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第29話 甘い時間
家族と迎えたXmasイブの翌日
イルミネーションを見に出掛けた
2人だけの甘い時間を迎えた
2014/12/25
※2014年の聖夜は書き終えていたので載せる場所がないのでここに載せます
【MerryChristmas】
12月25日
この日飛鳥井康太はランドマークタワーへ続くエスカレーターの前で榊原伊織を待っていた
待ち合わせをしたのだ
「伊織、今夜はまだXmasだ
イルミネーション見に行かねぇか?」
康太が榊原に言うと榊原は嬉しそうに笑った
「良いですね……デートですか?」
「おう!車で来たらダメだぞ」
「解りました!
何処へ行ったら宜しいですか?」
「午後7時にランドマークタワーへ続くエスカレーターの駅で、どうだ?」
「エスカレーターの前ですね」
「おう!イルミネーション見に行こうぜ」
「楽しみです」
榊原は康太を抱き締めた
「赤レンガ倉庫も見に行こうぜ!」
「仕事を片付けるので待ってて下さい」
「解ってる!
オレは先に桜木町へ行く事にするな!」
そして待ち合わせをした
康太は榊原を待っていた
何度も携帯を見て……
ランドマークタワーを見上げた
ランドマークタワーはXmasだけあって全部屋ライトアップされていた
大道芸人がパフォーマンスをして盛り上がる中……
康太は榊原を待った
「ねぇ、恋人にフラれたの?」
揶揄した男が声をかけて来た
知らん顔していると酔ってるのか……
しつこい位に声をかけて来る
パトロールが回って来ると……
男は去って行った
康太は……空を見上げた
伊織……
お前がいないだけで……
オレはこんなにも心細い……
康太は泣きそうになった
寒さに身を震わせる
本当に寒いのは……
榊原がいない……現実だった
時計は……午後8時を指そうとしていた
伊織……
来ない気かな……
オレが……強引に待ち合わせようなんて言ったから……
気が向かなかったのかな?
それとも急用が出来た?
康太はスマホの画面を何度も見た
でもメールも電話も入ってなかった
9時まで待って……
来なきゃ帰ろう……
待ってねぇから大丈夫って言わなきゃ……
それとも……映画でも見てたって言おうかな?
康太は……流れ出る涙を拭いた
この世で……一人っきりの感覚に堕ちる
仲良く手を繋いで歩くカップルが……羨ましい……
暗闇に紛れて……手を繋ぎたかった……
伊織……
抱き締めて欲しかった
綺麗なイルミネーションを2人で見て……
共有したかった……
それだけなのに……
康太の体躯は冷え切っていた
外で待ち合わせて……一時間以上……
待たされて……
手は感覚もなくなって来た
康太は下を俯いた
地面にポタッと雫が零れて……跡が出来た
「………待たせたね」
……と、やって来るのは榊原じゃない……
康太はもう見ていたくなかった……
「………困らせたのかな?……」
康太は涙を拭った
カツカツと歩いて来る足音がする
康太は俯いたまま……
見る事はなかった
暖かな腕が……康太を抱き締めた
康太は……やっと見上げた
目の前に榊原が息を切らせて立っていた
「待たせてしまいましたね
………こんなに冷えて……」
「………伊織……」
名を呼べば………康太の瞳から涙が溢れた
榊原は康太の涙を拭って
「ごめんね……康太
一時間以上の遅刻です」
「オレが勝手に待ち合わせしようと言ったんだから大丈夫だ……帰ろうか伊織……」
康太は駅の方に歩き出そうとした
榊原は康太の腕を掴んだ
「康太……怒ってるの?」
「違う……怒ってなんかいねぇ」
「遅くなってごめんね」
「構わねぇ……気にするな」
「Xmasイルミネーション、観にいきましようか?」
康太は頷いた
榊原から離れて康太は歩き出した
榊原は康太を掴んだ
「離れなくても大丈夫ですよ?」
「………イルミネーション……初めてなんだオレ……」
「僕も初めてです」
「伊織……綺麗だな…」
歩く歩道には乗らずに、2人で 歩いた
夜景を見ながら2人で歩いた
ランドマークタワーに入って歩いて行くと
今年はシンデレラ城のツリーが飾ってあった
康太は立ち止まり、ツリーを見上げた
スマホのカメラで写メを映していた
ツリーと榊原をカメラに収め、康太は嬉しかった
クィンズスクウェアに入り、電飾のツリーを見上げた
榊原はそっと康太の手を握り締めた
クィンズスクウェアを出るとコスモワールドを通って赤レンガ倉庫へと向かう
サンタの暴走族が車で走って行き、康太は
「すげぇな……」と呟いた
大量のサンタとトナカイが出没して……
時々酔っぱらいのサンタとトナカイが……駆け抜けて行く
康太は笑いながら、それを見ていた
赤レンガ倉庫へ向かい、2人で電飾の下を通った
「綺麗だな…」
「綺麗ですね」
榊原は嬉しそうに言った
「………ごめん……伊織…」
「何で謝るんですか?」
「………伊織の都合も考えずに約束した……」
「待ち合わせに遅刻したのは僕ですよ?」
「……来てくれたから良い……」
「………本当はもっと早く来たかったのです……ごめんね康太…」
康太は首をふった
2人で手を繋ぎ大桟橋の方へ向かい
山下公園の方へ向かう
「君と2人で迎える時間ですから……ホテルの予約を取ろうと想ったのです」
「……え?……」
康太は榊原を見上げた
「君と過ごす時間を楽しみたかったのです
で、ホテルの予約を取ろうとして…四苦八苦しました……
殆ど空きがなくて……キャンセル待ちしかないと言われました……
で、あっちこっち電話しまくって……ホテルニューグランドが一部屋なら御用意出来ます……と言ってくれたのです
それで君と待ち合わせ場所へ向かいました
遅刻して……康太を待たせてると想い焦りました……
君は……泣いていた……でしょ?
ごめんね……」
「……伊織は乗り気じゃなかったのかな?
そう思ったんだ……
ずっと待ってると……この世で一人きりみたいな気になって……悲しくて堪らなかった
伊織がいないだけで……
オレは……涙が止まらなかった」
「康太、愛してます」
「………オレも愛してる伊織…」
「2人で迎える時間ですから…
Xmasイルミネーションを満喫出来る部屋を……と想いました
行きますか?」
「……ん……行く…」
榊原は康太と2人で静かに歩いてホテルニューグランドの法へと向かった
ホテルの中入ると榊原はフロントへ向かった
到着を告げてサインするとキーを貰い、榊原は案内は断り康太と2人だけでエレベーターに乗った
【甘い時間】
ホテルの部屋に入るなり榊原は康太を抱き締めた
康太の体躯は……冷たくなっていた
榊原はバスルームに向かい、バスタブにお湯を出した
お湯が溜まるまで、康太と2人……窓の外を眺めた
「綺麗ですね」
「………ん……伊織とイルミネーション見たかった…」
「僕も恋人気分に戻ってデートしたかったです」
「……伊織が来なかったから……何人もの奴に絡まれた……
遊びに連れて行ってやる……とか強引に腕を引っ張られた…」
「………ごめんね……そんな奴……いたのですか……」
「気にしなくて良い……
来てくれたから……それで良い」
「康太、お湯が溜まります
一緒にお風呂に入りましょうか?」
康太は頬を赤く染めて……
それでも頷いた
「康太、服を脱いで…」
榊原はコートをソファーに掛けて、スーツの上着をソファーに掛けた
康太も服を脱ぎ始めた
さっさと服を脱ぎ捨てて、浴室に行こうとした
そんな康太の手を掴んだ
「一緒に行きましょう」
服を脱ぎ終わると、榊原は康太を抱き寄せた
冷たい体躯に……榊原は康太を抱き上げて浴室へと向かった
バスタブの中に2人して入った
榊原の膝の上に乗って、体躯を温めた
榊原は康太の首筋に唇を這わせチュッと吸い上げた
指が康太の乳首を摘まむ
康太のお尻には……
熱く滾った榊原の硬い性器が存在感を主張していた
榊原は康太の……股間に手を回した
康太の性器は勃ち上がって榊原の手に歓喜していた
「……ぁ……伊織……擦らないで…」
「イキそうになる?」
康太はコクっと頷いた
「まだイカないで下さいね…」
榊原はそう言うと、康太の秘孔に触れた
ヒクヒク蠢く秘孔は榊原の指に……期待して蠢いていた
「……ぁん……あぁっ……伊織…」
康太はキスを強請った
榊原は康太に口吻、秘孔に指を挿れた
指と同時にお湯も康太の秘孔に入って来て……
康太の体温を 確実にあげた
「伊織……逆上せるぅ……」
「なら出ますか?
ベッドの上で舐めてあげます」
榊原はそう言うと康太を抱き締めたまま立ち上がった
康太の体躯をバスタオルで拭くと、康太は榊原の体躯をバスタオルで拭いた
ベッドに雪崩れ込む様に……
康太をベッドに押し倒した
執拗な接吻で康太を貪り……
康太の乳首を弄った
榊原は康太を俯せにすると、背中に口吻た
背中に赤い花を散らして……
舌は下りて行く
双丘を開くと赤く艶めく蕾をペロッと舐めあげた
「……ゃ……あぁん……」
康太はシーツを握り締めた
ペロペロと榊原が康太の蕾を舐めて解す
舐めて舌を挿し込むと……秘孔が榊原の舌を食べようと咀嚼する
モグモグと蠢く秘孔の中まで舐めようと襞を捲り上げて舐めると……
康太はシーツを蹴り上げた
「……ねぇ……伊織……早く…」
「慌てないで……君を味あわせて下さい」
内股に吸い付き……跡を付ける
すると秘孔が締まって榊原の指を締め付けた
「……伊織……欲しい……ねぇ……」
「我慢できない?」
康太は頷いた
「……もぉ……イッちゃう……」
榊原は康太の手を取ると……
自分の性器を握らせた
「康太、握り締めてなさい」
達しない様に握り締めてろと……榊原は言う
康太は言い付け通り、自分の性器を握り締めた
康太の秘孔を柔らかく解すと、榊原は康太を上向きに寝かせた
足を抱えて接吻をした
肉棒は秘孔を狙って潜り込んで行った
「……んっ……んんっ……」
苦しげな声が接吻の隙間から漏れる
榊原は全部康太の中に挿し込むと、慣れるまで動かないでいた
榊原も辛かった
蠢く腸壁が榊原に搦み着いて締め上げるから……
榊原のカタチを覚えた腸壁が、榊原に搦み着いて締め上げる
蠢く腸壁にイカされそうになるのを止まり……
堪えてやり過ごす
「……伊織……動いて……」
康太の言葉を合図に、榊原は腰を使った
「……ぁん……あぁっ……イイっ……凄く気持ちイイ…」
「僕も気持ちイイです……解りますか?
君の中で限界まで広がったエラを……」
榊原の広がった傘が康太の腸壁を引っ掻いて掻き回して行く
康太の良い場合を引っ掻いて掻き回す
康太は喘ぎっぱなしで、声が掠れる程……
泣かされて榊原に縋り付いた
何度も康太の中で達した
一旦抜くと膝の上に康太を抱き上げて、背後から挿入して繋がった
康太の足を抱えて、何度も康太を貫く
康太の亀頭のお口は開きっぱなしで……澱を流し続けていた
榊原は康太の亀頭の頭を撫でた
「君のお口……だらしなく開きっぱなしですね」
康太は性器を手で隠した
「言わないでぇ……」
「見えませんよ?
手を離して下さい」
「……ゃ……言わないでぇ……」
「気持ちイイですか?」
「ん……気持ちイイっ……伊織だから気持ちイイ…」
「僕も君だから気持ちイイです
他は要りません……君しか欲しくありません」
康太はその言葉で………イッた
「……ぁ……あぁっ……」
榊原は康太の手を退かした
薄い精液が……康太の亀頭の先を濡らしていた
「……イッたのですか?」
「……ごめん……伊織…」
康太は泣きながら榊原を見た
「イジメ過ぎましたか?」
「……違う……オレは我慢が足りないから……」
「次は一緒に……」
榊原は康太の中から抜いた
「おいで……康太」
膝の上に乗せられて、向かえ合わせで抱き合った
「自分で挿れてごらん?」
榊原に絆されて……康太は榊原の肉棒を秘孔に当てた
咀嚼する様に榊原の肉棒を食べて……奥まで飲み込んだ
康太の腰が揺らめく
榊原を食べて……イイ場所に榊原のエラを擦りつけた
「……ぁ……あっ……イイっ……凄くイイ……」
榊原は康太の乳首に吸い付いた
「……康太……待たせてごめんね…」
「来てくれたから良い……」
「来ないと思ったんですか?」
康太は頷いた
「僕が……君の傍に行かない筈ないでしょ?」
「……一人だと……この世の総てに見放された気分になったんだ……」
榊原は強く康太を抱き締めた
激しく康太の中を突き……康太は揺れた
「君の傍にずっといます」
耳朶を甘噛みされ囁かれた
「……伊織……離さないで……」
康太は榊原を締め付けた
康太の腹筋が締まって……榊原も締め付ける
「……伊織……イクぅ……一緒に……」
「ええ……康太……一緒に…」
二人同時に達した
康太は榊原の背を強く抱き締めた
「オレの伊織だ……」
「君のモノです
君は僕のモノです」
「ん……オレの全部は伊織のモノだ」
「奥さん、素敵な夜ですね」
「伊織、ありがとう」
「………君を一時間半も待たせてしまいました
お詫びに君の欲しいモノを買ってあげます」
「オレは伊織しか欲しくない」
「なら君の言う事なら何でも聞いてあげます」
「……なら子供を一人貰い受けるのを許してくれ……」
「………母さんの子ですか?」
「………違う」
「………君が貰い受ける子なら愛して育てます」
「オレが育てる訳じゃねぇけどな……」
「………え?……君が育てるんじゃないんですか?」
「貰い受けるけどなオレは育てねぇ……」
「君の想いのままに……
僕は君から離れません……未来永劫愛しています」
「……伊織……」
康太は榊原の胸に顔を埋めた
榊原は愛撫を再会し、康太の中を掻き回した
尽き果てるまで……
求め合い……一つに繋がり……
愛し合った
浴室で、綺麗に体躯を洗って貰った
髪も洗って貰って、お礼に榊原も洗ってあげた
ゴシゴシ磨き上げ、一緒にお風呂に入った
「伊織……楽しかった
ありがとう」
「僕も楽しかったです!奥さん
時々デートしましょうか?
映画や食事をして楽しむ時間も大切です」
「ん……伊織と二人きりで過ごしたかった
恋人同士みたいにイルミネーションを見て過ごしたかった」
「僕も一緒です
君とデートしたかったのです」
「また行こうな
今度は一緒に出ような」
「そうですね
君を待たせてしまいましたからね……今度は一緒に出ましょう」
「………凄く淋しかった……
伊織のいない世界がこんなに淋しいとは想わなかった
伊織がいないだけで……寒いんだ……」
「もう一人にしません
ずっと一緒にいましょう!」
「……ん……伊織離さないで…」
「離しません!絶対に!」
榊原は康太の唇に口吻けた
「逆上せてしまいます」
浴室から上がり、体躯を拭いてベッドに上がった
抱き合い互いの熱だけ感じて……
眠りに墜ちた
【甘い家族】
朝陽が上るのを二人で見て
キスをした
甘い甘いキスだった
服を着て支度をする
榊原は慣れた手付きで康太の支度をして、自分の支度もした
「レストランで食事をして帰りましょうか?」
「おう!腹減りだ……」
榊原は康太を想いきっり抱き締めると……
離した
「行きますか?奥さん」
康太はニコッと笑った
二人で部屋を出ると離れた
男同士で……手を繋いで歩けない……
ロビーまで行くと……
榊原は清算に向かった
康太はフロアに見知った顔を見付けて近寄った
「瑛兄、一生、慎一どうしたんだよ?」
康太は我が子を抱き上げて、問い掛けた
翔、流生、音弥、太陽、大空は良い子して座っていた
瑛太が
「君達、 子供達を連れて遊びに行きなさい
一生と慎一が手伝ってくれます」
「瑛兄……」
榊原が康太の横に戻って来た
「義兄さん……支払いが終わっていました……」
榊原が言うと瑛太は笑って
「君達の子供です
遊びに連れて行ってやりなさい」
と言い翔を榊原に渡した
「翔、リュック背負って気合いが入ってますね」
「とぅちゃとかぁちゃとあちょぶ!」
翔は嬉しそうに言った
音弥は榊原の足に抱き付き抱っこしろ!とアピールしていた
榊原は翔を座らせると音弥を抱き上げた
「おとたん!ぎゃんばる」
「……音弥……何を頑張るんですか?」
「たくちゃんあちょぶの!」
頑張って?
そんなに気合いが入ってたのか……
と榊原は可哀想になった
想えば……一度も遊びには連れて行ってない
避難させて……育てていたから、親子で過ごす時間は短かった
「康太、伊織、兄は仕事に行きます
伊織、今日はパパでいなさい!」
そう言い瑛太は会社へと向かった
「流生、飯食ったか?」
「まだ!」
康太は榊原を見た
榊原は困っていた
移動の手段が歩きしかなかったから……
慎一が「レンタカーを借りて来ました!ファミレスの方が良いですよね?」
と言ってくれた
榊原が音弥を抱っこして
康太が流生を抱っこして
一生が翔を抱っこした
慎一が太陽と大空を抱き上げて、駐車場の方へ向かった
ヴェルファイアのドアを開いた
康太と榊原と子供達が後部座席を陣取り座った
一生は助手席に座り、慎一は車を走らせた
「遊園地に行きますか?」
「遊園地って何処ですか?」
榊原は全く予想も付かなかった
「東京ドームシティに一生がチケットを取ってました」
「………子供達と遊びに行った事がありませんでした…」
「瑛兄さんもそれを言っておいででした
いい機会ですので遊びに連れて行ってあげて下さい……と言われました」
慎一は説明した
「……悪かったな一生、慎一」
「お気になさらずに」
慎一はニコッと微笑んでそう答えた
榊原は
「慎一、飛鳥井に一度帰って下さい!
和希と和真、北斗も連れて行きましょう!」
「伊織……」
慎一は飛鳥井の家に向かって車を走らせた
康太は携帯を取り出すと
「清四郎さん、今日はお時間ありますか?」
と連絡を入れた
『ドラマも終わって来年の頭まで休んでます』
「真矢さんも?」
『真矢とは休みを合わせて取っています
真矢も休みなので一緒にいます』
「遊園地に遊びに行きませんか?」
『………良いのですか?』
「ええ。構いません
では迎えに行きます」
康太は電話を切ると一生に
「一生、車を出してくれ」
と頼んだ
慎一は「全員が乗れるバスに変えて来ましょうか?」と問い掛けた
「慎一、悪かった……」
「気にしなくて良いですよ
では、バスに変えて来ます」
康太達を飛鳥井に置いて、慎一はレンタカーを借りに行った
清四郎と真矢が飛鳥井の家にやって来ると、康太達は家の外に出ていた
「あ!じぃたん!」
子供達は
源右衛門をじぃじ
清隆をじぃちゃ
玲香をばぁちゃ
清四郎をじぃたん
真矢をばぁたん
と分けて読んでいた
音弥が「ばぁたん!」と呼んだ
真矢は音弥を抱き上げた
「おとたん、風邪ひいてない?」
「おとたん、ぎぇんき!」
胸を張って音弥はそう言った
真矢は笑って音弥の頬を撫でた
太陽も大空は……沈みがちだった
下を向いて……二人で耐えていた
「……あら?太陽と大空はどうしたの?」
真矢は康太に尋ねた
「………一生、二人はどうしたのよ?」
と尋ねた
「太陽と大空は今朝、じぃたんに怒られたんだ」
「あにしたんだよ?」
「叩き合いの喧嘩してて……怒られた」
康太は太陽を抱き上げた
「あんで叩いたんだ?」
「……きゃなが……ちなをちゅきとばちた…」
太陽が泣きながら言うと康太は大空に
「かな、ひなを突き飛ばしたのか?」と聞いた
「ちな…ばっか……」
よしよしされるの……と大空は泣きながら言った
二人は何時も一緒だから……ついつい太陽と呼ばれてしまう
大空……は忘れられてないが……
太陽が先に来るのは否めなかった
「かな、叩くのはダメだぞ」
大空はコクッと頷いた
「ごめんね、言えるな?」
「……ちな……ぎょめん」
「きゃな……」
太陽は大空に手を伸ばした
康太は大空を太陽の前に下ろすと、二人は抱き締めあった
二人しか解らぬ世界がある
康太はそんな二人を見ていた
慎一がバスを借りて飛鳥井の家にやって来ると、皆、バスに乗り込んだ
途中でファミレスで食事をして
東京ドームシティへと向かった
子供達は瞳の色を輝かせて、園内を走り回った
ついて行く大人が目を回す速さだった
「きゃけゆ、あれのりちゃい」
を指さして言う
翔のお気に入りはヴーナスラグーン
水辺に浮かんだメリーゴーランドだった
「りゅーちゃ!あれにょりたいの」
流生のお気に入りはピクシーカップ
「メリーゴーランド乗ってからな」
「うん!」
子供達の乗りたいモノに乗せてやる
真矢も清四郎も笑顔で子ども達と乗り物に乗っていた
慎一は和希と和真、北斗と流生達と一緒に乗り物に乗っていた
康太は「慎一、和希達は少し大きい!年相応の乗り物に乗ってやれよ」と言った
「康太……」
「たまにしか来れねぇからな楽しませてやれ」
「解りました!」
慎一は3人を連れて少しお兄さん向けのアトラクションへと行った
お昼を園内のレストランで取って、一日遊んだ
帰る頃になると子供は全員夢の国だった
「一生、和真をフリフリグランプリに連れて行ってやってくれ……遊びたいのに……遊べてねぇ」
「あいよ!お前は?ここにいる?」
「子供は寝てるからな動けねぇよ、ここにいる」
一生は和真の手を引っ張ってフリフリグランプリの方へ走って行った
足の悪い北斗と、内向的な和希と一緒では……乗りたいモノは我慢しなきゃならなかった
和真は何時も我慢していた
自分が言い出したら……二人を傷つける……
そう思い我慢するのだ
慎一は康太に
「………和真は……我慢していたのですか?」
と問い掛けた
「……切り出せば……二人を傷つける……と想って和真は何時も自分を押し殺してる……
時々解放してやらねぇとな……」
「……気付きませんでした…」
「和真は活発なんだよ
行動範囲も広い……ゲームもやるだろ?
それが和真の個性だ
和希と北斗の個性と違って当たり前だ」
「………個性……ですか?」
「兄弟でも違う存在なんだよ双子って
それぞれに個性が出て来て当たり前だ
和真は和真の個性だ
和希は和希の個性がある」
「………言われてみなければ… 気付きませんでした…」
「個々になる時なのかもな…」
「……え?…」
「何時までも一緒……と言う枠を取っ払って、個々として接してやる時期なんだよ
その為に御前の部屋は子供部屋を孤立させて造らせた
子供部屋を離して使う時期が来たんだよ」
「解りました!」
一生と一緒に和真が帰って来た
瞳を輝かせフリフリグランプリを語って聞かせてくれた
「和真、もう乗りたいモノはねぇか?」
「ありがとう、康太君
もう乗りたいモノはないよ!」
「じゃぁ、お土産買って帰ろうぜ!
清四郎さん真矢さん、一緒にお土産を買って来てくれませんか?
お金は慎一に持たせたカードで支払えば良いですから」
「解ったわ、流生達にも買って来ますね」
真矢は康太の頬にキスを落として、笑った
お土産を、買って帰って来ると、駐車場に行きバスに乗り込んだ
康太は流生を抱っこしていると…腕の痛みに……
「……重っ……」とボヤいた
「大丈夫ですか?」
「重くなったな…」
「僕達の子供です
日々愛されて育っているのです」
榊原は愛情の分、体重が増えているのです……と言った
榊原の膝の上に、太陽と大空
康太の膝の上に翔と流生
一生の膝の上に音弥が寝ていた
一生は「音弥も翔達と変わらなくなって来たな」と嬉しそうに答えた
超未熟児だった
手も足も……壊れそうな程に細くて……
保育器の中に入って過ごした
飛鳥井の家に最後に来た子供だった
すっかり日が暮れて、飛鳥井の家へと向かう
飛鳥井の家に到着し、康太達を下ろすと、慎一はレンタカーを返しに行った
康太達は眠った子供を抱き抱え、飛鳥井の家のドアを開けた
ドアを開けると、玲香が出迎えてくれた
「楽しんで来れたか?」
「母ちゃん、めちゃくそ楽しかった」
「それは良かった」
「母ちゃん、清四郎さんと真矢さんが手伝ってくれたかんな!」
康太が言うと玲香は清四郎と真矢に深々と頭を下げた
「今日は泊まって行って下され」
「では、お言葉に甘えて」
真矢は笑っていた
玲香も嬉しそうだった
真矢は「美緒ちゃんや志津子さんを呼んで飲みましょうよ!」
と言うと玲香も乗りまくりで喜んだ
子供達を子供部屋に寝かせに行った
パジャマに着替えさせ寝かせる
子供達は起きる事なく夢の国だった
康太と榊原は着替えて応接間へ行った
家族で迎える楽しい時間
永遠に続くと信じて疑わなかった時間だった
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