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第24話 恋人たち②
「……一生、遅刻する」
力哉はさっさと支度すると部屋を出て行った
一生はそれを見送り笑った
甘い時間は続かねぇな……
力哉だからな……
でも今夜は指輪を買って貰う
一生は部屋を出てリビングに向かった
康太は疲れた顔してソファーに座っていた
一生は横に座り康太の髪を撫でた
康太は目を醒ました
「新婚してんじゃん」
康太は笑った
「ラストチャンスをモノにしたからな……大切にしねぇとな」
「幸せにな一生
力哉を幸せにしてやってくれ
そしてお前も幸せになれ」
「おめぇがいて力哉がいる
俺は幸せだぜ!
今世が終わったら俺は力哉を連れて還るわ…」
康太は驚いた顔をした
「本気?」
「頗る本気!
今夜、力哉に首輪をつけられる」
康太は笑った
榊原がリビングに顔を出し、康太を持ち上げた
「やっと一生も首輪を付けられますか?」
「みてぇだな!」
「幸せでなよりです」
榊原はそう言い康太を連れて階下に下りて行った
一生はそれを追って行った
1番愛してるのは昔も……今も……
お前だけだ……
お前が幸せならそれで良い……
一生は榊原を追った
その夜、力哉は宝石店に一生を連れて行った
エンゲージ指輪のショーケースの中から一生に似合う指輪を探す
力哉は金色と銀色のねじ込んだ指輪を店員に出して貰った
「この人の指に合うのをお願いします」
力哉は恥ずしさを噛み締めて、店員に伝えた
店員は幾つか出して一生の指にはめた
そしてピッタリの指輪を
「これなどどうですか?」
一生の指に指輪をはめる
「これ程にピッタリにお直しのしないのは珍しいです
お似合いで御座います
サイズが合わないとお直ししてからのお渡しになりますが、その必要は御座いませんね
本当にピッタリで御座いますね」
と店員は嬉しそうに言った
力哉は一生の指輪を
「梱包いたしますか?」聞かれたが
「このままで!」と言った
ケースを綺麗な箱に入れてくれ、包装してくれリボンを付けて力哉に渡してくれた
力哉は清算すると一生と共に店を出た
一生は指輪をはめた手を力哉に見せた
「力哉のだからな」
力哉は泣きそうな顔を一生に見せた
「うん……全部僕のだから…」
「離すなよ」
「うん。一生も離さないで…」
一生はニカッと笑って力哉の肩を抱いた
「帰るか?飛鳥井の家に」
「うん!飛鳥井こそが僕達のいる場所だからね」
一生は力哉の手を繋いだ
人に見られても構わない
一生は平気な顔して力哉の手を取った
何が起きても大丈夫
自分達がしっかりと離れなきゃ大丈夫
力哉と一生は手を繋ぎ
飛鳥井の家に帰った
ずっと離さないで……
そんな想いを込めて力哉は一生の手を強く握り締めた
一生はそんな力哉の手を強く……強く握り返した
【四宮 聡一郎】
四宮聡一郎はフランス人の母親エレーヌと
日本人の父、朝霧との間に生まれた
父、朝霧は妻をこよなく愛していた
母、エレーヌはそんな朝霧を愛していたから、彼の子供が欲しかった
だが朝霧は出産後体調を崩したエレーヌを見るたびに……
産ませるんじゃなかった……と後悔した
それ程に四宮朝霧は妻を愛していた
妻が朝霧を遺して死ぬなんて……
想ってもいなかった
妻は……出産後、体調を崩し……
聡一郎が中学に上がる前に…
この世を去った
四宮朝霧は………
妻の死を受け止める事は出来なかった
コイツが産まれたから…
エレーヌは死んだんだ
朝霧は聡一郎を憎むようになった
憎んで……憎んで………
愛するエレーヌを求めた
聡一郎が寝ている時に朝霧は聡一郎の部屋の入り込んだ
寝顔を見ていたら憎しみがわいてくる
その癖……エレーヌによく似た髪に……肌に……瞳に……
朝霧は聡一郎の中のエレーヌを求めた
寝ていた聡一郎を裸にひん剥いた
聡一郎は何が起きたのか……
解らなかった
「………父さん……?」
怯えて父を呼んだ
朝霧は敢えて「エレーヌ」と妻の名を呼んだ
その日から……
聡一郎の悪夢は始まった
中学生になった聡一郎は、周りと自分の違いを解っていた
毎夜……父親がベッドに入り込んで来て……
繰りかえされる日々に……
聡一郎は生きていくのを諦めていた
父親の性器を舐めさせられる……
歯が当たったり…
うえっ……と吐きそうになると朝霧は聡一郎の殴って首を絞めた
「舐めろ!
綺麗に舐めあげろ」
言う事を聞くしか出来ない子供だから……
聡一郎は父親の言いなりになった
何時の頃からかエレーヌが聡一郎に変わる
この人は……誰が欲しいのか……
解らなくなる
父親の性器を挿入され……
蹂躙される
悪夢は終わらない……
行為が終わっても朝霧はバイブを聡一郎に挿入 して一晩中苦しめる
そんな体躯に……
制服を着て……聡一郎は学校に通っていた
「聡一郎、おはよ!」
康太が元気に声をかけてくる
そして聡一郎をじっと見る
聡一郎は見透かされそうな瞳に背を向けた
知られたくない……
毎夜父親に抱かれて精液まみれになってる自分なんて…
知られたくなかった
帰宅するまで朝霧は窓の外を見て聡一郎を待つ
康太や一生達と帰って来る姿に……
朝霧は聡一郎を盗られると……
脅威になった
部屋に繋ぐ
鎖で繋ぐ
トイレとバスルームに届く長さの鎖で聡一郎を繋いで……
部屋に飼う
外には出さない
「……聡一郎……聡一郎………
お前は絶対に誰にも渡さない
お前は私に償わねばならないんだからな……
エレーヌが死んだのは……お前がこの世に出て来たせいだ…」
毎夜繰り返される呪文
聡一郎は壊れていた
言葉をなくして人形になる
聡一郎は……朝霧の意のまま抱かれる人形になった
この地獄から逃げられないから……
諦めるしかないのだ
諦めて……心をなくす
聡一郎が学校に来なくなって、一生と康太は四宮の家に偵察に行った
縁の下に潜り込み……
その家で何が行われているか……知る
「聡一郎……もっと鳴け……」
「あぁん……父さん……父さん……」
聡一郎は声をあげて喘いでいた
一生は縁の下から出て……
「くそったれが!」
と叫んだ
狂っている
狂っている世界に聡一郎はいた
康太が弁護士と四宮朝霧の祖父を動かして、救助に入った時……
聡一郎は犬の様に繋がれ
お尻の穴にバイブを咥えていた
父親の性器を舐めながら……
精液まみれになっていた
部屋に踏み込んだ康太と一生と弁護士は……
言葉もなく……
その姿を見ていた
聡一郎の体躯は…
全身切り刻まれていた
乳首には針が刺さっていた
警察が介入して聡一郎は保護された
未成年と言う事で、弁護士は二度と聡一郎と朝霧は逢わせない様に手続きした
体躯の傷は癒えても……
聡一郎の心は癒えなかった
一生は康太を弾いた
康太を弾いて一生は聡一郎を組み立てた
聡一郎を抱いて呪文の様に
「綺麗だ聡一郎」と言った
聡一郎は「………僕は汚い……」
狂った様に聡一郎は魘され……
泣き叫ぶ
精神が病んでいて……
何度もカウンセリングを受けた
でも聡一郎は心を開く事はなかった
一生は聡一郎と常に一緒にいた
聡一郎がしたい事をした
何時しか……聡一郎と一生は学園一の嫌われ者になっていた
堕ちても……
嫌われても……
狂っても……
一生は何時も聡一郎の側にいた
「……聡一郎……聡一郎……愛してる……」
呪文の様に一生は囁いた
「…一生……一生……僕は一生に抱かれてるんだよね?」
「あぁ……もう悪夢は二度と来ない……大丈夫だ聡一郎…」
気の長い日々を一生は聡一郎を再生する為に費やした
聡一郎は……何とか立ち直った
高校一年の時
聡一郎は初めて好きな人が出来た
東雲聖
一つ上の先輩だった
相思相愛の恋人同士になった
だが……受験を理由に……
東雲聖は聡一郎に別れを告げた
やはり上手くいく筈がない……
と聡一郎は乱れた日々を送った
誰彼なく寝る
請われれば付き合って寝る
でも長続きしない
付き合っていても聡一郎は他の奴と寝るから……
常にトラブルが耐えなかった
一度……サドの保険医と寝て……
聡一郎は全身傷だらけにされた
唇にホテキスで止められ……
乳首には……安全ピンが幾つも止められていた
康太は怒った
聡一郎は止めたが……
康太は保険医を……退職にまで追い込んだ
一生が聡一郎の看病をした……
康太は聡一郎を殴り飛ばした
「オレの傍にいてぇなら!
二度と愛する男以外と寝るな!」
聡一郎は康太に殴られて……
涙を流した
「………僕は穢れて汚いから……
誰も本気でなんて抱く気なんかない…」
「誰が汚ぇって?
聡一郎の事を汚ぇって言う奴いたらオレが容赦しねぇ!
おめぇは穢れてなんていねぇ!
これ以上、四宮聡一郎の事を貶めると、例えおめぇでもオレは許さねぇぞ!」
そう言い康太は聡一郎の頬を叩いた
「………康太……
僕は君の傍にいたい…………」
君は僕達に遺された最期の光なんだから‥‥
聡一郎は泣いた
誰彼なく寝るのは辞めた
そんな頃……
悠太に告白された
「……聡一郎君……俺の事……好き?」
単刀直入に聞かれた
聡一郎は必死に縋る悠太が愛しくて抱き締めた
だが……康太から預かってる…
その想いが……ブレーキを掛ける
「………好きだよ……」
裏切り者の口は……
悠太に好きだと告白していた
悠太は聡一郎を抱き締めた
そんな悠太を突き飛ばして……
聡一郎は悠太を拒んだ
「……ダメだ……康太を裏切れない……」
聡一郎はそう言い泣いた
悠太は……自分の無力さを思い知らされた
瑛太が倒れて大変な時期だった
病院に寝泊まりして、康太の変わりに瑛太の看病をした
着替えを取りに飛鳥井の家に帰った時……
悠太は聡一郎を待ち受けていた
「………最近……顔も見せてくれない……」
悠太はそう言い聡一郎を床に押し倒した
「……悠太……痛い……」
「俺を避けてる?」
「瑛太さんが入院してるの……知ってるよね?」
「……知ってる……飛鳥井の家族は……それで家に帰っても来ない……」
「なら、子供みたいに無茶言わないでよ
康太は会社に行ってる
僕は瑛太さんの看病をしなきゃならないんだ!」
「………聡一郎……愛してる……」
「………悠太……」
聡一郎は嬉しかった
弟のように可愛がって来たのだから……
いい男になる様に厳しく鍛えて来た
その悠太に告白されて求められるのだ……
嬉しくて……泣きそうだった
求める悠太の情熱に負けて……
聡一郎は悠太を受け入れた
がむしゃに悠太は聡一郎を求めた
聡一郎は悠太を抱き締めて……
泣いた
悠太を受け入れる時……
それは康太への裏切りになるのだから……
知った康太は……
自分を切る……
康太に切られる……
聡一郎は泣きながら……
悠太を受け入れた
「………悠太…愛してる……」
聡一郎の本心だった
そして……受け入れた今……
もう引き返す道は……
なくなった
瑛太が退院すると……
康太は学園生活に戻った
時折……聡一郎を見る
聡一郎は……
そんな時……康太に切られる……とドキドキした
ごめん……
僕は……君を裏切ったんだ
康太は何も言わなかった
それが……聡一郎を苦しめた
聡一郎は飛鳥井の家を出た
家を出る時……悠太に見つかった
悠太は聡一郎を抱き締めて
「……俺も一緒に行く……」
と言い聡一郎の手を握り締めたまま、自分の部屋に行き荷物を荷造りした
そして聡一郎と共に飛鳥井の家を出た
二人で手を繋ぎ……
電車に乗った
……思い付くのは……
四人で行った場所しか思い付かなかった
千葉の九十九里浜……
隼人が四悪童に加わって、初めて四人で行った海に……
行こうと想った
悠太と聡一郎は九十九里浜に行った
九十九里浜に行き……
近くのホテルに宿を取った
そして毎朝……
聡一郎は海に出て……
四人で過ごした日々を思い浮かべながら……泣いていた
帰れない
帰りたい
康太に逢いたい
康太に逢いたい……
でも康太に逢えない……
絶望が聡一郎を包んだ
そんな時康太を見た
懐かしい康太の姿を見た
一目康太を見るだけで……
想いは康太の傍へと飛んでゆく
康太……
僕は君をなくしては……生きられません……
悠太は泣いて過ごす聡一郎を……
抱き締めるしか出来なかった
体躯は繋がっても…
心は遠かった
自分の無力を突き付けられた……
聡一郎を護れる男になる
悠太は心に決めた
康太に許してもらい
飛鳥井の家に戻った
聡一郎と紆余曲折、乗り越えて今もいる
悠太は聡一郎に相応しい男になろうと……
日々努力を怠らない
聡一郎はそのままで良いと言う
だが悠太は聡一郎を守りたかったのだ
アメリカに行かなければならない……と決まった日
聡一郎は徹底的に英会話を叩き込んだ
朝から晩まで日本語は話さない
ペナルティーは……
女装だった
女の子の格好をしてる時は……
聡一郎に犯される……
聡一郎はスカートを……スケベ親父の様に捲り……
悠太を犯して行くのだ
犯されたくなければ英会話をマスターしろ……
と言われて
必死にマスターした
聡一郎に犯されるのは……屈辱だった
聡一郎は上手いから……
どっちも経験あるのが解る
それで……少しだけ……妬けるのだ
「……聡一郎……ゃ……」
「悠太、隠さずに見せなさい」
「……ゃ……聡一郎……エッチぃ事するもん……」
「君が悪いんでしょ?」
「……だけど……」
「……四の五の言うとバイブ突っ込むよ?」
「……しないで……」
悠太は素直にスカートを捲った
スカートの中の性器は既に勃ち上がっていた
小さなパンティを持ち上げて……
窮屈そうだった
「もう大きくなってるんですか?」
悠太は真っ赤な顔をした
「……聡一郎……許して……」
「ペナルティーですからね」
「そうだけど……」
「可愛いですよ
流石兄弟ですね、康太と似てますね」
「……聡一郎……」
聡一郎はそう言い悠太の性器に触れた
パンティをベタベタに濡らして勃起してるのには触れずに…
パンティを脱がして秘孔に触れる
指を挿し込み解すと……悠太の腰は揺れた
「……悠太……美味しそうに指を食べてますね…」
「……ゃ…言わないで…」
「……今度からディルドで後ろを蓋してあげましょうか?
後ろをディルドに犯されて、肉棒は僕の穴で食べてあげます
だから、頑張って覚えなさい」
「……ぁ……あぁ……聡一郎……」
言葉だけで悠太の性器は膨張した
聡一郎に挿入されて、後ろを犯される
女の子みたいな格好をして…犯される……
倒錯的な感覚に……悠太はイッた
イッても引かない熱に魘されて……
今度は聡一郎の秘孔に挿入される
聡一郎が上に乗って…悠太を食べていた
「……悠太……」
聡一郎の口吻に蕩かされて……
悠太は日々鍛えられていた
……悔しいけど……
脇田誠一と共に行ったニューヨークで、英語が役立ったのは……
言うまでもなかった
【傍に…】
悠太は寝ている聡一郎の耳に……
瞳と同じ蒼い石を入れたピアスをはめた
聡一郎は穴が開いてないから……
ポチっとピアッサーで穴を開けた
そして直ぐに付け替えた
聡一郎の耳に……
蒼い石が似合っていた
「……っ……」
聡一郎は痛みで目を覚ました
「……悠太、何かした?」
「……ごめん……痛かった?」
「……少し……痛かった…」
「……ごめんね…」
「…何したんですか?」
「……ピアスを入れた……」
「ピアス?何故?」
「康兄達や一生君達は指輪だよね?
俺も指輪……送りたかった……
でも……聡一郎がはめてくれるか……解らなかったから……
ピアスにした……」
「悠太……君からのプレゼントなら、僕は何でもしますよ?
指輪、嬉しくて泣きます!」
「……聡一郎……」
悠太は……聡一郎の言葉が嬉しくて泣いた
「……君が泣いてどうするんですか?」
「…ごめん……嬉しくって…」
「悠太…」
「なに?」
「僕が指輪をするなら、君もするんですよね?
悪い虫が悠太を狙っているので、指輪つけてくれますよね?」
「……ペアでも良いの?」
「大歓迎です!
指輪は僕が買ってあげます
君の耳に僕の選んだ石を入れてあげます
浮気したら殺しますからね!」
「しないよ!
俺は聡一郎だけで良い」
「なら指輪買ってあけます」
「聡一郎もしてくれるの?」
「当たり前でしょう?
ペアリングなんですからね!」
「………嬉しい……」
「僕も嬉しいです
君が所有権の主張をしてくれて……僕は君のモノです」
「ずっと?」
「………ええ!未来永劫……君は僕のモノです!」
「嬉しい……聡一郎……」
「指輪買ってあげるんですから、優しくはめて抱いてあげます」
「………聡一郎……」
「抱かれたくない?」
「………抱かれたいよ……
でも聡一郎を抱きたい……」
「僕達は、僕達らしく行きましょう!」
「……うん……聡一郎…」
「本当に可愛いんだから…」
悠太は……ゾミッと震えた
聡一郎は……甘い顔してると油断すると……
頭からパクッと食べられてしまう……
それが嫌じゃないから……
自分も大概……聡一郎にやられてるのだけど……
「これが僕達の愛です」
「うん……」
「僕達だけの愛です」
「愛してる聡一郎…」
「……仕方ない……今夜は抱かせてあげます……」
悠太は聡一郎を蕩けさせ……抱いた
翌日、指輪買って貰ったら……
指輪をはめられ……
抱かれた
喘がされて……愛してると言い続けた
目が醒めて……
薬指にはまってる指輪を眺めた
聡一郎とお揃いの指輪だ
そう思い悠太は聡一郎を見た
…………その長い綺麗な指には……
指輪はなかった
え?………嘘……
聡一郎は首のネックレスを悠太に見せた
聡一郎の首にはお揃いの指輪が通されていた
「……何で……」
「なくしたくないからね!
僕は指輪をはめても無くするから……首に通したんだ
お揃いだろ?
君と僕の愛の証だよ?」
「……聡一郎……指じゃないんだ…」
「耳には悠太の所有権の証が入ってるだろ?」
「………一緒が良いな……」
「時々はめるよ……
でもな悠太も首に通しておこう!」
「……え?何で?」
「高校生でエンゲージリンクか?目立つだろ?」
聡一郎はそう言い悠太の指輪をチェーンに通した
そして首につけてやった
「指にはまってなくても、僕は悠太のモノだよ」
「俺も聡一郎のモノだから……」
「………ずっと傍にいて……」
「うん!ずっと傍にいる」
聡一郎と悠太は互いを強く抱き締めた
「未来永劫なんだよね?
当然……死んでも一緒だよ?」
「うん!死んでも一緒だから!」
「よし!」
聡一郎は悪魔の様な笑みで嗤った
悠太は少しだけ……
後悔した
でも傍にいたい想いは変わらない
すっといような聡一郎……
END
【恋人たち】
康太はソファーに座って、榊原の肩に寄り掛かった
力哉と一生はお揃いの指輪をはめていた
もう離れない証を、力哉に贈ったのが解る
聡一郎は耳にピアスをしていた
蒼い……聡一郎の瞳と同じ色だった
そして首にはお揃いのエンゲージリンクがネックレスに通っていた
聡一郎と悠太も……
永遠を誓ったのだ
康太は隼人の肩を抱いた
「隼人は……恋人いないのか?」
「……まだ良い……
康太……オレ様は康太とずっといたいのだ……」
「いるだろ?」
「……死んでも康太といたいのだ……」
「………隼人……」
「聡一郎は悠太と……
一生は力哉と……
ずっと離れず一緒にいるんだろ?
ならオレ様は康太とずっといたい……
離れたくないのだ……」
「……隼人……」
「……次……生まれ変わっても……康太がいないのなら……
オレ様は生まれ変わりたくないのだ……
康太がいなければ……生きていたくないのだ……」
康太は隼人を強く抱き締めた
「……隼人……オレの長男だろ?
ずっと……オレの子供でいろよ…」
「……それは……今……生きてる間だけだろ?」
「……オレとずっといたいか?」
「……康太とずっといたいのだ……
オレ様はずっと神様に頼んでいる
この世に神様がいるなら……
オレ様を康太と一緒にいさせてくれ…と願っている……
無理なのは……解っている……
オレ様は…何も持たない人間だから……
何時か康太と離れなきゃいけないのは……解っている」
「……離れなくても良い
オレの長男でいろ!
オレと共に来れば良い……」
「……康太……オレ様は……お前がいないと生きられないのだ…
だから…オレ様を置いていかないでくれ……」
「隼人大丈夫だ!
我ら四悪童は何時までも共に在る!」
隼人はずっと不安だったのだ……
何時か別れる時は来る
それでも康太といたいと想うのだ
隼人は泣いて……泣いて……
泣き疲れて眠った
隼人の頭を音弥は撫でていた
慎一が隼人にブランケットを着せた
「慎一 何処まで行っても世話のかかる長男だ……」
「貴方の長男ですから……責任は取らねばなりませんよ
大丈夫です!俺は何処までも貴方に仕えて行きますから!」
康太は嬉しそうに笑った
「………慎一、誰かを愛さねぇのか?」
「………俺は貴方を総てにおいて優先します!
優先したいのです……
ですから……俺と一緒になっても……幸せにはなれません
俺には主さえいれば良いのです」
「………慎一、お前が何時か誰かを愛して……愛されて欲しいと願うのは……主として当然じゃねぇかよ……」
「俺は貴方に仕えられれば良いのです
我が子がいます……
貴方がいます
……そして皆がいます……」
「………慎一 ありがとう…」
「……未来永劫、俺は貴方に仕えたい……
今世限りかと諦めていました
でも貴方は……来世も仕えて良いと言って下さいました
俺はそれだけで良いのです」
「………慎一…」
慎一は何も言わず、康太の前にプリンを置いた
「俺の事は良いのです
貴方が元気にいてくれれば……」
「慎一は、んとにオレに甘ぇよな!」
「大丈夫です
他には厳しいので丁度良いです」
榊原は康太を抱き締めた
「貴方達は本当に仲が良い
貴方達の様な恋人たちには適いません……
俺はそれを傍で見守れれば良いのです」
康太は榊原の膝に跨がると
首に腕を回した
「伊織、恋人たちの時間だ…」
康太はそう言い榊原の口に口吻た
プリンの匂いのする唇に蕩けさせられる
榊原は康太を抱き締めたまま立ち上がった
「慎一、後は頼めますか?」
「はい!恋人たちの時間を満喫して下さい」
榊原は笑顔で寝室へと向かった
「伊織、愛してる」
「僕も愛してます」
榊原は寝室のドアを開けると、康太をベッドの上に置いた
ドアの鍵を掛けて
榊原は服を脱いだ
康太も服を脱いで、ベッドの上で榊原を待った
榊原のペニスは既に勃ち上がっていた
甘い時間が二人を包む
榊原は康太を押し倒した
甘く鳴かせて……
一つに繋がる
愛してるから身も心も繋がりたいと願うのだ
恋人たちの上に
祝福があります様に…
その出会いは奇跡なんだから…
当たり前の日々なんて来ない
毎日を二人で築いていく
諦めた時……
その先がなくなる
諦めず……築くから明日へ繋がるのだ
愛してる…伊織
恋人たちの時間は甘く幸せに満ちていた
愛してます康太…
離れたくないから……
互いを離さずに……
いてください
【乗り越えた愛】
悠太は高校二年のクリスマスが近付いた頃、敵対していた勢力に監禁され暴行の限りを尽くされ何ヵ月も放置され
瀕死の重体となった
傷を治して学校に復帰した
兄達が過ごした学校で生活して自分なりの伝説を残すのが悠太の夢だったからだ
だが‥‥暴行を受けた体躯が悲鳴をあげて‥‥日常生活させ出来なくなった
兄や家族は悠太を生かす為に必死に動き回ってくれていた
だが‥‥‥もう元には戻らない事は自分が一番良く解っていた
重荷にはなりたくなかった
治療すれば治ると謂われても‥‥‥
絶対に治してやると謂われても‥‥
不自由な生活は否めはしないだろう
悠太は聡一郎に「別れよう聡一郎」と別れを切り出した
「へぇ、良くもそんな台詞を謂えますね
永遠の愛を誓ったその唇で‥‥別れようと謂うのですか?」
「何と謂われようとも‥‥仕方ないけど‥‥別れよう聡一郎」
聡一郎は悠太を殴り倒した
「僕に別れを告げる暇に治療に専念しなさい!」
「してるよ!‥‥‥だけど日々劣っておくんだ
そのうち俺は一人じゃ何も出来なくなる‥‥」
悠太は泣いて訴えた
「そしたら君一人位背負ってやると謂ってるじゃないですか!」
「俺は一人で良い!」
恋人に縋って依存して生きてなんて行きたくない‥‥
聡一郎は悠太の胸倉を掴むと
「僕を愛していると謂った口で別れを謂う気ですか?」
涙を浮かべて吐き捨てた
悠太は‥‥別れてやる事こそ愛だと想っていた
一緒にいれば迷惑が掛かる‥‥
「愛してるよ聡一郎‥‥その言葉に嘘偽りはない‥‥‥だけど俺は‥‥‥もう一人で立つ事だって出来ない‥‥‥そんな障害抱えた恋人なんて聡一郎に相応しくない‥‥」
「僕は悠太が廃人になろうとも、障害者になろうとも、構いません
ましてや君は治療すれば希望がある
君は‥‥‥治してやると謂った兄の言葉が届いてないのですか?
康太の言葉を疑っているのですか?」
「違う!違うんだ‥‥‥聡一郎
俺はもう聡一郎を抱く事も出来ない‥‥
そんな恋人なんて‥‥要らないだろ?」
「貸しにしてあげます!
だから治しなさい!
僕は君を支えて気が遠くなる程の治療に挑むつもりです
君には僕がいます
康太や伊織、そして飛鳥井や榊原の家族がいます
だから不安にならなくても大丈夫です」
「聡一郎‥‥」
「セックスは愛情のバロメーターとして必要かも知れませんが、それだけではないでしょ?
互いを思いやる想いがなくば、愛は先へは繋がりませんよ?
僕は君を離す気はありません!
僕を捨てるなら呪ってやります!
覚悟があるなら僕を捨てなさい!」
聡一郎の言い種に悠太は笑った
「呪われちゃうの俺?
それは怖いな‥‥聡一郎」
「なら別れを謂う前にプロポーズしなさい!
そしたら共に逝ってあげます!」
悠太は聡一郎に手を差し出して
「俺と共に生きて下さい
障害を背負う不甲斐ない男だけど‥‥聡一郎を愛する想いは誰にも負けてないから‥‥結婚して下さい!」
そう言った
聡一郎は悠太の手を取り
「僕の伴侶は未来永劫、君だけです
君が死する時、僕は君の魂を連れて逝きます」
「聡一郎‥‥」
悠太は泣いて聡一郎を抱き締めた
「愛してます悠太」
「俺も愛してる聡一郎」
「ならば式をあげますか‥‥正式に君の伴侶になります
そしたら病院で付き添えますからね‥‥」
悠太は何度も何度も頷いた
後日、聡一郎と悠太は式を挙げた
二人だけで式を挙げた
どちらがウェディングドレスを着るかで揉めて、二人してタキシードを着て式を挙げた
とても幸せな一時だった
もう悠太は立てなくて車イスに乗って挙げた式だったが、二人でいられる時を感じて聡一郎は笑っていた
二人で写真を撮った
二人で笑って写真を撮った
結婚証明書にサインして、二人は名実ともに夫婦となった
寂しい結婚式だったが、聡一郎は世界で一番幸せだと想った
繋いだ手は絶対に離さないと決めた
悠太が逝く時、共に逝くと誓った
あの日から幾多の日々を過ごした
不安で泣きそうな日々も
発狂しそうな夜も‥‥‥
聡一郎は共にいてくれた
彼の愛に支えられ悠太は曲がる事なく苦しい日々との闘いに耐えていた
悠太は聡一郎に「愛してるよ聡一郎」と謂う
聡一郎は嬉しそうに笑って口吻けた
聡一郎は来るたびに季節の匂いをさせて来た
それだけが悠太が唯一感じられる季節感だった
長い長い闘病生活を耐えられたのは‥‥
見舞いに来てくれる飛鳥井の家族や
榊原の家族
康太の仲間や神野、相賀、加賀、戸浪、時々久遠医師達の想いだった
そして葛西敏樹と謂う友の存在だった
多くの人が悠太を見舞ってくれた
母や父は‥‥‥心労の為か‥‥老けたと感じた
心を痛ませているのを知る‥‥
悠太は付き添ってくれてる聡一郎に
「還りたいなぁ‥‥」と呟いた
聡一郎は悠太を抱き締め
「還れます、康太が悠太を還すと謂ってくれた‥‥僕はその言葉を疑う事なく信じています
だから悠太‥‥還りましょう
康太のいる場所に必ず還りましょう」
そう訴えた
辛い日々も君がいてくれれば堪えられた
君がいてくれれば、乗り越えられた
歩いて逝こう
辛くても苦しくても‥‥
共に逝くと誓ったのだから‥‥‥
「聡一郎、俺は聡一郎を愛して良かったと想う
ありがとう聡一郎」
聡一郎は嬉しそうに笑って謂った
「僕も君を愛したからこそ乗り越えられた
僕と共にいてください‥‥この命が尽きても共に‥‥‥」
とても幸せな聡一郎の愛の告白
「共にいよう聡一郎」
抱き合う姿は絶対の愛の姿が在った
乗り越えたからこそ在る愛だった
この先も共に在る愛だった
だから還ろう
共に生きる為に還ろう
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