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第26話 An eternal sweetheart
伊織……愛してる
お前の総てを愛してる…
伊織…
伊織…
抱いて…
離さないで…
些細な事で喧嘩した…
そんな二人の…心の…葛藤
※この作品は本編とリンクしたお話ではありません
もし喧嘩をしたら?と考えて書いたお話です
【些細な…】
「もう良い!俺に構うな!」
康太は叫んだ
「ならば…勝手にしなさい!」
榊原は…康太にキツい言葉を投げ掛け背を向けた
会話はもう終わりだと…
榊原は背を向けた
拒絶された…背を目にして…康太は…涙を溢れさせた
そんな背中は…
見たくなど…ない
康太は寝室を飛び出した…
振り向く榊原よりも早く…康太は出ていった
榊原は…そんな康太を止めれずに
見送った…
康太のいなくなった部屋に…
静けさが戻る
榊原はベッドに腰掛け…
頭を抱えた
喧嘩をした
無茶ばかりする康太に…
黙ってられず…
感情を…ぶつけた
「それでもオレは行かなきゃなんねぇんだよ!」
康太は…榊原に食って掛かった
無茶なのは百も承知だった
それでも…その道しかないのなら…
行くしかない!
逃げ道は用意しない!
それが……飛鳥井康太の…生き様だったから…
榊原は…頑なな康太にため息を着いた
それが、康太の感情を逆なで…
止まれなくなった
榊原を困らせたい訳じゃない…
榊原に心配なんか…かけさせたくない
愛してるのだ…この男を…
愛してる…
愛してる…
愛してる…
愛してるんだ!伊織を!
愛していても…
康太にはやらねばならぬ事がある
飛鳥井家 真贋として
生きている以上は…
やらねばならぬ事ばかり
明日の飛鳥井の…礎を築く
その為だけに…オレは生きてるのだから…
だから……
だから…オレの動きを止めるな!
康太が叫んだ
榊原も、そんな事は…
解っている
解っているが……
愛する人が傷付くのは…
自分が怪我するよりも
痛いのだ…
だから…言わなくて良い事まで
ついつい…言ってしまう…
解っているのに……
心配が募りすぎ…
言葉に出てしまった
互いを愛し過ぎて…
心配しすぎて…
想いだけ募らせた…
心配が過ぎて…
口から飛び出した…
「君は何時も…無茶ばかりしますね」
思ったよりキツい言葉が…飛び出していた
康太が傷ついた瞳を榊原に向けた
「伊織…」
「こんな怪我をして帰ってきて…
僕が心配しないとでも…想いましたか?」
榊原の言葉は…尖って…康太の胸を貫いた
「心配すると…思ったけど…
オレは…歩みを止める気は…ねぇ!」
榊原を愛していても…
進まねばならぬ…道がある
「僕の心配など…不要と言う事ですね…」
「そんな事は言ってねぇだろ!」
「心配すると想ってて…怪我するんでしょ?」
嫌み臭い応酬…解っている
解っているけど…
君が怪我して…黙っていられる程…
僕は人間が出来てなどいない!
何故…伝わらない?
総て黙って…いなければ…
伴侶ではないのか?
噛み合わない…想い…
擦れ違う…想い…
互いを愛す想いは変わってはいないのに…
想いが…暴走する…
「君は僕に心配もするなと…言ったも同然ですよ?」
違うのに…
違うのに…
康太は首をふった
「心配させてるのは…解ってる…」
「……君は解ってないでしょ?
僕が…どれ程の想いで…君を送り出してるか…
君は…解ってない…」
「解ってる!」
「解ってるなら…何故…怪我をして帰る?
血に染まった…君を見て、僕が心配するのを解ってて…やっているんですか?
だとしたら…君は…残酷だ…」
康太は…言葉をなくした…
この先も…こんな事はあるだろう…
それでも行かねばならぬ…定めなのだ
「もう良い!オレに構うな!」
康太は叫んでいた
榊原の辛辣な言葉を聞きたくなくて…
叫んでいた…
優しく抱き締めて欲しかった…
愛する男の…腕の中に…
抱き締めて欲しかった…
だから、終わらせたくて言葉を発した
「ならば…勝手にしなさい!」
榊原は…これ以上は…聞きたくなくて…
背を向けた
背を向けた…榊原には見えてなかった
康太の瞳が…絶望に見開かれ…涙が…
零れそうになっている事を…
康太は…榊原の背中に…
伊織…こっちを向いてくれよ…
伊織…
伊織…
もぉ…オレに愛想が尽きたのか…
伊織…
抱き締めて…
伊織…
心で…榊原に呼び続けた
言葉が……出て来なかったから…
心で…呼び続けた…
拒絶された背中
抱き締めてくれぬ腕
康太は…耐えきれず…
寝室を飛び出した…
君なんて…嫌いだ…
なんて言われた…
死んでしまうから…
そんな言葉は…死んでも聞きたくないから…
もぉ愛してるって…
言われないかも…
そう思うと…怖くて…
逃げ出すしか…
なかった
【想い】
寝室を飛び出し…
玄関に行き…靴を履き
外へと出て行った
一生と慎一が…
康太の異変に気がつき…
後を追った…
走って行く康太の腕を掴み…
立ち止まらせると…康太は俯いた
「何があったんだよ?」
一生が康太に問い掛ける
康太は首をふって、何も言わなかった
「慎一、車を取って来い!」
一生の声に、慎一は駐車場へと走り、車に飛び乗った
そして、康太の待つ所まで車を走らせた
一生は携帯でホテルニューグランドの部屋の予約を入れる
今すぐ取れる部屋を取り予約入れた
そこへ慎一が車を走らせ、やって来た
一生は停まった車の後部座席に康太を乗せると、その横に乗り込みドアを閉めた
康太は…怪我したばかりだったから…
無理などさせたくなかった…
康太は…また、自分を餌に…
わざわざ怪我をした
相手にトドメを打つ為に…
康太は自分を餌にする
敢えて怪我をする康太だから…
榊原の心配は…尽きないのは知っている
どちらの事を考えても…
やるせないし…
馬も食わぬ痴話喧嘩…なのだ
直ぐに仲直り…するんだから…
こっちは…やってらんねぇ!
ホテルニューグランドに到着すると、車を預けホテルの中へ入って行く
慎一がフロントで予約を入れた飛鳥井ですが…と声をかけると…Keyが差し出された
慎一は、Keyを持ち一生に顎で合図する
すると一生はエレベーターの前まで康太と共に歩き…
開いたエレベーターに乗り込み…上がって行った
予約した部屋の前に止まり
Keyを開けると…一生は康太を支え部屋の中に入った
慎一は二人が入ると、ドアを閉めた
一生は康太をソファーに座らせ…
その横に座った
慎一が反対側に座り
この兄弟の…定位置が…そこに在った
「康太…何があったんだよ?」
一生が、声をかけると…泣き腫らした目をした康太が顔を上げた
「……伊織と、喧嘩した…」
一生は頭を抱えた
旦那…愛する康太が怪我をしてキレるのは解る…
解るが……康太を傷付けるな!
こんなに泣かせて…
旦那!どう言うつもりだ!
一生は怒っていた…
すると慎一が…一生から康太を奪い、膝の上に乗せた
「康太…人は心配が募ると…自制が効かなくなる時が有るんですよ?
伊織は…心配と想いが募り過ぎたんですよ…
解りますよね?それは?」
慎一の問い掛けに…康太は頷いた
「康太は…伊織が怪我して帰ってきたら…どうします?」
康太は…慎一の顔を見た
「心配する…」
か弱い声で…慎一に返答を返す
「心配するでしょ?
ならば、伊織も心配したんですよ…」
康太は…頷いた
「康太…」
「うん…」
「…伊織は…敢えて怪我をする…君を見ていたくないんですよ…
でも君の動きは止められない…
ジレンマです…愛しているから…感じる想いです…解りますか?」
「…解る…」
「自分を餌にするのは…止めて下さい…
俺も…何時も想っていた…事です」
「……それは無理だ…」
「ならば、怪我などしない様に…俺達を捨て駒に使えば良い!」
康太は…首をふった
そんなん出来る筈などない
「何ならば…貴方に問います!
何の為に俺達がいるんですか?
仲良く暮らす為ですか?」
仲良くお手々繋いで…暮らす為ですか?
と、慎一が問い掛ける
康太は…困った顔をして慎一を見た
「違うでしょう?
ならば適材適所…配置しなさい!
一人で出向いて…怪我などしないで下さい!
俺の言いたい事…解りますよね?」
「解る…」
「貴方を支え続ける伊織にとって、貴方を怪我させてしまった想いは重い…
そんな鬱積した想いが…爆発してしまったんです…
そして、そんな言葉で貴方を責めたくないから…背を向けたんです…
愛するゆえです…許してあげなさい…」
「………もぉ…伊織は…許してくれない…」
康太の瞳から…涙が溢れだし…
「そんな筈…ないですよ」
康太は…首をふった…そして、耐えきれず…嗚咽を漏らした
その時…一生の胸ポケットが震えた
一生は携帯を胸ポケットから取ると、慎一に康太を連れて行けと…顎で合図した
慎一は康太を抱き上げ…寝室へと連れていった
ベッドの上に康太を寝かせ…
その横に添い寝した
「瞳を閉じて…今は寝なさい…」
慎一の長い指が…康太の瞳を閉じさせる
頭を撫でてやり…胸に…抱いた
こんなにも…この人は…幼くて…小さい
なのに自分を奮い立たせて…
乱世に繰り出し…闘う
その姿は誰よりも果敢で…精彩に満ちて…
脇目も触れず…進み続ける…
貴方の…行く道を…俺は…
守ります
この命にかえても…
貴方を守ります…
我が主…飛鳥井康太
我は貴方と共に…逝きます
慎一は…康太を強く抱き締めた
一生は聡一郎に電話を入れた
「聡一郎!旦那はいるか?
探して連れてきてくれ!頼む!」
『…一生…伊織は…今…車で出て行きました』
一足遅かったか…
何処へ行くんだよ…旦那…
旦那の居場所は…康太の側だけだろうが!
「追え!追い掛けて…連れてこい!」
『…人使いが荒すぎやしませんか?』
「康太が泣いてる…
俺が…旦那に少しだけ意地悪した…」
『…一生、覚えておきなさい!』
聡一郎はそう言い…電話を切った
一生は…窓の外を眺めた…
旦那…康太の側へ来い…
聡一郎は…榊原の携帯の位置情報を調べた
榊原は…ある場所に向かって走っていた…
聡一郎は…携帯を取り出すと…電話を入れた
「瑛兄さんですか?」
『聡一郎…?どうしましたか?』
「伊織が会社に向かってます…
捕まえてホテルニューグランドへ連れていって貰えませんか?」
『…伊織と康太は…一緒ではないのですか?』
「犬も食わない…喧嘩をしたそうです
康太が壊れてしまう前に…捕獲して連れて行かねばならないのです…」
『解りました…地下駐車場へ出向いて捕獲致しましょう!』
瑛太は電話を切ると…社長室を出た
エレベーターのボタンを押すと…ドアが開き
乗り込み地下へ向かった
榊原は…康太のいなくなった部屋にいたくなくて…
会社へ出向いた
一生に電話しても…康太の事を教えてくれるとは…想っていなかった
康太を泣かせた…
怪我をして欲しくなかった…
康太…君が痛い…想いをするのを…黙って見ているなんて…僕には出来ません…
君の伴侶…失格だと言われても…
愛してるのだ…
守りたい…
この命に変えても…守りたいのに…
康太は…一人で…出向いて…自分を餌にする…
そうするしか…終わらないと解っているから…
自分を差し出す…
「クソッ!…」
榊原は叫んだ…
あんな事言うつもりじゃなかった…
喧嘩などせず…
康太を抱き締めてあげるべきだった…
もう…許してはくれませんか…
君を泣かせてしまったんですからね…
康太…
愛してます…
君だけを…
愛している…
【捕獲】
地下駐車場へ降りて行き、榊原の駐車スペースに車を止めようとすると…目の前に瑛太が立っていた
榊原は瑛太を見付けて…気まずい顔をした
瑛太は…クスッと笑って、榊原の助手席に乗り込んだ
「え?義兄さん???」
「ホテルニューグランドまで、私を運んで行きなさい!」
瑛太は一方的に…命令をした
榊原は躊躇しながらも…
車を走らせた
地下駐車場を出て、公道に乗ると…
口を開いた
「義兄さん…何か有るのですか?」
「そう!有るんです!
だから、君を待ってました!」
そう言われれば…黙るしかない…
榊原は黙って…ホテルニューグランドを目指した
瑛太は…携帯を触っていた
メールのやり取りでも…してるかの様に…
携帯の画面ばかり見ていた
その時…瑛太は口を開いた
「康太と喧嘩したんですか?」
いきなり…核心を突かれて…榊原はグッと息を飲み込んだ
「しました…」
榊原は、あっさり認め…瑛太に謝罪をした
「康太は…また怪我したの?」
「…………ええ。」
悲痛な…返答だった
それだけで、瑛太は…榊原の苦悩を伺い知れた
「許してやってくれませんか?
康太は…その道を行くと決めたら…逃げ道は用意しない…
殺されると解っていても…康太は進む
支える方は…大変なのは解ります…
ですが…君を失って…康太は生きられない
だから、許してやってくれませんか?」
瑛太は…榊原に頭を下げた
愛する弟の事を想えば…榊原に謝罪して…
側にいてもらいたかった…
離れないで…
離れないで…
伊織を無くして…康太は生きられない
だから…戻ってやってくれ…
瑛太の願いだった
「義兄さん…謝らねばならないのは…
僕の方です…康太を抱き締めてやれば良かったのに…
想いばかりが募り…康太を責めた…
許されないのは…僕の方ですよ…」
榊原は自責の念に…駆られていた…
そんな榊原の肩を…
瑛太は…叩いた
「愛していたら…勝手に傷つきに行く……
そんな事は…耐えられない…
君が悪い訳ではないです……康太も解っています…」
「義兄さん…」
後は…言葉にならず…
榊原は車を走らせた
ホテルニューグランドの車寄せまで走り…
榊原は車を停めた
瑛太は…車から降りると榊原を待った
榊原は車から降り…Keyを預けると…
瑛太と共にホテルの中へ入って行った
瑛太は、聡一郎とメールのやり取りをして…
康太の部屋の番号は聞いていた
だから、直接、部屋へ榊原を連れて行くと…
聡一郎へ返した
瑛太は康太のいる部屋へと向かい…
その部屋の前で…ドアベルを鳴らした
すると、部屋の中から…一生が出て来て
ドアを開いた
「瑛兄さん、すみません…俺が少しだけ旦那に嫌みを言ったら…旦那が真に受けて…捕まらなくなったんで…慌てました」
一生は瑛太と榊原を部屋に招き入れ、ドアを閉めて…頭を下げた
「気にしなくて良いですよ…
私は康太が幸せなら…何も言いません!」
目の前で…瑛太と一生のやり取りがされていても…
榊原には…不意討ち過ぎて…理解出来なかった
「一生、邪魔物は…帰りましょうか?
夫婦喧嘩は…馬に蹴られますよ」
瑛太は楽しそうに、そう呟くと…
一生も肩を竦め…
「全くその通りです!
慎一を連れてきます」
「一生、私を会社まで乗せてって下さいね」
榊原の車で来たから足がないと…一生に訴えると…一生は「解ってます」と答えた
「一生、下のレストランで食事をしてから帰りましょうか?」
「良いですね!」
一生が乗ると…瑛太は楽しそうに笑った
「伊織、この部屋は明日の昼間で…借りておきます。
支払いはして帰りますから、仲直りしなさい」
瑛太は榊原を抱き締めて、そう言った
「義兄さん…」
「康太と君は離れられない…ならば一緒にいるしかないんですよ?
君も私には可愛い弟です…悩まなくて良い
君は…愛する康太の側にいれば良い…」
瑛太は榊原をキツく抱き締め…思いを口にして…離した
慎一が寝室から現れ…榊原を見付け…安堵の顔を見せた
「伊織…康太を愛してあげ下さい!
離さないで…あげてください」
榊原に主を頼み…深々と頭を下げる
榊原は慎一の真摯な瞳を射抜き…
「はい!絶対に離しません!」と返した
慎一はその言葉を受け、榊原を抱き締めた
そして、何も言わず一生の側に立った
一生は榊原の胸を拳で軽く叩いた
「旦那…俺の嫌味位…受け流してくれ…」
「…………すみません…」
「少し嫌味言ったら…部屋を教える気だったのに…電話を切りやがるから…聡一郎に恨まれ…瑛兄さんまで駆り出すはめになったろ…」
「…時間を…開けようと想いました
康太が君と一緒なら…安心です
君達がいれば…康太は…それで良いと…」
「んな、訳ねぇだろ?
康太には旦那が必要だ…愛してるのは昔も今も…お前だけだ…
アイツの心の中には…お前の愛しかねぇ!
人になる前から…アイツの想いは…お前で溢れ…お前しか要らねぇ…他は要らねぇんだよ!解れよ!旦那!」
「一生…」
「ならな、俺等は帰る!
瑛兄さん帰りましょう!慎一帰るぞ!」
一生は瑛太と慎一を促し、部屋から出て行った
3人の出て行ったドアから、オートロックの施錠の音が響いた
【確認】
榊原は…寝室へと向かって歩いた
寝室のドアを開けると…康太が眠っていた
榊原は涙の痕が残る康太の寝顔に…
胸がギリギリ傷んだ
スーツの上着と…ネクタイを外すと…
榊原は康太の横に、そっと寝そべり…
康太を抱き締めた…
壊れてしまわない様に…
そっと…触れた
康太の眠りを…邪魔する気など…ないのだ
泣かせたのは…自分の所為だから…
眠りに落ちていた康太の鼻に…
嗅ぎ慣れた…フレグランスが薫る…
愛する男の体臭と…交じった…
この世で…唯1つの…薫り
その臭いを…肺一杯に…吸い…
匂いを嗅ぎ分ける…
間違いない…
オレが…この薫りを間違う筈などない
康太は…閉じられた瞳を開き…
見上げた…
目の前に…
愛しい男の顔があった
どうして…?
怒らせたのに…?
まだ愛してくれている?
愛する男の顔が…グラッと揺れる
その涙を…榊原の指が…拭う
榊原は静かに康太を見ていた
顔を上げた時から…静かに見ていた
「伊織…」
言葉と同時に…涙が流れる
榊原の腕が…康太を引き寄せた
「泣かないで…お願いだから…泣き止んで…」
榊原は胸がギリギリ痛む
「伊織…伊織…伊織…」
康太は…魘された様に…
愛する男の名を呼んだ
赤い唇が…キスを誘って…開かれる
榊原は吸い寄せられる様に…
その唇に…唇を重ねた…
舌が挿し込まれ…絡まる舌が…榊原に応じる
抱き合う体躯の体温が…熱を孕み…
後少し触れれば…
その熱は…化学反応をおこし暴走を始める
榊原の舌が…康太の口腔で…搦まり暴れる
激しい接吻はそのまま…
榊原の指が…康太の服の中に潜り込み
尖った乳首を…指で引っ掻くと…
「んっ…ん…ぅ…ん…ぁ…」
康太は…喘ぎを漏らした
康太は…欲情で艶めいた瞳を…榊原に向けた
愛する男は…泣かせた罪悪感で…
抱こうとはしないから…
康太は誘う…
自分の効果を最大限…フルに駆使して…
愛する男を官能的に誘惑する
康太は…榊原の手を掴むと…勃起した股間へ導いた
盛り上がった…そこは熱を孕み…
榊原に訴えていた
「ねっ…伊織…ここが…もぉこんなんだと…」
次の囁きは…榊原の耳元で…
より効果的に…囁いた
「奥の…穴は…伊織が欲しくて…止まらねぇ」
康太の誘いに…
少しだけ…榊原は躊躇する
すると…康太は…榊原を、押し退け…
服を脱ぎ始めた
上着を脱いで…ズボンを下着ごと脱ぎ落とすと…
榊原の目の前で…オナニーを始めた
自分で尖った乳首を…弄び…
指を舐めると…奥の穴に…指を潜らせた…
「あぁん…気持ち良い…ぁん…ぅぅん…」
恍惚と…快感を現す康太に…榊原は息を飲んだ
康太を見ていると…
康太と視線が合った
「伊織…抱く気がねぇなら…出て行け!」
側にいるのに…触っても…
抱いてもくれないなら…
いない方が良い…
「康太…そんな訳ないでしょ!
君が欲しくて…堪らないのに…」
榊原は、康太を抱き締めた…
「でも、見せてくれるんですよね…
オナニーしてる所を…僕に見せてくれるんですよね?」
意地の悪い顔が…康太を見詰めていた…
クソッ…この男は…
そう言う奴だった…
榊原の目の前で…オナニーをしろと…言うのだ…
仕方ないから…康太はオナニーを続けた
最初は…恥ずかしかったけど…そのうち…
羞恥心は…快感に擦り変わり…
榊原に、見せつけた
乳首を触ってた指が…勃起した性器を扱く
ベッドに腹這いになり…お尻を高く…掲げ
指を挿れ…掻き回した
ぬちゃ…ぐちゃ…
と、卑猥な音が部屋に響き渡る…
榊原は視界を…康太に犯されていた
堪らない…
こんな淫靡な姿を見せられて…我慢出来る奴なんていない
榊原は、服を総て脱ぐと、ベッドに上がった
康太は性器の先っぽから滴を溢し…それをシーツに擦り付け…
お尻の中を…自分の指で…掻き回していた
でも…届かない…
良い場所に…届かない
もどかしさに…シーツに顔を埋めた
榊原は康太の指を抜くと…
紅く…蠢く穴に…接吻を落とした
そして舌を挿し込み…指を挿れた
榊原の長い指が…康太の腸壁を…擦りあげると…
康太は…膝をガクガクさせ…快感に…シーツを握り締めた…
濡らして…開いて…解す
唾液を垂らし…濡らして行くと
煽動する…穴が…咀嚼を始める
榊原の指を飲み込み…奥へ…奥へ…と
飲み込もうと…蠢く
榊原は康太を抱き上げ…向かい合わせに跨がせると…抱き締めた
「もう…挿れても…良いですか?」
康太に問いかける…
榊原の肉棒は…ギチギチに膨張して…熱を孕んでいた
その熱を…康太の穴に…あてる
康太は目の前の榊原の両頬に手をやるとキスをした
「挿れて…伊織の熱いので…貫いて…」
榊原は康太の唇をペロッと舐めると…腰を抱えた
康太の穴に…熱く滾る肉棒を潜らせると…
一気に…下から康太を貫いた…
ゆっくり挿入する方が康太に負担をかけるから…
榊原のエラの張ったカリが…康太の中へ一気に…挿入されて行く
あまりの体積に…康太は仰け反った
衝撃をやり過ごし…康太は息を吐き出した
康太が落ち着くまで…榊原は康太の唇に接吻を送る
落ち着くと…康太の腸壁が蠢いて…榊原を締め付ける
「あっ…あぁっ…伊織…」
快感に紅く色艶く康太の乳首を舐めると…
中が…榊原を締め付け…射精を促して行く…
「康太…愛してます…」
榊原の力強い腕が康太を掻き抱く…
康太は榊原の首に腕を回し…隙間もなく抱き着いた
榊原の抽挿が激しくなる
「オレも愛してる…伊織だけ愛してる!」
康太は…悲鳴をあげ…
愛してると叫んだ…
愛してるのだ…
この男を…
この男しか愛せない…
榊原は力の限り…康太に肉棒を打ち付けた…
締め付けられ…擦る…その感覚に…
何処までも一つに溶け込む感覚に襲われる…
「康太…イキます…一緒に…」
榊原は奥まで…打ち込むと…射精をした
康太は…その熱を受け…恍惚と榊原の腹に…射精した
ドクッ…ドクッ…
榊原の熱が…
康太の体内で暴れている
「伊織…伊織…」
榊原は康太をベッドに押し倒した
繋がったまま…ベッドに…押し倒し…足を抱えた
榊原の肉棒は…力を衰える事なく…
聳え立っていた
康太は…榊原の腰に足を搦めた
終わらない熱に魘され
互いを求め合い
食い尽くす
康太は…榊原の顔を見詰め…艶然と笑った
「伊織…オレを離すな!
今世も…来世も…お前の伴侶はオレしかいねぇ!
オレの伴侶も…未来永劫…お前だけだ!」
飛鳥井康太しか…吐かない台詞
「離しませんよ…離す筈などないでしょ!
僕の恋人は…未来永劫…君だけです
この身が滅びようとも…僕達は…離れる事などない……康太愛してます…」
久遠の恋人が ……そこにいた
未来永劫…愛し合う
恋人達の姿があった
熱が冷めるまで…
幾度も求め合い…愛し合う姿があった
康太は…意識を手放していた
激しすぎる情交に…意識を飛ばし
求め合った
止まらなかった…
康太を愛しすぎて…止まれない
榊原は、康太の中から抜くと…康太の足を広げた
康太の穴は…まだ開いていて…
真っ赤な…腸壁が…蠢いていた
煽動する穴は…精液に濡れ…
その口からは…白濁が溢れて流れていた
榊原はその穴に指を潜り込ませると
精液を掻き回した
指が…動くたび…
康太が仰け反る…
「ゃあ…あぁっ…ダメぇ…」
康太が抵抗するが…榊原は気にせず…
精液を掻き出した
殆どの精液を掻き出すと、榊原は康太を抱き締めたまま…寝っ転がった
胸の上に…康太を乗せ…抱き締める
康太は情交の後に榊原の胸に乗るのが好きだった
だから、榊原は康太を胸の上に乗せ…
強く抱き締めた
榊原も…この時間が…大好きだった
榊原は康太の髪の匂いを嗅ぎ…瞳を閉じた
愛しい…
こんなに愛しい…存在はない
失ったら…死んでしまう…
だから怪我など…して欲しくはなかった
榊原は康太の包帯を撫でた…
怪我をしてるのに無理させた
肺一杯に…康太の匂いを嗅ぎ…頬を寄せた
愛してます…
愛してます…
君と共に…
康太は…目を醒ますと…顔を上げた
「目が…醒めましたか?」
愛する男の声がする
「伊織…」
「洗ってあげましょうか?」
康太は、榊原の胸に顔を埋めた
「ごめん…伊織…」
「謝らないで下さい…悪いのは僕ですから…」
「違っ…伊織は悪くねぇ…」
「君を…愛しすぎて…自制が効きません…
君の動きを封じる気はないのにね…
怪我をさせた…守れなかった自分が…
歯痒いんです…」
榊原の胸の内が…吐露される
「伊織…」
康太の瞳から…涙が溢れだし…榊原の胸を濡らした
「泣かないで…康太…泣き止んで…」
榊原の指が康太の涙を拭う
「康太…一人で行かないで…
僕は…君と共に在ります…」
願いは…1つだった…
共に在る…
それだけだった
「伊織…次は…一緒に…」
「ええ…。僕達は…離れられない存在なのですよ…共に在るのは当たり前でしょ?」
榊原が笑う
その振動が…康太に伝わり…
康太は瞳を閉じた…
翌朝、康太は榊原に体躯の中も外も洗ってもらい…支度をしてもらった
榊原は何時もの様に、康太の支度をすると自分の支度を始めた
ベッドに腰掛け…榊原を見上げる
その姿が…可愛らしくて…
榊原は康太の顎を…長い指でくすぐった
「オレは猫じゃねぇ…」
そう言い康太が首を竦める
榊原は笑って…スーツを着た
着替えを終わらせると…康太の唇に…キスを落とした
「行きますか?」
「おう!」
康太は榊原に手を差し出した
榊原はその手をとると…掌に…接吻した
その仕種が…似合いすぎて…康太はドキドキしていた
この男は…何をしても様になる
「奥さん、ロビーに…一生達や…義兄さんがいる気がすんですが…」
「すげぇな伊織!いるぜ!待ち構えてるぜ!」
康太が笑う
榊原は…やはり…その展開ですか…と、苦笑した
忘れ物がないか確かめて…榊原は康太を促し
部屋を後にした
エレベーターに乗り込み…一階まで行くと
フロント前には…見慣れた顔があった
一生は康太を見つけると笑って
「お疲れだな…」と揶揄した
「当たり前だろ?手を抜いたら…その場で息の根を止めてやる…」
康太はそう応酬して笑った
慎一は、お前の敗けだとばかりに…一生を後ろに押しやった
「帰りますか?」
「おう!」
康太はそう答え…瑛太の方に近寄った
「瑛兄は会社へ?」
「そう…鬼がいますからね…」
瑛太は笑って…その瞳に康太の幸せそうな顔を確認した
聡一郎が康太に抱きつき…隼人も康太に抱き着いた
「帰りますよ!」
慎一が言うと二人は康太を離した
康太が、歩き出す
その後ろに榊原が続き…一生が続いた
聡一郎、隼人がその後ろに続き…慎一が総てを見届ける様に待ち、瑛太に深々と頭を下げて…その場を離れた
行き先は…地獄でも…
我等は…共に行く
絶対の存在が…そこに在った
我は行く…明日の飛鳥井の道を作るために…
I will be together all the time.
【あとがき】
Thank you
Always thank you for the aid.
It is favorite
2014.8.20
Conclusion
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