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第31話 valentinekiss~Valentineの恋人たち~ ①

安西力哉×緑川一生 野坂知輝×脇坂篤史 四宮聡一郎×飛鳥井悠太 小鳥遊 譲×香椎頼斗 水野千秋×一色和正 一ノ瀬聡哉×江口陵二 +飛鳥井康太×榊原伊織 彼らのValentineはどれだけ甘いのか 蕩けるValentineの恋人たちをどうぞ! Valentineを一週間後に控えた飛鳥井の家は慌ただしかった 緑川慎一はチョコの作り方を、教えてくれと頼まれた方々に作り方を伝授していた 飛鳥井康太が「オレは慎一に教えて貰ってるぜ!」なんて言ったのが切っ掛けで…… 【是非、教えてください!】 と熱望され拝み倒された 皆様……それはそれは……不器用な方達ばかりで…… 慎一は教える前から戦意喪失 果たして……病院送りじゃないチョコは作れるのか? こうご期待…… 水野千秋、野坂知輝、一ノ瀬聡哉、四宮聡一郎、小鳥遊 譲、安西力哉 この6名が慎一にチョコの作り方を聞いて来たから、皆まとめて教える事となった 今年、康太はチョコは作らなかった チョコを作って榊原に渡しても、甘いのやお菓子が好きじゃない男は食べなかった 一口位食べて、後は康太に食べさせて口で溶かして…… エッチに雪崩れ込む…… 必死に作ったチョコなんだから……と想わなくもない でも嬉しそうな榊原を目にすれば…… 文句も何処かへ飛んでいく 榊原に「今年はチョコは作らねぇぞ」と宣言すると 榊原は哀しそうな顔をした 「………僕……何かやらかしましたか?」 不安そうな瞳を目にして、康太は榊原に口吻けた 「伊織は甘いの嫌いだろ? お菓子も食べねぇよな?」 「甘いのが嫌いな訳じゃありません お菓子も嫌いな訳じゃありません 子供の頃から食べずに育ったので……必要性を感じないのです 君がくれるなら僕は何でも嬉しいのです」 「でもなチョコとか好きじゃねぇのに渡したくねぇんだよ なからなvalentineは伊織とデートする事に決めた 行きたい所へ行って二人で過ごそうぜ 母ちゃんや京香も子供の事は任せておけ!と言ってくれてるかんな! 伊織の好きな事をして過ごしてぇんだ チョコより伊織は喜ぶと想ってな、考えた」 「君と一日好きな所へ行って過ごしても良いんですね」 「おう!伊織の好きにして良いかんな」 榊原は康太を抱き締めた 「……なら魔界に行きましょう! 魔界で手を繋いでデートしましょう!」 「なら雪に頼んで料理を作っておいてもらうか! 銀龍に青龍の好物を聞いて作って貰うか」 康太が言うと榊原は…… 表情を曇らせた 「………どうした?伊織」 「………あの……多分……母さんは青龍の好物なんか解らない……と言うと想います 僕は……出されたモノを黙々と食べていたので…… それが母の逆鱗に触れたみたいで……お前は本当に作り甲斐のない男だわ……と嘆かれました」 青龍の時から食に興味がなかったのか…… そう言えば魔界で何度か食堂で見た青龍は黙々と食べていたっけ…… エネルギー補給 的にしか食べてない姿を思い出した 「独り立ちしてからは、死なない程度に食べてただけなので……食に対するこだわりはありません!」 「なら雪に適当に用意させるとするか 食えねぇのはねぇのかよ?」 「………コウモリの羽根のスープとトカゲの丸焼き 怪魚の煮付けと……空飛ぶ海月の酢づけは御免です」 「………オレも……それは御免だわ……」 「……後……エスカルゴータのフルコース あんな巨大なカタツムリの料理は御免です」 「オレさ、エスカルゴータの背中に乗るのめちゃくそ好きだな…」 「………凶暴な奴ですよ?」 「強い奴程燃えるかんな!」 「………もうダメですよ? 君に怪我などさせたくないですから…」 「ん……しねぇよ……」 「楽しみです 龍族秘教の温泉に行きましょうか? それともスネークランドに行きますか? ツインクロスタワーでも見に行きますか?」 「全部魅力的だな……選べねぇな…」 「ならvalentine二日前から行って楽しみましょうか? そしてvalentineは僕の家で過ごしましょう」 「良いな、それ! なら魔界にいる間は洗ってやんよ ピカピカに鱗の一枚まで洗ってやんよ!」 「嬉しいです」 ラブラブの二人は…… 寝室の隣のリビングのソファーに座り、イチャイチャしていた 康太は榊原の膝の上に向かい合わせに座り、甘えていた この二人の甘さはvalentineなんてイベントは必要ない気がする一生だった 「valentineはデートするのかよ?」 一生はリビングに顔を出して二人に尋ねた 康太は笑顔全開で「おう!デートするんだよ!」と答えた 榊原は康太の旋毛に口吻けを落として 「valentine二日前から出掛けます」と一生に告げた 「何処へ行くんだよ?」 「スネークランドに行って、ツインクロスタワーを見てくる予定です」 「スネークランドにツインクロスタワー? 魔界に行くのかよ?」 娯楽の少ない魔界に最近出来た娯楽施設がスネークランドだった そして高層ビルのない魔界に初めて建ったビル、それがツインクロスタワーだった 人間界の建築家が魔界に出向いて建築法を指導した ビルの外壁はコンクリートのない魔界だから龍の骨を粉にして壁を作り コンクリートの中の基礎は、一晩で成木になる硬い木に加工して骨格を作り建てたビルだった 電気のない魔界で唯一の娯楽とデートスポットだった スネークランド 読んで字のごとし 巨大な蛇が電源の代わりに動いていた 魔界は今ネズミーランドも建設中だった ジェットコースターは蛇がうねる背中を滑っていく かなり迫力のある遊具として人気だった 蛇が振り回すバイキングや、ものぐさな蛇が輪になって回る観覧車も人気だった 人の世で言う遊園地みたいなモノだった かなり給料は良いから、やりたがる大蛇は後を絶たなかった 魔界も変わりつつあった ガス抜きは必要だった 博打や賭博……そんな発散方法よりも、遊びで汗をかく 近々、スカッシュやバトミントン、ボーリング場も公開予定だった 稼いだ金で遊びやショッピングをする ツインクロスタワーの中には店も入っていた 料理屋も入っていた 一番人気の料理屋はやはり手間暇かかる料理のコウモリの羽根のスープがある店だった 一生は「……俺も逝きてぇな…」と呟いた 「おめぇは力哉と甘い時間を送れ! 力哉は魔界には入れねぇぞ? 人を……魔界に連れて行けねぇ……解ってるだろ?」 魔界に人間は入れない 康太の子供が魔界に行ったのは理由があるから…… 魔界に還る流生がいたから…… 慎一も死しても尚、主に仕えるから許されているみたいなモノだった 「………解ってる……」 「………魔界は……人の命を蝕む…… 慎一はオレが命を繋いでるから入れた 力哉はそう言う訳には逝かねぇ……」 「………解ってる……解ってるよ康太…」 「力哉と過ごしてやれ」 「そのつもりだ」 「オレは……伊織と……青龍と変わりつつある魔界が見てぇんだ……」 「………デートして来いよ」 「おー!してくる!」 康太は笑って榊原の胸に顔を埋めた 幸せに笑ってろ…… そうやって笑ってろ…… 一生は康太の顔を見て想った そして願った 【チョコ製作】 野坂知輝は愛する恋人に渡すチョコを、生まれて初めて手作りで作ろうと一大決心した 「篤史に手作りチョコを渡す! そのためなら原稿なんて落としてもいい!」 脇坂が聞いてたら怒り出す台詞を吐き捨てて決意を語った 突如、四宮聡一郎がチョコレート作りしたいと参戦して来た時には驚いたが…… 「悠太に手作りチョコ渡したい 僕の事を不器用扱いしやがって! 作ってやるよ!待ってろよ悠太!」 宣戦布告とも言える台詞を吐いて聡一郎は決意を伝えた 皆様……とても器用とは想わなかったから慎一は不安だった 皆……やる気だけはあった 小鳥遊 譲は「頼斗が食いたいって言うからな……絶対に作ってみせる!」と燃えていた 一ノ瀬聡哉も「シェフに喧嘩売るつもりで作ります! 大丈夫です!愛だけなら誰にも負けません!」とのたまった 水野千秋も「あの康太君が伊織君にチョコを渡したって聞いたもんね!負けてられないよ!」ボーッと燃えまくっていた 安西力哉も「僕だって!手間暇かけたチョコを渡したいのです! 最近……本当に大切にしてくれてるから…… 僕だって大切なんなって伝えたいんです!」と涙目で訴える やる気だけは誰にも負けていなかった だが破壊的に……不器用ばかり集まった 力哉、聡一郎は解るが…… 神野経由で小鳥遊譲が慎一を訪ねて来て 康太経由で水野千秋と一ノ瀬聡哉が訪ねて来た 6人をキッチンに集めてチョコ製作に取り組む 一週間で……マスターできるかは定かではないが…… 火蓋は切って落とされた 「熱い!」「痛い!」「焦げた!」「溶けた!」 「あ~落とした!」「食ったら絶対に病院行くな…」 キッチンに様々な声が響く この日3回目のチョコ製作指導 少しは食べれるのを作れるようになったが…… キッチンはハチャメチャで…… 皆が帰った後は片付けが結構大変 でも慎一はいやな顔一つせずにチョコ製作に協力してくれていた 野坂が「………オレ……不安だ……」と弱音を吐く 「知輝さん大丈夫です 後4日あります それまでに形になれる筈です」 慎一の言葉に挫けそうな心を立て直す 聡一郎も「………こんな不格好なの……悠太に食べさせられません……」と嘆いた 「聡一郎、形じゃないよ 作った方の想いがこもってれば形なんて関係ないよ」 その言葉にうるうる…… 聡哉は「……動物の扱いなら負けないのですが……」と弱音を吐いた 「聡哉さん、上達してますよ きっと陵二さん喜ぶと想いますよ」 喜ぶ顔が見たい…だから頑張る 聡哉は折れそうな心を……持ち直した 水野千秋は「火傷した……チョコってこんな熱いなんて詐欺だよね……」と泣きそうになった 「気を付けて下さいね千秋さん 一色さんに怒られちゃいますからね 一色さんは誰よりも千秋さんを大切に思ってるんですからね」 そんな事言われたら……頑張るしかないじゃないか…… 小鳥遊譲は「………泡立てとか力要るんだな… 遺跡と違って……形のないのを作るのは大変だな」と弱音を吐く 「譲さん、料理も遺跡と変わりませんよ 自分だけのモノを作った喜びは発掘と似てます」 「だよね!頑張るよオレ!」 俄然頑張る譲に胸をなで下ろした 安西力哉は「……一生……ビターが良いと想ったけど……ビターは難しいね……ビター過ぎて……味が…変だし」と味見して……挫折しそうになっていた 「一生はミルクチョコなら食べます ビターじゃなくミルクチョコにしましょうか?」 「食べてくれるかな?」 「力哉が作ったモノなら何でも食べるよアイツは」 慎一は笑った 力哉はならミルクチョコにすると上手くいく方を受け入れた 慎一はため息をついた この六名の方たちの恋人は皆、同性なのだ 皆……ラブラブなのだ…… 何だか理不尽だと想う キッチンでチョコを教えながら慎一は夕飯の支度と、子ども達のおやつを作る 慎一の子供と北斗が学校から帰って来た 「「「ただいま」」」 和希と和真、北斗が学校から帰って来てキッチンを覗いた 3人は来客に深々と頭を下げた 「「「こんにちは」」」 ご挨拶をして何時もの席に座る 慎一は父親の顔をしておやつを前に置いた 「手洗いうがいして来ましたか?」 インフルエンザも流行っている 日頃の予防は口うるさく言っている 和希はニコッと「したよ!」とお返事した 和真は何も言わず頷いた 北斗は「指の間までやったよ」と手洗いをちゃんとしたと伝えた 聡哉は「この子たちは?」と慎一に問いかけた 初日、キッチンテーブルの上にある散々なチョコを食べた… その日から徐々に上達して来たチョコを味見していた 逢うのは初めてだが……チョコなら食べていた 「俺の子と一生の子です 和希と和真は双子で俺の子です 北斗は一生の子です」 慎一が言うと北斗は「養子だから父さんには似てないけどね…」と悲しそうに伝えた 慎一は北斗の頭を撫でて 「どうした?何でそんな事を?」と問い掛けた 北斗は俯いた 和希が「北斗の父さんは桜林では有名人だから…… お前似てないな……って揶揄されたんだ」と事情を話した 慎一は北斗の横に座ると 「誰よりもお前を大切に想ってるのは一生だろ? そんな事を言うと一生が哀しむぞ? 血は繋がらずともお前は緑川一生の息子だろ?」 「………慎一君…ごめん……」 「おやつを食べなさい!」 慎一は北斗の頭を撫でると立ち上がった 野坂や他の人達の前に子ども達に出したと同じおやつを置いて紅茶を差し出した 「お茶にしましょう!」 慎一が言うと皆、休憩した 和希は出来上がったチョコを見て 「上手くなったね皆さん」と賛辞を送った 初日から見て来た 初日はとてもじゃないが…… カタチにもなってなきゃ…… 味も凄いモノだった 和希は冷ましてあるチョコをパクッと食べた 和希が食べると、和真と北斗も食べた 和真は「美味しい……腕を上げましたね皆さん」と素直な感想を述べた 北斗も「うん!美味しい!初日のは凄かったけど、今は凄く美味しいよ!」と感想を述べた 康太と榊原が保育園から子供たちを連れ帰ると 和希と和真と北斗が玄関までお迎えに来てくれた 靴を脱がせるのももどかしく子ども達は行こうとする それを押さえつけて靴を脱がす 「手洗いうがいだかんな!」 康太が怒ると子ども達は 「「「「「あい!」」」」」と返事した 康太は「返事だけは良いんだからよぉ!」とボヤいた 慎一が玄関までお迎えに出て来て 「皆さんまだおみえですよ?」と伝えた 「おっ!ならオレもおやつ食うぜ!」とスキップで行こうとする康太の首根っこを榊原が掴んだ 「手洗いうがい!しないとダメですよね?」 「………うがいしてくるから離せ! 離さねぇともうチューしてやんねぇぞ!」 榊原は康太を掴んでる手を離した 「チューして下さいね 熱いチューを所望します!」 「しねぇよ!んなの!」 康太はそう言い洗面所へと駆け込む 榊原はその後を追って行った 手洗いうがいした後… 執拗なチューの回収をされたのは言うまでもない キッチンに行くと見知った顔があった 「知輝元気だったか? 脇坂が後で飛鳥井に来るらしいからな 勝手に帰るなよ!オレが脇坂に恨まれるからな! 聡哉、桃太郎に逢わせてやるから待ってろ! 千秋、一色が後で迎えに来るってよ 譲、頼斗は今日海外から帰るそうだ 迎えに来るまで飛鳥井にいろって言ってたかんな 良い子にしていろ!」 心配性な恋人が多いらしい 康太は苦笑した まぁ自分も人のことは言えないけど…… 「かぁちゃ!」 流生がキッチンに走って来た 康太は流生を抱き上げて 「ご挨拶は?」と問い掛けた 床に下ろすと流生はペコッとお辞儀した 「りゅーちゃ!ちく!」 と自己紹介した 「おやつ食うか?流生」 「あい!」 一生によく似た人懐っこい顔が母に抱かれて笑っていた 「「「「かぁちゃ!とぅちゃ!」」」 残りの四人もキッチンに駆け込んだ 榊原に似た顔が二つ 一条隼人に似た顔が一つ 飛鳥井瑛太に似た顔が一つ それぞれ酷似した容貌をした子ども達が康太と榊原に抱き着いた 「ほれ、ご挨拶は?」 康太が言うと太陽が片手をあげて 「ちなれちゅ!」とご挨拶をした 「きゃにゃれちゅ!」 「かけゆれちゅ!」 「おとたんれちゅ!」 「りゅーちゃれちゅ!」 とご挨拶をした 椅子に座らせて貰いおやつを食べる 玲香が帰って来てキッチンに顔を出し烈を康太に渡した そして自室に引き上げていった 「烈、お帰り!」 康太が言うと烈はブーブー言っていた 慎一はおやつが済むと 「皆さん応接間に行かれたらどうです?」 と問い掛けた 場所を応接間に移した 慎一は応接間にお茶とお菓子を持って行った 康太と榊原は子ども達は応接間に置いたまま着替えに行った 譲は子ども達に近寄った 「譲だよ!ヨロシクね」 譲が言うと音弥が「ゆじゅる?」と聞いた 「そう!譲!発音良いな」 子ども達は一人一人自己紹介した 水野も聡哉も野坂も子ども達と遊んでいた 聡一郎と力哉は犬を撫でていた 聡哉は真っ白な犬に目をやった 「………タイショウ?」 聡哉が尋ねると「そう!そいつがタイショウだ!」と声がした 振り返ると着替えた康太が立っていた 「この犬?診察して欲しい犬って?」 「あぁ、預かりものだからな……」 「毛艶は良いね 大切にされてるのが伺えれるね 爪も歯も老化は否めないけど良い状態だよ 外見で目立った所見はない 中身は病院で診ないと解らないね」 「………盛り……まだ来るかな…」 「子供残すつもりなんだね 大丈夫だと想うよ 気になるならブリーダーさんと話し合って良い状態を作って掛け合わせても良いしね」 「何時も悪いな…」 「気にしなくても良いです」 康太は犬を触ってる水野と譲を見た 「千秋と譲、犬欲しいか?」 水野は「……え?欲しいって飼える訳じゃないから…」 と躊躇した 「一色が来たら話せば良いやん 譲はどうよ?犬欲しくねぇか?」 「……欲しいけど……頼斗もオレも長期間家を空ける時あるし……」 「発掘調査なら連れて行けば良いやん 虫除けは出来るかもな!」 康太はそう言い笑った 譲は「………そんな簡単に犬がいる訳じゃない…」 と現実を見て語った 「そこの白い犬いるやん? ホワイトスイスシェパードと言う犬らしいけどな タイショウって言うんだけどな タイショウはメスと掛け合わせる予定なんだ ゆくゆくはタイショウと子供は白馬に行く予定だけどな…… 子供は何匹か欲しいと言う奴に渡そうと想っている だから今すぐじゃねぇ…今後の話だ」 「……もし飼いたいって言ったら…… 子犬……貰えるの?」 譲は康太に問い掛けた 「お前に渡す犬は、お前を守って生きるだろうからな……託してもいい」 「……なら子供が出来たら……貰うよ」 譲は覚悟を決めた 水野も「普段うちは留守になるから…お留守番になったゃうけど、大丈夫なの?」と不安を投げ掛けた 「タイショウは夜帰って来る飼い主を何時も玄関に出て待ってたそうだ その子供だからな留守番は出来るだろ?」 「………寂しくないかな……」 「だから一緒にいられる時は傍にいて可愛がってやるんだろ?」 水野も覚悟を決めた瞳をした 「欲しい…産まれたら…貰い受けたい」 「猫は家にいつき 犬は飼い主に懐く 飼い主と決めたからには犬は一生を共にする覚悟で生きる……それは忘れてやらないでくれ…」 水野と譲は頷いた 兵藤が桃太郎を連れて飛鳥井に来ると一ノ瀬聡哉は喜んだ 「桃ちゃんだね あぁ~お人好しの顔を更にお人好しにして…… 何この子……めちゃめちゃ可愛い」 桃太郎は聡哉に撫でられて…… ひっくり返って腹まで見せていた 兵藤は「……危機感ねぇやん…」と顔を覆った 「まぁそう言ってやるな貴史 相手は獣医だからな…犬の扱いには慣れてるんだ」 「あ!そうそう!皆さんに差し入れがあったんだ チョコ作ってるんだろ? 親父がアメリカから大量にチョコを送って来たから… このチョコも作って貰う為に持ってきた」 そう言い段ボールに山盛りのチョコをテーブルに乗せた 慎一はチョコを見て 「溶かして使うには最適なチョコですね!」と素材を見て言った 兵藤はニャッとして 「そうだろ?湯煎さえすれば型に流しやすいし 失敗の少ないチョコだからな!」と謂った 慎一は「助かります」と言いチョコを受け取った 桃太郎は野坂の傍に寄って尻尾をふっていた 野坂は桃太郎を撫でていた フリフリ振ってる尻尾は可愛いけど……包帯が巻いてあった 「おしっぽ……どうしたの?この子?」 野坂は桃太郎の尻尾を見て問い掛けた 兵藤は「毛がみんな抜け落ちたんだ」と説明した リボンが好きで、ずっと巻いてたら尻尾が炎症を起こして毛が抜け落ちた……と話した 野坂は自分の事のように痛がって桃太郎の尻尾を撫でた 「桃、野坂さんの事好きだな 一生の次に好きな人出来たみてぇだな」 「桃ちゃん、一生君が好きなんだ」 「………仲間……と想ってるかもな」 兵藤はそう言い笑った 野坂は今更ながらに想う 飛鳥井って無駄にイケメン多いよな…… 応接間で話してると玲香がケータリングを頼んで、皆で食事した 譲はこんな風に誰かと話したりするのは久しぶりで…… 始終ニコニコと笑顔で顔が緩みっぱなしだった 野坂は「譲君って考古学専攻してるんだって?」 「はい!文理学部 史学科を卒業します 院に上がって助手をしながら論文をあげていくつもりです」 「今度さ取材させて貰っても良いかな? オレ……歴史が書きたいのか、史実が書きたいのか それとも時代劇が書きたいのか解らないんだよね 一度考古学とかも知っておきたいと想ってるんだ」 「何時でも協力します! 声かけて下さい!携帯の番号教えます」 そう言い譲は名刺を野坂に渡した 食事を終える頃、香椎頼斗が譲のお迎えに来た 神野が飛鳥井に連れて来たのだ お迎え……と言いつつ譲の車に乗って帰るんだからお迎えになるかは……解らないが…… 頼斗は譲を見るなり飛び付こうとした 「譲!愛してるよ!」 …………が、頼斗をヒョイッと避けた 「譲ぅ~」 頼斗が情けない声を上げた 「人前だぞ? 人前で抱き着くのはダメだって言ったろ?」 「………譲は冷たい……… 入籍もしてくれないし………」 頼斗がボヤくのを康太は笑っていた 康太は「頼斗、オレに挨拶はねぇのかよ?」と声をかけた 「康太君、久し振り…」 頼斗が言うと神野が「日本にいなかったんだよ」と仕事で海外に行ってたのを教えた 「雑誌の撮影か?」 「違う、頼斗は映画にも出だしたんです カンヌ国際映画祭に行っていたんだ」 「へぇ、すげぇな! 役者としても頭角現しだしたんだな」 「………本当は海外なんて行きたくなかった……」 頼斗はブチブチ零した 康太は笑った 譲は「ほら頼斗帰るよ」と世話の焼ける恋人に声をかけた 無駄に頼斗がキラキラと光った 野坂は「………目が痛い……」と呟いた 譲は「……でしょ?無駄に光りすぎなんだよね」とため息を着いた 「……間近で見たけど……本当に光ってるね でも創作意欲は掻き立てるね」 野坂が言うと神野が瞳を輝かせた 「野坂先生、頼斗の仕事の調整はします!是非とも!」と便乗した 譲は「晟雅さん…」と神野の名を呼んだ 「譲、優が逢いたがってた」 神野は小鳥遊から頼まれた伝言を伝えた 「兄さん?何だろ?」 譲が呟くと一ノ瀬聡哉が「譲君のお兄さんって?」と問い掛けた 神野は「譲は小鳥遊の弟になります」と説明した 「小鳥遊さんの弟さんなんだね! 初めて知ったよ!」 聡哉は意外な繋がりにニコッと笑った 神野は「皆さん守備の方はどうですか?」と尋ねた 慎一は「皆さん上達して来ましたよ」と答えてやった 神野は……本当かな……と不安になったが口には出さなかった 譲が手作りチョコを作りたいから何処か教えてくれる所ない?と頼ってきた 神野は飛鳥井で慎一がチョコを教えると言うのを瑛太から聞いてて、譲を入れてくれないか瑛太経由で頼んだ 『…家に帰ると……甘いんですよ家が……』 飲んでる時に瑛太が零した 何がそんなに甘いのか? 神野には想像がつかなかった 「康太と伊織君が甘いのか?」と聞いた位だった 『違う……チョコの匂いがね家中に充満してるんですよ』 そこで初めて慎一がチョコの作り方を伝授してるのを知って譲を入れて貰うことにした 神野は瑛太を呼んで飲み始めた 譲は頼斗を連れて帰って行った 野坂も迎えに来た脇坂に連れられて帰った 聡哉も陵二が迎えに来て帰って行った 皆さん……過保護の恋人を持つと大変だな…… と一生は想った 康太は聡一郎に「守備はどうよ?」と尋ねた 「………僕はお菓子とか苦手なので…… チョコの甘さに吐きそうになりますが…… その苦しみを乗り越えて作って見せますとも!」 聡一郎は苦しそうに口を押さえた 康太は瑛太に 「瑛兄、オレ伊織と旅行するから2・3日留守にする 伊織は必死にチョコ作っても食わねぇからな…… 今年はオレらのvalentineを迎えようと想ってるんだ」 康太が言うと瑛太はニコニコと笑って 「行ってらっしゃい 君達だけしか出来ないvalentineを迎えてらっしゃい!」 と賛成して送り出してくれた 「瑛兄……ありがとう…」 瑛太は何も言わず康太の頭を撫でた 康太は慎一に「後は頼むな慎一」と声をかけた 「任せておいてください 世界に一つだけのチョコを作って帰って貰いますから!」 「聡一郎、力哉、お前も誰にも負けねぇvalentineを迎えろよ!」 康太が言うと聡一郎は康太に抱き着いた 「一番最初に渡すのは君に…… 帰って来たら受け取って下さいね!」 聡一郎はそう言い康太に甘えた 力哉も康太に抱き着いた 「僕も康太の為に作ります! だから帰って来たら受け取って下さいね!」 「おいおい……おめぇらは恋人の為に作ってるんだろ?」 「遙か昔から愛するのは君一人…… 君の為にいる存在ですから僕は……」 と聡一郎は笑っていった 「僕をこの世に引き留めたのは君じゃないか 君がいるから生きていけるんだよ 絶対の存在の君に渡さずしてどうするんだよ!」 康太は聡一郎と力哉の頭を撫でた 「世界で一番幸せな恋人の時間を送れ…… オレはお前たちが幸せなら……安心してられる」 榊原が優しく康太を抱き寄せた 神野と瑛太は優しい時間が流れるのを見守りながら飲んだ 【valentine二日前】 康太と榊原は魔界へ向かう為に家を後にした 菩提寺の試練の間から崑崙山へ向かい 崑崙山から青龍の背に乗って魔界へ向かう 崑崙山では八仙が炎帝を待っていた 「炎帝殿、魔界へ向かわれるのか?」 「おー!魔界で過ごすかんな!」 「魔界は物凄い活気に満ちております その瞳で見て参られるのもよいと思います」 「八仙、魔界に妖精が生息出来る様に果樹園を創るつもりだ」 「………日の光の通らぬ魔界で育つ樹木は……実をなさぬ 果樹園は難しかろうて……」 「【神】と呼ばれる存在に種を貰った だから魔界で撒こうと想っている 魔界に妖精を戻すつもりだかんな…… 近いうちに妖精王にも逢いに行くつもりだ」 「………あの気難しい輩は……滅多と人には逢ったりはせぬ ましてや魔界の者になど逢わぬでしょう」 「逢わないなら逢いに行けば良い 魔界に妖精を還すと言う約束があるかんな…」 小さき魂と約束した 「親父殿からもヴォルグの木が花をつけ実がなり種が取れたと貰った…… それも魔界で撒こうと想っている」 「……魔界に妖精が還るとお想いか?」 「妖精が飛び……虹色に光る魔界は綺麗だった と、親父殿は何時も話してくれた… オレは天魔戦争の後に魔界に呼ばれたからな…… それは知らねぇけど…… オレの体の中の親父殿の意識が……それを見せてくれている……」 「………なれば我ら八仙も炎帝殿の望みのままに動きましょう! 妖精王には我らもお逢いした事はない…… だが共に………我らも逝くと決めた」 「虹色に光る魔界は綺麗なんだろうな…… それこそが……あの人の望みなんだろうな…… オレに渡した種を……ガブリエルに渡したと聞いた 天界にも妖精が飛ぶ世界を戻すつもりなんだと想う オレは知らねぇが…… スワンが知っていた 昔は………天界も妖精やエンジェルが飛んでいる世界だった……ってな 総ては創造神の御心のままに……だろ?」 「炎帝殿は……そのために魔界へ逝かれるのか?」 「八仙、オレは青龍とデートだ! 野暮な事は言うなよ!」 炎帝はそう言い笑った 「デートとは良い身分だな!」 その時、背後から声が掛かった 振り向くと、そこには黒龍が立っていた 「友よ、あんで崑崙山にいんだよ?」 「母 銀龍が産後の肥立ちが悪く……伏せってるからな 薬湯を貰いに来たんだよ」 「おー!偶然だな」 炎帝は笑って黒龍に近付いた 「お前らはデートなんだろ?」 「そう!青龍と過ごす為だけに来た」 「ごちそうさん! でも一日位時間を作ってくれ!」 「………なら一日帰るの伸ばすわ」 「良いのかよ?」 「お前の我が儘なら聞いてやんよ!」 「この後、どうするのよ?」 「オレか?オレは一度閻魔に逢いに行く 頼んでおいたのを……聞かねぇとな」 「ならオレの背中に乗っていけよ!」 そう言い黒龍は龍に姿を変えた 炎帝は青龍と共に黒龍の頭に乗り込み八仙に別れを告げた 「帰りに寄るわ八仙!」 「待っておる炎帝殿」 そう言い八仙と別れを告げて、黒龍は飛び上がった 「もっとこっちに来なさい」 青龍が炎帝を引き寄せた 黒龍は頭上でイチャイチャやられて…… 「……始めるなよ…」と釘を刺した 「黒龍、妬くな! 可愛いじゃねぇか!」 「………妬いてねぇよ…」 黒龍は毒突いて飛ばした 閻魔の邸宅の庭に下りると…… 閻魔が庭に出て炎帝を待っていた 炎帝は黒龍の頭から下りると閻魔に近寄った 「兄者!」 閻魔に甘えて胸に飛び込むと、閻魔は炎帝を抱き締めた 「お帰り炎帝 そして青龍殿もお帰り」 青龍は閻魔に深々と頭を下げた 閻魔は炎帝を離すと 「さぁ、家に入りましょう!」と言い炎帝の邸宅の方へ向かった 雪がお出迎えした 「炎帝 お帰りなさい!」 「雪、青龍の食べれそうなの作ってくれたか?」 「はい!試験的に炎帝の庭の一部に野菜を作ったので それの収穫がかなり大量に出来たので、食べれそうなの沢山作れると思います!」 「野菜、成功したのか?」 「はい!種を採ったので、定期的な供給も近いと想います」 「ご苦労だったな雪」 頭を撫でて貰うと、雪は嬉しそうな顔をした 炎帝の邸宅の応接間へと向かい、ソファーに座った 閻魔は本題に入った 「魔界が使われているのは一部でしかない 北の方の開発に着手すると同時に、南の開発も進んでいる…」 「………南の方は天界から光が差し込む事になった 果樹園を作って、その周りに沢山の樹木を植える事にする 果樹園の管理を金龍に頼むつもりだったからな、どっち道金龍に逢わねぇとならなかった」 黒龍は初めて聞く事だった 「………果樹園?」と問い掛けた 「そうだ!魔界に妖精を呼び、生息させる」 「………揉め事になるぞ……そんな事をすれば……」 領地を奪い合うのは昔から変わらぬ行いなのだから…… 「共存を図る 遙か昔から妖精とは共存していた筈だ」 「………昔は知らねぇ…… そんな昔はどうだったか知らねぇが…… 魔界から妖精が消えて随分経つ……」 黒龍が危惧するのも当然だった 「共存出来ていた史実がある 魔界は開かれるべきだと思う 種族や権力を主張する前に…… 魔界の歴史を知るべきだろ?」 魔界の忌日を教える為に学校を作った 教育という形で知らしめるべきだと炎帝の提案を閻魔が飲んだ だが種族で敵対ばかりする魔族が、一つの教室で学ぼうとはしなかった 素戔嗚尊が炎帝の意思を汲み取り、学長として教える立場に立ち…… 何とか軌道に乗る事は出来た 一触即発の状態は常に孕んでいた そんな状態で妖精を呼ぶと言うのか…… 黒龍は炎帝の考えが解らなくなっていた 「魔界は………」黒龍が言いかけると炎帝が遮った 「魔界は魔族だけのモノではない! その想いを捨てねぇと常に領地争いはなくならねぇだろ? 無益な争いをして誰が得をする? 何時も得をするのは上に立つ一部の奴だけだ それが如何に無益だと解っちゃいねぇ…… 意識改革が必要なんだよ 魔界は魔族だけのモノじゃねぇ! 開かれて受け入れる時期が来てるんだよ 魔界に住む者が協力し合う時期が来てるんだよ でねぇと……この先も些細な事から暴動がおきる 次に狙うは閻魔か? 閻魔さえ倒せば魔界は思い通りだ…… なんて輩が出て来るだろ?」 「………魔界にはお前がいる……」 「オレが出来る事なんてしれてるんだよ黒龍…… オレが消滅したらどうするよ? オレが消えて……兄者が消えて……その時魔界はどうする? 次の閻魔に託すか? 次の閻魔で役不足だったらどうする? そしたら暴動がおきるぞ? 正しくない者が主導権を握ったら魔界はどうなる? そしたらまた権力争いか? 天魔戦争再び………となったら人の世はどうなる? 地球を巻き込んで滅びの道をはかるか? それでも良いだろ? オレらが生きてない事まで知るか…と言うなら放っておけば良い……」 言葉もなかった そんな先まで見据えて…… 考えた事なんてなかったから…… 「金龍には話は通してある お前が何を言おうと総ては軌道に乗っている しかもオレは青龍とデートに来たんだ デート以外の事はする気はねぇんだよ!」 炎帝は立ち上がると青龍に手を伸ばした 「愛する青龍 俺の手を取れ!」 青龍は炎帝の手を取ると、手の甲に口吻けを落とした 「愛する僕の炎帝……何処でも共に逝きます」 立ち上がると炎帝の腰に手を伸ばし引き寄せた 「では、デートの時間が惜しいので!」 青龍はそう言うと炎帝と共に応接間を後にした 「奥さん、何処から逝きます?」 「ツインクロスタワーに逝こうぜ!」 「手を繋いで歩きましょう!」 人の世では出来ない事を…… 魔界で気にすることなくしようと青龍は言った 炎帝は笑って青龍と手を繋いだ 黒龍は……二人を見送り……ため息を着いた 「………知っていたんだ……お前……」 黒龍は閻魔に少しの恨み言を言った 「……虹色に光る魔界はとても美しい…… 皇帝閻魔が魔界を去る時に遺して行った言葉です 妖精が飛び交う魔界は、とても美しかったそうです 天魔戦争の時……殆どの妖精は魔界から消えました この前……炎帝が魔界に来た時…… 魔界最期の妖精が……消えたそうです…… 彼と炎帝は約束したそうです 魔界に妖精を戻し、かっての皇帝閻魔が愛した魔界を作ると…… それは創造神も望んでらっしゃるそうです…… 炎帝が望んでるから…… 叶えてやる為かは解りませんが…… 果樹園にする場所は恵の光が差し込むそうです 月光が差し込み……祝福された光が常に果樹園を包む そこに妖精は棲み着くそうです…… 試験的に果樹園に種をまきに行くと言うので土を耕して農地を作りました 八仙が農耕の小人を遣わしてくれました 農耕の小人は果樹園の奥に住処を構え魔界で暮らします 農地に種をまき、野菜や果物を作る 魔界は野菜や果物を取り入れて行かねば…… そのうち……主食にしている動物は尽きる…… それでなくても近年……不作に見まわれ、動物も減っている このままでは魔界の動物は食い尽くされてしまう 炎帝がそれを危惧しているのです」 「………食べ物の不足……それが続けば飢饉になり暴動が起きる………それをさせない為……なんだな」 「そうです その為にツインクロスタワーを作ったのです 魔族も流行には敏感ですからね 最先端の料理や流行は取り入れようとする 食文化の改善、そして教育 これからの魔界の行く末を変える事になる そうトップは判断して炎帝の考えを受け入れることにしたのです」 「…………親父殿は知っていたんだ……」 「龍族の長は金龍ですからね 古来の神々、龍族、神族、眷族、それぞれのトップが何度も会談を繰り返し話し合いを持った 炎帝は何度も何度も魔界に来て警鐘を鳴らした それが受け入れられたから魔界は変わって行こうとしているのです」 「………知らなかった…… 炎帝を怒らせたな……」 「炎帝は許してくれますよ」 「………どうだろ? 怒ると……俺を避けるからな……」 「人の世に還るのを一日延ばしてくれると言ってるではないか 彼は……デートに来たのです それ以外の事は忘れてくれる!」 「………だと良いけどな……」 「本当に君は……炎帝絡みだと強気じゃないですね 他には強気でバンバン我が逝く道を通してるのに……」 「………炎帝に嫌われたら死ぬ……」 一番愛してるから……嫌われたくない 「嫌いって言ったら私が怒ってあげます」 「それって………情けなくないか?」 「気にしない気にしない」 「お前が炎帝を怒れる筈ないじゃねぇかよ?」 「そんな事ないです めっ!……と何時も叱ってます」 それって叱ってないよな? そう思い黒龍は笑った 「友よ……」 「何ですが?」 「俺は魔界が大好きだ…… お前が納める魔界を護る……」 「私も魔界が大好きです 共に……逝ってください友よ……」 二人は見つめ合い…… 硬く互いの手を握りしめた 想いは…… 共に逝く事だけだ 炎帝がいる魔界を護り通して逝く事だけだ…… 【デート】 青龍と炎帝は馬に乗って魔界一の繁華街へと出掛けた 繁華街の中心にはオープンしたばかりのツインクロスタワーが建っていた 馬付き場に馬を駐めて、タワーの中へと入って行く このビルは人間界の最高峰の脇田誠一のデザインと設計で建っている 一晩で成木になる硬い木を加工して基礎を作り 龍の骨を鱗を粉砕してコンクリートの変わりに外壁に使った 耐震性にも優れ、尚且つ機能的 大蛇がエスカレーターの代わりをして客を上の階まで運ぶ 炎帝と青龍はビルの中を手を繋いで移動した 非常階段も作ってあり階段での移動も可能だ 青龍と炎帝は階段で上がっていった 「すげぇな……服とか売ってるじゃん…」 炎帝はデパート並みに陳列する商品を眺めて感嘆の息を吐いた 「そう言えば……皆お洒落な服とか着てますよね?」 「魔界の通貨はあってねぇようなもんだったからな… 仕事の幅も広がって、色んな奴が生きてく為に何かしらの役職を持って金を使う様になったからな」 「レストランで何か食べますか? 閻魔から貰った軍資金範囲内でお願いします」 「ならは、先に遊園地に行くか?」 「良いですね」 ツインクロスタワーの外に出て、遊園地へと向かう 遊園地では人間界さながらのアトラクションがあり 結構楽しめた 帰りにツインクロスタワーのレストラン街で食事をした 「美味ぇな…」 「ええ。君と食べるから物凄く美味しいです」 ラブラブの炎帝と青龍は何処へ行っても皆が振り返った 婚姻は魔界全体に告げられていたが…… あんなに穏やかな顔をした炎帝と言うのは、知れ渡ってなくて…… 皆、足を止めて振り返った 「………何か疲れたな…… 還ったら風呂に入ろうぜ」 「僕も疲れました」 二人は帰宅の途に着いた 天馬に乗り込み炎帝は自宅に向けて走った その横に並び青龍も風馬に乗って駆ける 炎帝の邸宅に到着すると服を脱いで湯殿を目指した お湯めがけてダイブすると、お湯が青龍の顔に跳ねた 青龍もお湯の中に入り、炎帝を引き寄せた 「大人しく入りなさい」 そう言い口吻ける 「青龍……楽しかった…」 「僕も楽しかったです」 「明日は種をまきに行こうな」 「ええ。君となら何処へ行っても楽しいです」 「オレも……青龍といるだけで幸せだ」 「ベッドに逝きますか?」 「龍になれよ、洗ってやんよ」 「疲れてませんか?」 「久しぶりの魔界だったからな 疲れてるけど、青龍を洗えねぇ程じゃねぇ」 青龍は嬉しそうに炎帝に口吻けると龍に姿を変えた 湯殿に龍がデローンと寝そべっていた 炎帝は聖樹の葉っぱから作った石鹸を泡立てた 聖樹の葉っぱのオイルと、朝一番に取れる朝露で作った雫と花の香料を数種類入れて作った石鹸だった 青龍の体躯を花の匂いが包む 鱗の一枚さえも大切に磨きをかけられて 青龍は本当に気持ち良さそうに寝そべっていた 「気持ちいいか?」 「ええ……気持ちいいです」 「オレ、青龍を洗えるなんて想ってなかった…… だからお前を洗ってると……物凄く幸せな想いになる 青龍が龍の姿を見せてくれる時、めちゃくそ幸せな気持ちになる……」 「………炎帝……」 「お前……自分の龍の姿は嫌いだって……言ってたろ?」 昔……青龍の絵を描きたいと申し出た絵描きに…… 『私は自分の姿が大嫌いなのに…… 大嫌いな姿を描かれたい訳がないです! 二度と私の前に出るのは止めて下さい でないと牢獄送りにしますよ?』 と画家を脅して……諦めさせた それを炎帝が知っているというのか? 「………あの絵描きな……オレの頼みを聞いただけなんだ……悪かったな……」 炎帝は当時を想って謝った 「………君が……僕の絵を欲しがった……と言う訳ですか?」 「………そう……青龍の姿を眺めていたかったからな…… 絵に描いて貰おうと想った…… 青龍が自分の姿を嫌いだなんて知らなかったからな…… でも今……青龍が龍の姿をオレに見せてくれているってのは特別な事なのかなって……嬉しかったりするんだ」 炎帝はそう言い、照れ臭そうに笑った 「………君こそ……僕の龍の姿なんて見て…… 嫌悪はわかないのですか? 僕は龍としての誇りはあります ですが……龍の姿は好きになれなかった…… 祭事で龍になると……皆の目が変わる…… 私は好きだというが……龍の姿の私は……おぞましいとさえ言われた……」 「オレは蒼い龍が大好きだ オレだけの蒼い龍だ……誰にも渡さねぇ…… オレはこんなに綺麗な龍は見た事がねぇ…… お前の総てを愛してるかんな オレは龍のお前も大好きだ こんな綺麗な生き物がオレを好きなのが奇跡だと想ってる……」 「………炎帝……君のモノです 僕の姿も、命も、鱗一枚も髪の毛一筋さえも…… 僕の総ては総て君のモノです 愛してます奥さん…… 君程に僕を愛してくれる人なんていない…… 龍の僕も君にだけ愛されれば良いのです」 炎帝の愛する蒼い龍は赤い舌を出してペロペロと炎帝を舐めた 炎帝は湯殿からお湯を汲んで、青龍の泡を落とした 泡が落ちるまで何度もお湯を汲んで、綺麗に体躯を流した 青龍は人の形になると、炎帝を抱き上げてお湯の中へ入った 広い湯殿に炎帝を抱き上げて入った 手足を伸ばし、寛ぐ 青龍の上に乗っていると……… お尻に青龍の熱いのが当たって…… 「青龍……ベッドに行くか?」と問い掛けた 青龍は炎帝の乳首を指で捏ね回し……口吻けた 「ベッドに行くまで持ちません…… 素股で良いです……僕をイカせて下さい」 青龍は炎帝を立たせて湯殿縁に手を着かせると、背中から覆い被さった 炎帝の股に青龍の熱く滾る性器を挿し込むと…… 青龍は抽挿を始めた 素股で擦り上げられる快感に……炎帝は仰け反った 青龍の性器は長くて大きい…… 龍から人の形に変わると……龍の名残か少し……長くて…… 素股で挟まれると……陰嚢から性器にかけて…… 擦り上げられる事となり……エラがコリコリと刺激するから…… 手や口でやられる時より……もどかしい 「……あっ……あぁん……青龍……イクっ……」 炎帝は湯殿縁を強く握り締めた 「イッちゃいなさい……僕もイキます……」 二人同時に達した はぁ……はぁ……と肩で息をしてると、お湯で精液を流された そして用意された布で炎帝を包むと抱き上げた 全裸の青龍の姿は、引き締まって見とれる程に格好良い そんな全裸で歩いて使用人に見られたら……どうするんだよ? と炎帝は無駄な心配をする 青龍はそれを知ってか知らずか……優しく微笑み炎帝に口吻けた 寝室まで向かうと青龍は 「ドアを開けて下さい」と炎帝に頼んだ 炎帝はドアを開けると、青龍が足でドアを蹴って閉めた ベッドにそっと下ろされると…… 青龍が炎帝にのし掛かった 「愛してます炎帝」 そう言い炎帝に口吻け 「君しか愛せません ずっと……ずっと……僕は長い片想いをしてました」 そう言い啄む様に口吻けされる 「君を失えば僕は狂います…… こんな世界など消えてしまえば良い…… ………と、僕は暴れ狂います 僕の事を君のストッパーと言いますが、僕のストッパーは君です 僕の方が君をなくせば狂います」 狂って…… この世の総て恨む そして破壊する 君のいない世界など要らないと…… 総て壊すだろう 「ならオレと共に逝くしかねぇな!」 炎帝はそう言い笑って口吻けた こんな言葉をくれるのは炎帝しかいない 「………そうです…… だから置いて逝かないで下さい…… 僕だけ愛してください 他を見るなら……この手で……息の根を止めます 君の瞳に……僕以外が映るなんて……許さない! 君の瞳に映って良いのは僕だけです」 青龍はそう言い炎帝を強く抱き締めた 「……どうした?青龍 今日は駄々っ子みてぇに可愛いな」 抱き締める青龍の頭を優しく撫でた 旋毛に口吻けを落とし…… 「オレはぜってぇに青龍を離さねぇ! 共に逝く相手はお前だけで良い お前は空っぽのオレに遺された唯一無二の存在 お前をなくせばオレは破壊神になって総てを破壊する お前のいない世界でオレは生きる気がねぇ…… こんなオレを愛してくれるのはお前だけだ…… オレが欲しいのはお前だけだ 他は要らない……青龍、オレはお前が欲しい」 熱烈に口説かれ…… 青龍は理性が引き千切れそうだった この子は何時もタチが悪い 炎帝は青龍を見上げた 潤んだ瞳で見上げられ…… 青龍の理性も尽きた 「………舐めてぇ……ダメか?」 「ダメなんかじゃないです 舐めて下さい 好きなだけ……そのお口で味わって下さい 総て君のモノです」 炎帝は青龍を押し倒すと、上を突いて聳え立つ性器に口吻けた 亀頭の頭をぺろぺろ舐めて、口に咥え吸い上げた 「………ぁ……炎帝……イッてしまいます…」 感じる青龍の声が好きだ 自分が青龍を感じさせていると想えると堪らない 炎帝は青龍の皮を下まで剥くと、肉棒になぞって舐めた そして傘の開ききったエラを吸った エラの下のイボイボを逆撫でて舐めると…… 肉棒を取り巻く血管が更に浮き出て……かなりグロテスクになった 舌で血管のドクドク脈打つ感じを味わう 自分が与えている快感だと想うと…… 腸壁がザワザワと蠢く はしたなく蠢く秘孔がヒクヒク震えているのが解った 炎帝はそれを青龍に気付かれる事なく…… 股を閉じた そして青龍を追い詰める為に口淫に没頭した 亀頭の割れ目からは止め処なくカウパーが溢れ…… 口を開き……射精は近そうだった 炎帝は肉棒を上下に扱き口に咥え吸った 青龍は炎帝の顔を剥がした 「……あんで?」 イカせたかったのに…… 瞳が物語っていた 「イキそうなので……君の入り口に擦り付けて……イカせて下さい」 ローションもない現状で、舐めて解す時間も惜しい だけど下準備しないと炎帝に苦痛しか与えない それは嫌だった 炎帝は青龍の上に跨がって乗ると、熱く滾る性器を秘孔に擦り付けた 肉棒で蕾を解す ヌルヌルとカウパーを擦り付けて滑りを良くする 少し挿れて抜く…… 焦らすつもりが焦らされて…… 青龍は炎帝に口吻けた 「………焦らさないで……炎帝…」 「焦らしてねぇよ お前を欲しいのはオレの方が強い……」 「もっと欲しがって…… 僕も欲しがります だからもっと……もっと……欲しがって…」 青龍は炎帝の腰を掴むと……性器を突き上げた ズブズブと……青龍の性器を飲み込み…… 一つに繋がる 「……ぁ……深いって……」 いきなり奥まで貫かれて炎帝は仰け反った 「奥までいかせて…… そしたら君の良い所を擦り上げてあげます」 「……青龍……青龍……吸って……触って……」 炎帝は乳首を摘まんで、青龍に強請った 青龍は炎帝の乳首を摘まむとペロペロと舐めて吸った 「炎帝、触って……」 炎帝の手を掴むと結合部分に触れさせた 「繋がってる…… 解りますか?僕と君が一つに繋がってるって…」 「……解る……嬉しい……」 「僕も嬉しいです…… こんなに僕を欲しがってくれて……」 青龍のカタチに纏わり付く腸壁に感じて口にする 炎帝の指を結合部分から挿しいれる 「……ゃ……切れるってば……」 「切れたら痛くなくなるまで舐めてあげます それよりも……解りますか? 君の中……僕に纏わり付いて離しません」 炎帝はカッと顔を赤らめた はしたなく纏わり付く腸壁なら自覚がある 青龍のカタチを覚えていて 青龍が挿入って来ると… 歓喜して纏わり付いて蠢き煽動が止まらない…… 乳首は尖って震え…… 全身で青龍の存在に歓喜する 「………青龍が挿入っているって想うだけで…… オレは嬉しい……オレだけがお前を感じさせられるって想うと……堪らない……」 「僕もそうですよ 僕だけが君を感じさせられると想うと…… 止まりません」 青龍は激しく抽挿を早めた 中を掻き回され、貫かれて…… 炎帝は青龍の背に縋り付いた 「………一緒に炎帝……次に突き上げたらイキます……」 そう言うと奥まで貫かれた 炎帝は扱かれる事なく逐上した…… 炎帝の奥深くで熱い熱を感じて…… 炎帝は青龍の胸に顔を埋めた 汗で濡れた背中を抱き締めて甘える 中にはまだ萎えない青龍の肉棒が挿し込まれていた 「……人の世ではvalentineだな……」 炎帝が言うと青龍は口吻けを落とした 「僕はvalentineなんかに興味はなかったです でも良いものですね…… 君と一緒に迎えられるイベントは本当に楽しいです」 「オレも……青龍と一緒に迎えられるイベントは好きだ この命が尽きても……お前と共にいたい…… 青龍しか愛せないからな離さないで欲しい…」 「本当に君は……」 タチが悪い…… と呟き青龍は炎帝に口吻けた 舌を挿し込み……口腔を味わう 舌と舌が搦まり合い口腔を暴れる 嚥下できなかった唾液が唇の端から流れ出て…… 炎帝を妖しく濡らしていた 止まらない情交に…… 抽挿が激しくなる 尖った乳首を吸うと仰け反った その鎖骨に青龍は噛み付いた 痛みが襲う その痛みを快感に変換して感じていた 「痛ぇってば……」 歯が痒いのか……青龍は良く噛む しかも鎖骨に噛み付く 痛みを快感に変換出来る様になったのは何時からか…… 自分も大概やられてるな……と炎帝はクスッと笑った エッチの最中に笑われて青龍は 「余裕ですね!」とギロッと睨んだ こんなに欲しくて夢中になってるのに…… 何を考えていたんですか?……と青龍は迫った 「噛まれても気持ち良いなんて…… オレも相当やられてるかんな そう考えたら笑えただけだよ!」 炎帝が言うと青龍は笑った 「愛してます 全部僕のです だから印を付けたい…… 全部僕のだって痕を遺したいのです」 「全部青龍のだ」 「奥さん……もっと奥まで……イカせて下さい…」 青龍は炎帝をベッドに押し倒すと… 脚をグイッと持ち上げた 秘孔と性器の隙間もなく挿れられる それでも奥にイカせて……と……挿し込まれ足を開かされた クルッと俯せにさせられ……お尻を左右に開かされた これ以上挿入らないって所まで挿れられ揺すぶられ…… 意識が朦朧となった それでも求められ……受け入れ続けた 背後から抱き締められ……挿入され脚を持たされた 疲れて緩む脚を……何度も何度も持たされて…… 泣きながら哀願した 「……イカせてぇ……ねがっ……あぁっ……」 射精出来なくても感覚はイキっぱなして…… 更に敏感になる そんな乳首を吸われて、捏ね回され…… 炎帝は気絶した 炎帝と青龍のHAPPYvalentineは更けて行った 青龍はこんな甘いvalentineなら大歓迎だな と幸せそうに笑った 青龍は炎帝を抱き締めて眠りに落ちた

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