大人じゃない…… 子供でもない…… 二十歳の今 成人式を迎えて…… 我等は誓う 決して妥協しない人生を送る………と! 我 人生に一片の悔いは遺さず! さぁ、逝くぜ! 宴会だ! 飛鳥井康太 少し大人になって成人式を迎えた             2015/1/12 【新しい朝】 夜明け前に康太が 「朝陽を見に行かねぇか?」 と言った 榊原は康太を抱き締めて 「良いですね でも、僕のが流れて来ちゃいますからね…… 洗ってあげます」 と囁いた 康太は顔を赤らめて榊原を睨んだ 「伊織が離してくれねぇから……」 成人式を迎える晩位…… 大人しく寝させろ……と言う康太を組み敷き…… 榊原は康太を抱いた 何度も何度も……康太の中に熱い飛沫を放出した 榊原は妻がご機嫌ななめにならぬように、立ち上がると康太を抱き上げて浴室へと向かった そして中も外も綺麗にしてもらうと、服を着て支度した 寒いから何時もより着込ませ玄関に行くと…… 一生、聡一郎、隼人、慎一、そして……どう言う訳か兵藤貴史もいた 「あんだよ?皆…」 康太が聞くと兵藤が 「新しい朝を迎えるんだろ? そんな日は朝陽を見に行くんじゃねぇのかよ?」 二十歳と言う区切り 新しい朝を迎える日……だった 「流石じゃん貴史」 康太はそう言い笑った 「今年は何処へ行くんだよ?」 飛鳥井建設は工事中だった 「飛鳥井建設に決まってるやん! もう外郭は建ってるかんな、屋上も出来上がってるんだよ 警備員も配置して警備に当たってる 後は内装や細かい細部だな 夏には完成する」 康太が言うと一生が 「事前に言ってあるのかよ?」 と問い質した 「昨日のうちに警備会社には話は通した 今朝、行く事は事前に通ってる筈だぜ」 「そっか、流石に早ぇな!」 皆でワイワイ外へと出る 寒さに身を震わせて……慎一の車と、一生の車に乗り込んだ 慎一の車には康太と榊原、そして兵藤が乗り込んだ 一生の車には、聡一郎と隼人が乗り込んだ 飛鳥井建設へと走って行く 飛鳥井建設はまだ建設中だった 完成予定は8月1日 駐車場に車を停めて、守衛室へと行くと、警備員が待ち構えていた 「話は伺っております! 屋上までご案内致します」 礼儀正しい警備員が深々と頭を下げて、そう言った 警備員に案内されて屋上へと行く 屋上に全員を届けると警備員は 「帰られる時は声を掛けて下さい!」 と言い屋上を後にした 康太はまだ暗い空を見上げた 兵藤が「始まりの朝だな」と声を掛けた 康太は笑った 「明けねぇ朝はねぇ!」 康太が言うと榊原が 「だから僕達は進むんです」と続けた 兵藤が「どんだけ辛くってもな……」と呟き 一生が「それでも陽は上る」と言った 聡一郎が「今日は特別な朝です」 慎一が「始まりの朝ですからね」と続けた 隼人が「子供じゃ…いられない朝なのだ……」と淋しそうに言うと 兵藤が隼人に肩を抱いた 「大人じゃねぇ でもな子供でもいられねぇ…… 俺らは俺らだけの道を行こうぜ! その道は果てしないけどな、必ず続いているからな!」 だから心配するな……と隼人を励ました 「……貴史……」 隼人は涙ぐんだ瞳で兵藤を見上げた 兵藤は隼人の頭を撫でた 「貴史!陽が上がるぜ」 康太が兵藤を呼んだ 見上げる水平線に真っ赤な太陽が顔を出した 生命力の漲る赤い妖炎をメラメラさせて… 兵藤は……まるで炎帝だな……と優しく笑った 康太は水平線の向こうを指さし 「オレらの今日が始まる」 始まりの朝なのだ…… 新しい朝の始まりだった 兵藤は康太の肩を抱いて 「………次に朝陽を見る時は……」 「おめぇの出馬の日だな」 康太は笑った 「その前に…おめぇの子供の入学式があるだろ?」 「アイツらはアイツらの明日がある オレらはオレらの明日がある」 「………康太……」 口に出せない言葉がある 口から出そうになっても…… 嚥下して…… 生きて行かねばならぬ 「あんだよ?」 お前が………手に入るなら…… 俺は命なんて要らない…… 康太は榊原に抱き着いた 榊原の胸に顔を埋め……そして榊原を見上げた 凄く嬉しそうな顔をして……… 一生は兵藤の肩を抱いた 「俺らの朝が始まるぜ!」 一生は発破を掛けた 「解ってるよ! そう言えば…成人式でな、驚く事があんぜ!」 兵藤は勿体つけて言った 「あんだよ?」 「言わねぇ!」 「言えよ!」 一生はムキになり兵藤の口を摘まんだ そしてウリツリと白状させようとした 兵藤は一生の手から逃れて走って聡一郎の背中に隠れた 追って来た一生は……… 聡一郎の威嚇に……手出だしが出来なくなった 「んとに一生は聡一郎には弱いな…」 兵藤が笑う 「………それを育てたのは俺なのによぉ……」 一生はブチブチ言った 「何か言いたい事があるのですか?」 聡一郎に睨まれて……一生は黙った 一生は慎一の背中に隠れた 「…あ!ズルい……」 聡一郎はボヤいた 慎一は何も言わずに笑っていた 隼人を抱き締めて、主を見ていた 康太はニカッと笑って 「円陣、組むべ!」 康太が言うと、皆、康太を中心に円陣を組んだ 「この身が滅びようとも! オレらは逝くぜ! 悔いなく逝くぜ!」 康太は叫んだ 「俺しか逝けねぇ道を逝く! 死ぬ瞬間まで兵藤貴史として生き抜くぜ!」 と兵藤も叫んだ 「最期の瞬間……笑って共に逝く日まで…… 僕は康太、君と共に逝きます!」 榊原は康太を見つめ言った 「我等、四悪童、此処に在り!」 一生が叫ぶと 「我等、四悪童、共に逝く!」 と聡一郎も叫び 「共に!それしか望まないのだ!」 と隼人も叫んだ! 「主が逝く先まで共に…… それしか願っておりません」 慎一はそう言った 「「「「「「共に!」」」」」」 手を重ね……宙に上げた 朝日が昇りきり……眩しい程だった 「朝陽が上ったな」 「おう!俺らの明日が始まったな」 兵藤は康太を抱き締めた 「腐れ縁は切れねぇな貴史」 「切る気ねぇし!」 そう言い兵藤は笑った 「さてと、支度するか」 「おめぇはあに着るんだよ?」 「オレか?オレは歴代飛鳥井家男子が着る紋付袴を着るんだよ」 「おめぇ紋付袴か……なら俺も紋付袴にするか!」 兵藤は納得して笑っていた 「一生、おめぇらは?」 一生は「スーツ」 聡一郎も「スーツ」 隼人も「同じく」 慎一も「同じく」と答えた 視線は榊原に集まった 「僕もスーツです」 「紋付袴着ろよ」 兵藤はボヤいた 「康太が着るので良いのです」 どう言う持論よ……と言いたくなる台詞を言って、榊原は笑っていた 飛鳥井建設の屋上を後にして 康太達は家に帰った 家に着くと、まずは腹拵えをした キッチンのテーブルには兵藤も一緒に座っていた 家族に紛れて食事を取っていても…… 誰も何も言わなかった 康太は悠太に 「オレが着た後は悠太か……」 と呟いた 「康兄、俺の後は康兄の子供だね」 「……5人同時に成人式じゃねぇかよ… どうするんたよ?」 康太がボヤくと瑛太が 「紋付袴は翔が着て、後の子は作れば良いのですよ」 「そっか!瑛兄流石! オレの子が成人式の日……オレ泣くんだろうな…」 康太が呟くと源右衛門が 「お前の成人式だからなのぉ わしは泣けて来るわい!」 と涙を拭った 「じぃちゃん……」 「おめでとう康太」 源右衛門が言うと瑛太は榊原のスーツの箱を差し出した 「伊織、これを着て成人式に参列しなさい」 「義兄さん…」 清隆は一生にスーツの箱を渡した 「一生はこれを着て行きなさい」 「……義父さん……ありがとうございます!」 一生は礼を言った 朝食を取ってると清四郎と真矢と笙が飛鳥井にやって来た 清四郎は聡一郎にスーツの箱を差し出した 「聡一郎、これを着て逝きなさい 飛鳥井の家の方々と話し合って康太以外は成人式のスーツを用意すると決めたのです」 聡一郎は立ち上がって清四郎に頭を下げた 「……清四郎さん……ありがとうございます…」 聡一郎は泣きながら礼を言った 真矢は隼人にスーツの箱を差し出した 「隼人、一緒に採寸取ったスーツが出来ましたよ」 「ありがとうなのだ……真矢さん」 隼人は泣き出した…… 笙は慎一にスーツの箱を差し出した 「慎一、君は少しだけ冒険させたくて、僕がスーツを贈る事にしました」 慎一はスーツの箱を受け取り 「ありがとうございます 凄く嬉しいです」 と、礼を言った 玲香は兵藤に風呂敷で包んだ、見るからに着物を渡した 「来るであろうと想っておった 貴史、我はお前に紋付袴を贈ろうぞ! これを着て逝くとよいわ!」 玲香は笑った 「………え?俺……」 兵藤は唖然としていた 「美緒と話し合ってな決めたのだ 兵藤の家紋は入っておる心配するでない……」 「………玲香さん……夢見たいです ありがとうございます!」 「お主は息子みたいなもんではないか 一時は康太と切れたかも知れぬが今は傍で生きておる」 兵藤は堪えきれずに泣いた 康太と榊原は寝室に向かい、支度をした 榊原の手で、康太に紋付袴を着せる 「この着物、年代物ですか?」 「だな。何回か前に転生した時に着たかんな 歴代飛鳥井の男子が着る着物だ」 「これを翔が着るのですね 瑛智の子供が着て……受け継がれて逝くのですね…」 「……オレはこれで最期の着物だ……」 次の転生はない 「康太……」 「オレは悔いなんか遺してねぇ!」 「僕も……悔いなんか遺しません」 康太の着付けをすると、榊原はプレゼントされたスーツに袖を通した 支度を終えると、康太と榊原は寝室を出た 応接間に行くと兵藤が玲香に着付けされてる最中だった 「…動くでない」 「……苦しくねぇ?」 「こんなものだ、気にするでない」 帯を締められ着付けされていた 康太は兵藤に 「貴史、おめぇ母ちゃんの前でパンツ脱いだのかよ?」 全員……ピキッと固まった 「………おめぇはよぉ!爆弾発言は止してくれ! 脱ぐかよ……おめぇは全部脱いでるのかよ?」 兵藤が聞くと康太は 「おう!」と頷いた 兵藤は何も言う気はなくなり黙った ……榊原が余分な事は言うな!………と睨み付けてるからだ…… 一生は康太をソファーに座らせた 慎一が緑茶を康太に渡した 隼人が康太にスーツを見せ付けた 「康太、オレ様に似合っているか?」 「似合ってるぜ!」 「康太も似合ってのだ!」 「隼人、ありとうな」 瑛太が応接間にやって来て 「支度は出来ましたか?」と尋ねた   康太の地域は午後2時からだった 「タクシーを呼びましたから、外に出てなさい」 「瑛兄、ありがとう」 「康太、成人式おめでとう さぁ、行きなさい」 瑛太は康太の背中を押した 玄関に出ると丁度タクシーが停まる所だった 康太と榊原と兵藤は一台のタクシーに乗り込んだ 聡一郎、隼人、一生、慎一はもう一台のタクシーに乗り込んだ 向かうは横浜アリーナ! 待ってろよ!成人式! 康太はメラメラと燃え上がっていた 【成人式】 横浜アリーナに到着すると 横断幕が目に入った 誰か余所の応援かと想っていたら… 佐野春彦や神楽四季…… 桜林学園の生徒にOBが並んでいた 「成人おめでとう!」の声が掛かった 桜林学園は寮もある学園なので、他の県から来てる奴もいた 区域で分かれた中学生と違って…… 生まれ育った地域は……康太達とは違っていた 清家静流は……東京だった 清家はいないだろう……と進んで行くと…… 清家静流が立っていた 「清家!!」 康太は叫んだ 榊原は嫌な顔をして…… 「……君は東京じゃなかったのですか?」 と尋ねた 清家は不敵に嗤った 「ふふふ!甘い!伊織 僕は叔父がギリギリお前らの学区に住んでたから住所を変更したのさ!」 清家は純白の紋付袴を着ていた 「………そこまで……しますか?」 「するさ!僕だけ誰も知らない奴と成人式だなんて冗談じゃない!」 清家は言い捨てた 兵藤は清家に 「振袖姿じゃねぇのかよ?」 と冗談で言うと 「僕は家を出るまで悩みました! でも僕が振袖姿だなんて! 振袖姿着た女の子が可哀相でしょ? 僕より美しい成人はいなくなりますからね!」 と、しれっと言った 兵藤はどっと疲れた 清家は康太に抱き着いた 「康太、逢いたかったぞ! 今年僕は落第します! そしたら来年度は大学二年から始められますね!」 清家の言葉に兵藤は……… 「………お前さ……俺に喧嘩売ってる?」 とボヤいた 「貴史、君も落第だなんてズルいですね!」 「………好きで落第した訳じゃねぇ!」 康太は爆笑だった 成人式会場に入ると……学友が、ここぞとばかりに集まっていた 「………おめぇら……あんでいるだよ?」 兵藤がボヤくと兵藤や榊原と共に生徒会をやって来た人間が笑っていた 楡崎もいた 聡一郎と昔、恋人だった幸村玲音もいた 聡一郎は笑って幸村を見た 幸村は聡一郎の横に立つと 「良い顔をする様になったね! 君をそんな顔をさせる恋人が出来たんだね」 「……幸村……ごめん……」 「あれも、想い出 後悔しないで、僕が可哀相になるでしょ?」 「…ありがとう……」 「幸せにね聡一郎」 「幸村も、幸せに」 幸村は笑ってクラスメートの方へと向かった 「おめぇらあんで全員いるんだよ?」 全員、口を揃えて 【  内緒  】と叫んだ 住所を康太達のいる地区に置く…… 結構皆、悪戦苦闘して、それでも皆といたくて苦肉の策をした 全員でゾロゾロと会場の中へと入って行く 他の地域の振袖を着た女性が……イケメン集団に熱い視線を送る 席に座ると兵藤は康太に声を掛けた 「康太、同窓会と二次会行くのかよ?」 兵藤が聞くと康太は親指を立てた 「会費幾ら?」 「一万円」 「高ぇな…」 「四の五の言わずに払え!」 兵藤は噛み付いた 康太は笑って「伊織、払っといてくれ」と笑った 「解りました、後で払っておきます 二次会の幹事って……誰ですか?」 榊原が聞くと、一生と兵藤が手を上げた 「君達でしたか……」 「おお!有難く思え!」 兵藤はそう言い笑った 清家は「飲みまくってやる!」と闘志を燃やしていた 「静流、辞めとけ……そこのザルには負けるぞ」 兵藤は清家にそう言った 兵藤は康太を指差した 「………康太ってザルなんですか?」 「……ザルなんて可愛いもんじゃねぇ……」 兵藤はそう言い笑った 「……では、貴史……介抱お願いします」 「酔い潰れる気……」 兵藤が呟くと清家は笑顔で 「満々です!」と答えた 「俺の部屋で雑魚寝だぞ! 嬉しいだろ?」 「……康太、君んちで泊めて下さい!」 「おう!良いぜ!皆で雑魚寝しようぜ!」 康太が言うと兵藤と一生は声を揃えて 「「それは辞めとけ!」」 と清家に言った 清家は首を傾げて 「何でですか?」と問い掛けた 兵藤が「康太の寝相は殺人級に……」と言うと一生が 「すげぇんだよ……被害に合っても良いなら止めねぇけどな」と肩を竦めた 清家は戦いた 「………そんなに……」 絶対に断ると想っていたら…… 「絶対に泊まる!」と宣言した 一生は「好きにしなはれ」と呆れて言った 成人式が始まった 記念式典   ・国歌斉唱   ・市長あいさつ・市会議長あいさつ   ・来賓紹介   ・新成人の誓い   ・新成人へのメッセージ   ・市歌斉唱 このスケジュールで式は進行されていた 途中……大人と自覚を持てない新成人が少しだけトラブルを起こし警備員に連れられて退場させられた そんな退屈をやり過ごしていると 新成人の誓いを他の学校の奴がやるのを、康太は意外な思いで見ていた 「新成人の誓いって貴史がやると思っていた」 「………依頼は来たけどな……断った」 「あんでだよ?」 「俺らの明日は奇麗事で終われねぇだろ? 幾ら宣誓を立てても……それは心からの言葉じゃねぇよ」 「…そうか……」 「俺は自分の言葉で伝える 決められた枠の中で心にない言葉を言うのは趣味じゃねぇ」 「……貴史……おめぇがむちゃくそ男前に見える……」 「俺に惚れるなよ康太!」 兵藤が言うと康太は榊原に声を掛けた 「………伊織…腹減った…」 「同窓会に出れば何か食べられますよ」 「そっか、早く終わらねぇかな」 「あと少しですよ」 兵藤は「おい!俺の言う事を聞きやがれ!」と怒った 一生が「貴史、どうどう!」と落ち着かせた 「俺は馬じゃねぇよ」 「解ってんよ!」 一生は笑った 兵藤も笑っていた 【同窓会 二次会】 成人式が終わると、康太達は移動を始めた イケメンを目当てに近寄って来る女性軍団から逃げる様に……横浜アリーナを後にした 「……あの……この後何処かへ行きませんか?」 誘いの言葉を無視して駆け抜けて…… アリーナを出る頃には…… ヨレヨレだった 「取り敢えず、タクシー拾って移動だ! 皆、一生のTwitterに会場を告知するからな!」 「おう!」 約束を交わしてタクシーに飛び込む 康太のタクシーに清家も乗り込み……榊原はムスッとした顔をしていた 助手席に兵藤が乗り込み 後部座席には康太と榊原と清家が乗り込んだからだ… 同窓会はホテルの会場を借りた ホテルの会場に伝説の生徒会が集まる…… 皆……涙を流しながら感激していた 康太は大人しく座っていた 「康太、どうしました?」 「どうもしねぇぜ!」 ホテルの会場に槇原や佐野春彦や神楽四季がやって来た 神楽は康太を見付けるなり抱き着いた 「康太、逢いたかったです」 「四季、久しぶりだな」 佐野も康太に抱き着いた 同窓会は盛大に始まった 康太が立食のテーブルで食べてると…… やけにイケメンが康太の横に立った 「飛鳥井、久しぶり!」 「……え?おめぇ誰だっけ…」 「B組の木村康也 君の交際相手になる筈だった奴です」 「……木村……康也って学校からいなくなったんじゃねぇの?」 「桜林学園の姉妹校に留学していました 3年の終わりには還って来ました なので桜林学園の卒業生に変わりはないです」 テレビで見る顔が康太の目の前にあった 「木村ってすげぇピアニストなんだろ?」 「すげぇ……ってどの辺のレベルの事を言ってるか知りませんが……」 「海外留学行ったんだろ?」 「………ええ。高1の夏に留学の話が突然出て来ました 僕はそれに乗ってしまいました……君の交際相手になるのも魅力的でしたけどね……」 康太は笑った 「おめぇはオレより自分の将来を選んだんだよ だから今があるんじゃねぇかよ?」 「…君を選んでたら……君の傍にいられましたか?」 「……いられねぇと想う……」 「……連れない人ですね」 「そうか?」 康太が笑っていると榊原が 「康太!」と呼んだ 康太は榊原の所に行こうとすると、木村は康太の手を掴んだ 「嫉妬深そうな…男より僕に乗り換えませんか?」 「遠慮しとくよ! おめぇは本気じゃねぇかんな!」 「…嗚呼……君は人を詠めるんでしたね」 「おめぇの本気はオレじゃねぇだろ?」 「……君が懐かしかったのは本当ですよ?」 木村は康太の手を握り締めた その手を榊原は離して……康太を引き寄せた 「康太……」 「伊織、どうしたよ?」 「僕から離れないで下さい」 「解ってんよ」 康太は笑って木村から離れた 一生が「あれ、誰よ?」と問い掛けた 「おめぇ…高1の夏にオレとくっつけようとした男を忘れたのかよ?」 康太は怒った 一生はやっとこさ思い出した 「………木村康也?」 「イケメンだね」 「女性陣を夢中にさせてるピアニストらしいからな…」 「オレには関係ねぇもんよー」 康太は美味しいモノを求めて、バイキングを見て回った 「飛鳥井……少し……話さねぇか?」 康太と同じクラスの吉崎が康太に声を掛けた 「フライ級チャンプがオレに何の用よ?」 「俺……ずっと飛鳥井が好きだった…… 言えずに卒業しちまって後悔した……」 「……吉崎……その台詞は……大切な奴がいない時に言ってくれ……傍にいる奴を大切にしてやれよ」 「………飛鳥井……ありがとう」 吉崎と話していると……榊原が康太を迎えに来た 「……君……口説かれすぎです…」 「気の迷いだ……気にするな」 「僕はめちゃめちゃ気にします! 僕の傍から離れないで下さい!」 榊原はそう言い康太を抱き上げて持ち運びした 一生は爆笑して 兵藤は「……おいおい……」と榊原を窘めた 榊原は不機嫌そうに 「お気になさらずに!」と言い捨てた 始終、榊原は康太を持って移動した 離す気は皆無で……不機嫌丸出しだった 同窓会を終えて二次会に会場を変えると、半分が帰宅の途に着いた 半分以下でカフェバーへと繰り出した カフェバーへと場所を移して、カウンターに座った バーテンダーが注文を取った 「飲んで旨ぇと唸らせるカクテル作ってくれ」 康太はバーテンダーにニコッと笑ってそう言った バーテンダーはカクテルを作って康太の前に置いた 一口、口を付けて…… 「………この程度か……」と呟いた バーテンダーは「おい!待て!」と本気になって康太に食ってかかった 「オレがガキだから適当に誤魔化したろ?」 図星を刺されて……バーテンダーは本気の気持ちに火を付けられた 雑念を払って本気でカクテルを作って康太の前に置いた 康太は一口、口に付けてニコッと笑った 「これがチャンピオンのカクテルかぁ…」 と言いちびちびと飲んでいた 誰にもチャンピオンなどと教えた事はない しかもチャンピオンだったのは……かなり昔 今はもう忘れた過去の栄光だった 「やっぱ旨ぇな ありがとう 旨ぇカクテルを飲ませてくれて」 礼を言われてバーテンダーは……マジ顔になった 「……俺の傍にいてくれねぇか?」 バーテンダーは康太を口説いた 「それは無理! オレには大切な奴がいるからな」 「………大切な奴……その台詞…… 羨ましいな……」 「おめぇにだって大切な奴はいたじゃねぇかよ? 大切にしてやらなかっただけじゃねぇかよ?」 図星を刺されて……バーテンダーは……康太の顔をまじまじと見た 「………おめぇ……少しは優しく言ってくれても良いじゃねぇかよ?」 「見失う後悔なんてすんなよ!」 「気に入った! 一緒に飲もうぜ!」 バーテンダーはカウンターを出て店じまいした そして康太の横に座った 「良いのかよ?」 「良いんだよ、俺オーナーだし」 意気投合して飲みまくる 康太は平気な顔して飲んでいた 「………君……ザル?」 「オレんちは酒豪の名前を欲しいままに手に入れた家系だかんな」 「………今度……美味しいカクテルをご馳走する…」 「なら、また来るとするよ」 「恋人と?」 「そう。恋人と来てやんよ」 「羨ましいな……」 「羨ましいな事なんて何一つねぇよ……」 バーテンダーと飲んでる康太に榊原は痺れを切らして…… 「康太……」と抱き上げて運んでいった 榊原はソファーに座ると、康太を膝の上に乗せた 「………僕以外の男を見ないで下さい!」 「見てねぇよ」 「僕だけ愛して下さい!」 「伊織だけ愛してんよ!」 「………康太……僕も愛してます」 榊原は康太を抱き寄せた 兵藤がやって来て 「おい!飲もうぜ!」と飲み始めた 最後に笑うのは康太とも知らずに…… 全員……酔い潰れて……ヘロヘロになり…お開きとなった 榊原は康太を抱き上げたまま店の外に出た 一生がタクシーを停めて、停まったタクシーに乗り込んだ 清家もちゃっかりと着いて来て…… 飛鳥井の家に向かった…… 飛鳥井の家に帰ると、客間に布団を敷いた そして雑魚寝をした 榊原は康太を離さなかった 康太はモテるのを忘れていた訳じゃない…… だが……今日……突き付けられた現実に…… 榊原は不安になった 康太はモテるのだ 離したら……誰かに取られる 榊原は康太を抱き締めて眠りについた 朝方……暑がりの康太は…… 榊原に抱き締められて……暑くて逃げ出した そしてかなりの被害者出して…… 朝を迎えた 「……う!……」 「うぎゃぁぁぁぁ~」 「……うぇっ……」 悲鳴が響き渡った 兵藤は良い子して眠っていた 育ちの良さが身に付いた兵藤は優雅に眠っていた …………が………股間を蹴り上げられて……… 蹲った 何なんだか………痛い…… 睾丸が上に上がった… 脂汗を垂らす兵藤の腰を…… 一生はポンポンと叩いてやった 「………康太?……」 兵藤は聞いた 「……だな……」 一生の右ほっぺは真っ赤だった よく見れば…清家も起きていた 清家は真っ赤な顔をしていた 兵藤が「どうしたよ?」と聞くと 「………玉を……揉まれました… そればかりか……扱かれて…イキました……」 泣きながら清家は言った 一生は「………あちゃぁ……」と頭を抱えた 「………トランクスで良ければ……貸しますが?」 「………貸して下さい……」 「客間のお風呂に入ると良いです!」 「………本当に…恐いです…」 康太はゴロゴロして兵藤の股間を覗き込んだ 「………寄るな……」 兵藤は抵抗した 「蹴っ飛ばしたかんな……不能になってねぇか……心配してんだよ」 康太はそう言い兵藤の股間に触れた 扱こうとする手を交わしながら……兵藤は逃げた 一生の背中の後ろに隠れた 「一生……蹴っ飛ばしたか?」 康太は一生の頬に触れた 「……俺は慣れてるから大丈夫だ」 康太は一生の頬をペロペロ舐めた 「……旦那……康太を引き取ってくだはれ」 一生が言うと榊原は康太を抱き上げた 清家は泣きながら…浴室へと消えて行った 一生は着替えを用意してやった 一生は「めっ!」と康太を怒った 聡一郎が説明してやった 榊原は……顔を覆った 本気で……この子は… 榊原は康太を抱き上げると、客間を出て行った そして寝室へと康太を連れて行った ベッドの上に康太を放ると、榊原は服を脱ぎだした 「康太は誰のモノですか?」   榊原は服を脱ぎながら問い質した 「伊織の……オレの総ては伊織のだ……」 「なら口説かれたら……断って下さい!」 「………本気でオレを欲しがる奴なんていねぇよ! 口説いていても……オレを知れば……皆……逃げてくからな」 康太は皮肉に嗤った 康太にこんな顔をさせたい訳じゃなかった 「………康太……僕だけ欲しがって……」 「伊織しか要らねぇよ 昔も………今もな……」 「……僕以外の……触らないで」 「寝てたからな……覚えちゃいねぇよ」 「………僕が欲しい?」 「伊織が欲しい オレがどれだけ伊織を欲しがってるか……教えてやんよ」 康太は笑って服を脱いだ 総て服を脱ぐと榊原を押し倒した 榊原に執拗な接吻を送りながら…… 榊原の体躯を弄った 執拗な接吻を辞めると……康太の唇は…… 顎を舐めて、乳首を舐めて……腹筋を舐め上げた そして草むらに聳え立つ性器を舐めると…… 自分の手を濡らして……秘孔を解した 榊原が触ろうとすると…… スルッと交わして……康太は秘孔を解した 榊原はそんな康太の痴態に……イキそうになった 康太は榊原の上に乗ると…… 榊原の肉棒を握り締めた そして秘孔に押し当てて……飲み込み始めた 「伊織が欲しくて… 伊織が愛しくて…… オレは狂いそうになるんだよ! この心臓を抉って……お前に見せてぇ…… 伊織しか想わない心臓を…伊織に見せてやりてぇ…… 伊織しか見ねぇ瞳を……抉り出すか? 構わねぇぜ…… オレはお前にされるなら……たとえ殺されても……喜んで死ねる……」 康太は榊原の肉棒を食べて……腰を揺すり始めた 榊原は康太に言わせた後悔に囚われる 康太を強く抱き締めて主導権を奪回して康太を味わう 康太…… 康太…… 君はモテるから……僕の悩みは尽きません 狂った様に康太を求めて抱いた 康太は榊原の思いのまま……身を投げ出していた 子供じゃないけど… 総てをコントロール出来る程の大人でもない 成人式の翌日 榊原は……康太を抱きつつ…… 未熟な自分を後悔した 【果てまで続く明日】 清家は気を取り直して、着替えて朝食を取る事にした 兵藤も朝食を一緒に取ろうとキッチンに向かった 兵藤はキッチンに座っていた流生達に笑顔を向けた 「ひょーろーきゅん」 流生が兵藤を嬉しそうに呼んだ 「お!流生!元気でいたか?」 兵藤は流生を抱き上げた 流生はキャッキャと喜んだ 清家は兵藤に誰?と尋ねた 「康太と伊織の子供の流生だ!」 兵藤が紹介すると流生は 「ちわ」と挨拶した 「翔と音弥と太陽と大空だ」 4人は「「「「ちわ」」」」と挨拶した 「…うわぁ……可愛い……」 清家は音弥を撫でた 「静流、座れよ」 一生に言われて清家は座った 慎一や一生は康太の子供の食事をさせていた 「………かぁちゃ……」 と音弥が呟いた 一生は「後で来るから大丈夫だ!」と音弥を撫でた 大空が「とぅちゃ…も?」と問い掛けた 「おう!とぅちゃもかぁちゃも後で来るから大丈夫だ!」 子供達は嬉しそうだった 清家は子供達を見ていた 一人一人……見知った顔のコピーみたいだった 食事が終わると翔達は託児所に行くのに…… この日の翔達は…車に乗るのを拒んだ 一生は「康太と旦那が連れて行けば良い事だから置いて行って構わない」と言った 「康太と旦那が来るまでは俺らもいるし…」 一生が言うと玲香と京香は会社に向かった お昼過ぎ、康太と榊原はスーツに身を包み下りて来た 「翔……どうしたのですか?」 託児所に行ってる筈の子供達がいて榊原は驚いていた 「とぅちゃとかぁちゃが来るまで託児所に行きたくねぇんだってさ」   一生は説明した 康太は笑って足下に抱き付く音弥を抱き上げた 「音弥、どうしたよ?」 「かぁちゃ」 音弥は康太に抱き付いて泣いた 康太はソファーに座り音弥の背中を撫でた 大空は榊原に抱き着いた 「とぅちゃ…」 泣きながら抱き着かれ……榊原は大空の頬にキスを落とした 流生はソファーによじ登り、康太に抱き着いた 太陽も翔もソファーによじ登った 康太は5人の子供を抱き締めた 清家は「お前の子なのか?」と問い掛けた 「おう!オレの子供達だ! 顔を見れば……誰の子か……薄々気付いているんだろ?」 「………音弥は隼人 流生は一生 太陽と大空……は榊原? そして翔は瑛太さん?」 「そうだ…太陽と大空は…… 伊織の子じゃねぇの…… 伊織の母さんがオレにくれた宝物なんだよ」 「………康太はすげぇな……」 「静流……おめぇは今……我慢すれば……近い将来……壊れてしまう……嫌なら嫌って断らねぇと……担ぎ出された神輿に飾られて……人形にしかなれねぇぞ」 「………康太……」 「オレは清家静流と言う歌舞伎役者が好きだ おめぇは生き生き役を演じてる……だがな自分を押し殺せば…死ぬぜ 清家静流と言う歌舞伎役者は……いなくなる おめぇは岐路に立ってるんだよ? だからヌイてスッキリした後に告げてやろうと思ったんだよ!」 「……僕は………早漏じゃないですからね……あんなに早く……」 清家は恥ずかしそうに言った 「気にすんな!あんなの自慰と変わらねぇからな!」 「………本当に……君は……」 「清家静流、我が道を逝け 振り返るなよ!ぜってぇに振り返るな! おめぇは自分の信じた道を逝け!」 清家は深々と康太の頭を下げた 「ありがとう……」 「誰かが何か言ったら、飛鳥井家 真贋の言葉……だって言ってやれ そしたら黙ると想うぜ」 清家は何度もうんうん……と頷いた 落ち着いた頃、清家は還って行った 兵藤は康太の顔を見ると 「お節介焼き!」と揶揄した 「なら今後一切貴史のは見ねぇよ!」 「え!それは困る……」 「お節介は廃業だ」 「康太、俺とお前の仲じゃねぇかよ!」 兵藤が言うと榊原がムスッと怒った 「康太、どんな仲なんですか?」 と康太に迫った 「貴史!余計な事は言うな!」 「なら、秘密の関係って事で…」 「…秘密にしなきゃならない関係なんですか!」 榊原の目は据わっていた 「貴史!」 康太は怒った 兵藤は嗤っていた 一生や聡一郎、隼人、慎一はそんな康太達を見ていた 君と一緒に何処までも…… その願いの元…… 何処までも逝くと誓った 康太…… ずっと一緒にいましょう! 皆の願いだった 新成人 おめでとうございます

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