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第37話 蕩ける愛
飛鳥井の家のキッチンは今日も笑い声が絶えなかった
そして部屋中を蕩ける程に甘い匂いが包み込んでいた
この日康太は真贋の仕事で純白の着物を着ていた
秘書の西村が「この家は何時も美味しそうな匂いがするな!」と笑って言った
「もうじきバレンタインだかんな
慎一がオレの知り合いにチョコの作り方を伝授してるんだよ」
「今はチョコだが、料理の時もあるのだろ?
マメだな、この家の男どもは!」
榊原も料理をするのを知っている西村ならではの台詞だった
康太はキッチンに顔を出すと堂嶋幸哉と一ノ瀬里聡哉と悠太と葛西がいた
康太は「葛西もチョコやる奴いるのかよ?」と笑って問い掛けた
葛西は「違いますよ!悠太の部屋で生徒会で使う草稿を作っていたんです
そしたら慎一さんか昼食です!と呼びに来てくれたので……お言葉に甘えたのです」と慌てて弁明した
「沢山食え!
寮の飯よりうめぇだろからな!」
康太が言うと慎一は「康太はお昼どうします?」と問い掛けた
「オレは良い
昼は依頼人と会食だかんな
飯食いながら依頼を聞く予定だ」
「そうですか……なら還って来たら何か食べられる様に支度しておきます」
「ありがとうな慎一」
「気を付けて……行ってきて下さい」
「おう!」
康太は西村に引き摺られる様にしてキッチンを後にした
悠太は「康兄……忙しそうだね…」と呟いた
慎一は「真贋の仕事は一日に一つ、と決めていたのですが、追い付かない程の依頼を抱えているみたいですね」と事情を話した
雪哉は「伊織さんと一緒ではないのですね」と一人で行動する康太を見て言った
「秘書の西村は真贋の為だけの秘書です
真贋の仕事をする時は伊織は同行しません」
離れ離れの恋人に違和感を感じる
あの二人は何時でも一緒だと勝手に想っていた
雪哉は家に還って正義にその話をした
堂嶋は、そう言えば国会で康太を見掛けた時、秘書と同行していて榊原の姿はなかったな……と思い描いた
その時の康太は近寄って話し掛けられる雰囲気ではなかった
動く事すら叶わなくて……見送ってしまうしかなかった
「どうしたの?正義さん?」
雪哉に話し掛けられて堂嶋は「……バレンタインデー、康太にチョコをあげるのだろ?
その時は俺も一緒に飛鳥井の家にいこう」と笑って話しかけた
雪哉は嬉しそうに笑って堂嶋の胸に顔を埋めた
願いは一つ
どうか……康太が幸せであります様に……
それだけだった
雪哉は堂嶋の胸に顔を埋めたまま
「慎一君がね、今年のバレンタインデーは蕩ける愛がテーマで作るって言ってた」
「………蕩ける愛……か。
それは雪哉をチョコまみれにしろって事なのか?」
雪哉は真っ赤な顔になり
「………知らない……」と呟いた
堂嶋は笑って強く雪哉を掻き抱いた
この幸せは康太がくれた幸せだ
離れずにいられる現実は康太がくれた現実だ
康太がいなかれば父を憎み、世間を憎んで………
雪哉を手放していた……いや、死なせていたかも知れない
「正義さん……幸せですか?」
「お前は?幸せか?雪哉」
「幸せだよ
この幸せは康太君がくれた幸せなんだよ!
康太君に出逢ってなければ僕は正義さんから離れていたか……殺されていた
今……こうして正義さんの傍にいて笑っていられるのは康太君のおかげだもの
正義さんも結婚しろとか煩く謂われないのは、康太君が根回してくれてるお陰でしょ?
でなければ……独身のままではいられないのは知っている」
「………雪哉……」
「地元の後援者にしても……康太君を敵に回して生きられないのを知っているから、黙認と言うカタチで口を出さない」
「そうだ……『孤高の戦士に妻子は不要!
府抜けた幸せヅラなど見せた日には堂嶋正義は死ぬしかねぇかんな!』と後援者に放った言葉が口を挟ませないでいる
康太がいなくば俺は政治家にはなってはいなかった
三木敦夫や兵藤丈一郎の元で政治戦略の教えを乞えるのは…稀な事だ
政治家として箔がついているからこそ、安曇勝也の懐刀になれた……」
この功績は飛鳥井康太が用意してくれた未来の上に立っているのだ
なのに康太は………
『オレの駒は三木繁雄、ただ一人!
正義、おめぇはおめぇの道を逝け!』
と言い……傍にも逝かせてはくれなかった
安曇勝也が康太の『父親』になって康太に近くなったから、懐刀の堂嶋も傍に逝けることになったが……
それがなくば康太は堂嶋が傍に来る事を許さなかっただろう……
もっと恩返ししたいのに……
『オレに恩なんて返さなくて良い
オレは適材適所配置するが務め!
オレはお前を在るべき場所に配置しただけだ!
………それとお前の親父との約束も在ったからな……
だからオレに感じる恩なんて一つもねぇんだよ』
康太はそう言い距離を取ろうとする
政治家 堂嶋正義を護ろうとする
まるで康太の存在が悪でもあるかの様に……自分の影を見せない
お前は兵藤貴史の為にいる運命共同体だ!
次代の政治家の中心にいるのが堂嶋正義だと言う
康太が言うなら、そうなろう
だが……傍に逝けないのは……嫌だった
堂嶋のそんな想いを知ってか知らずか……
康太は何時も傍へは逝かせてはくれない
それが堂嶋には堪らなく……辛い出来事だった
その頃康太は、そんな堂嶋の想いを知ってか知らずか……
吐いていた
西村は康太の背中を擦りながら、榊原に連絡をつけた
直ぐに榊原が駆け付けて、康太を連れ帰る
西村はそんな二人を見送りため息を着いた
「………お主は何時も……無理ばかりするのじゃな……」
そう呟き……昔を想った
破壊神と呼ばれた神を想った
「………全く……変わらぬなお主は……」
倍速で駆け抜けて逝く背中は……あの頃と今もなんら変わりはなかった
「大丈夫ですか?康太…」
心配そうな榊原の声が心地よい
愛する男の匂いを嗅ぐ
肺一杯に愛する男の匂いを…………ん?甘い……何時もの香りじゃなかった
「伊織……甘い匂いする」
「吐いたばかりでしたね…着替えて来れば良かったですね」
「気にしなくて良い
この甘い匂い……チョコか?」
「解りましたか?
今年のバレンタインデーは康太で型を取ったチョコでも作ろうかと想っていました
でも僕の康太を誰かに一欠片でも食べさせたくはないのです
かと言って一人で康太サイズのチョコは一人で食べるのは大変なので……僕は考えたのです」
オレサイズのチョコ……
目眩がして来た
誰か………止めてくれ……
最近の伊織は少し暴走気味だ
誰にも止められない程にテンションが高い
瑛太には『………拾い食い……なんてしませんよね?なら……何かしらのキノコでも食べたのですか?』とまで謂わしめている現状だった
オレ的には
「伊織、今日も元気が良いね
何か良い事でもあったのかい?」
…………的な台詞を吐きたくなる程だった
それか……考えたくないが……セント・バレンチヌスにでも出逢ったのか?
出逢うとしたら……どんなチョコ喰ったんだよ?
………謎だ
伊織……飛鳥井建設の七不思議にされる程の上機嫌を何とかしてくれねぇか?
「康太……僕のカタチで作ったチョコを君にプレゼントします!
蕩ける愛を受け取って下さいね!」
嬉しそうに言う榊原に康太は……
僕のカタチ??
カタチってアレ………のか?
と思い巡らす
「伊織……」
「何ですか?」
「………お前のカタチで作った………って、アレのカタチで作ったのか?」
「アレって何を指しているのですか?
ちゃんと口で言ってくれないと……」
耳元で囁かれ……耳朶を甘噛みされると腰が抜けそうになる
フェロモン垂れ流しで囁くの……止めてくれない?
「……伊織の……アレ……」
「……アレじゃ解りませんよ?」
舌が耳の穴の奥深くに入り込もうとする
首を竦めて……身震いすると榊原は
「ちゃんと言って下さい」と囁いた
「………お前の……」
康太の指が榊原の股間に伸びて、聳え勃つ硬い盛り上がりに触れた
「……これ……」
「直に…触って下さい……」
「……伊織……路肩じゃ見られちまう……」
「では邪魔されない場所に逝きましょうか
此所からだと僕がチョコ製作の為だけに借りている部屋に逝った方が早そうですね」
「…ばっ……バレンタインデーまでお預けだ!」
無駄な抵抗で、お預けを言い渡す
榊原はグッと堪えて
「良いですよ!
僕は待ての出来る子です
突っ走るしか脳のない駄犬ではありません!」
榊原はあっさりと引き下がり
「その代わり・・・バレンタインデーは覚悟しておいて下さいね!
僕からのチョコを下のお口に食べさせてあげます
とろとろに蕩けて下さいね!
媚薬も少し混ぜておきましょうかね?」
榊原は物凄く楽しそうに言った
バレンタインデー当日
榊原の上機嫌はピークに達していた
会社では飛鳥井建設の七不思議にされる程に……
上機嫌が囁かれた
瑛太は「………世界廃滅の前兆ですかね?」と震え上がった
壊滅でなく廃滅……と言う辺り、瑛太らしいと言えばらしいが………
あまりの謂われようである
玲香は「イオリーブラウンも快調なれば伊織も快調とは……似るのかのう?」と悠長事を言っていた
兵藤は「餌はどうせ康太だろ?」と上機嫌なのは人参をぶら下げられているからだろ?と言ってのけた
真矢と清四郎は我が子ながら…然もありなん…な我が子に……苦笑していた
不気味な程に……副社長が上機嫌だ
誠しやなに流れる副社長の情報
嵐の前の静けさに息を飲む
あの副社長だ!
上機嫌な裏には何かある
警戒されても仕方ない
飛鳥井建設の副社長はそれ程に鬼で、容赦のない男だったから……
広報宣伝部に出向いた榊原に一色は
「甘い匂いがしますね副社長?」と似つかわしくない匂いをさせているのか問い掛けた
「解ります?
連日奮闘していたせいか匂いが抜けなくてね
中々とアレの型を取るのが大変なのです」
「……あの……アレ……って何ですか?」
一色は問い掛けた
だが聞いた後に大後悔した
大後悔は豪華客船の旅だけにしとけば良かった……
と想ったかどうかは定かではないが……
大後悔したのだけは間違いない
榊原は一色の耳元で「僕の勃起したぺニスですよ」と囁いた
………それでチョコを作ったと言うのですか?
「固まるまで持続せねばならなかったので……
何度もやり直ししたのですよ」
「………それを……どうなさるおつもりで?」
やはり男だから興味が湧くのは仕方ない
「下のお口に挿れるんですよ
蕩けるチョコごと舐めて蕩けさせ一つに繋がるつもりです
一色もやりたくないですか?」
「副社長!!やりたいです!!」
「そうですか、なら水野の痴態のムービーを持って僕と来なさい!」
「はい!今すぐ!!」
二人はこうして三時間……会社から消えた
会社に戻った一色は甘い匂いをさせていた
水野は「和正……甘い匂いするね」と問い掛けた
「お前の為だけにチョコを用意した!!
今夜、楽しみにしててくれ!」
「チョコ?………あ!そうか!今日はバレンタインデーだったね!」
「そう。お前の為だけにチョコを用意した
本当に副社長は天才だ!」
ふふふ………と一色が嗤う
水野は……何だか悪い予感しかしなかった
「………今夜……早く寝………」
「させるか!今夜はバレンタインデーを楽しもうな千秋!」
寝たい……とは言わせず一色は楽しそうに
「今夜は寝れると想うなよ」と言った
水野は一色に「………何しに行ってたの?」と問い掛けた
すると水野の手を引っ張ってトイレまで行き、個室に二人して入った
一色は水野の手を取ると股間に触れさせた
「副社長は恋人に自分のカタチを型どったチョコをプレゼントするそうだ」
「………自分のカタチ………って…これ?」
手の中で硬くなるソレを手にして水野は問い掛けた
一色はチュッと水野の唇に口吻け
「そう。俺のカタチをしたチョコを千秋の下のお口に挿れてやるよ」
遠慮したい
それは遠慮するべきだろ?
「……え……遠慮……」
「しなくて良いから!
沢山食べてくれ!
三時間、射精(だ)せずに勃ちっぱなしは結構辛かったぜ!」
「………そんな事謂われても……」
「でも上手に出来たからな家の冷蔵庫に入れておいた!」
副社長に家に寄って貰って会社に戻ったのだと一色は言った
一色も副社長同様………上機嫌で周りを恐怖に陥れた
るんるん♪
スキップしんばかりの足取りの軽さ
何時もなら、死にたくなる言葉の羅列が襲うのに…
書類を見ても「ダメですね!やり直しなさい!」と優しい……
「一時間以内ならやり直しのチャンスをあげます!
一時間過ぎたら受け付けません!
さぁ逝きなさい!デスクに着くまでロスタイムは入れないでおいて差し上げます。」
榊原はそう言うと「10分でデスクに戻りなさい!」と言いタイムウォッチを押した
優しい………
こんなに優しい副社長は……副社長じゃない……
何があったんだ?
後で倍返しにする為に優しいのか?
それとも………拾い食い?
食べちゃいけないキノコでも食べた?
それとも頭を打ったのか?
社員は口々に噂する
副社長が変だ
副社長が優しいから怖い
鬼が天使になる日が来ようとは……
尤も、大天使ガブリエル辺りが聞いたら……
『あの人は龍の上に鬼じゃないですか!
間違っても天使だなんて冗談でも謂わないで下さい!』と怒りそうだが……
天変地異の前触れ
社員達は身震いした
考えすぎなのかも知れないが………
怖くない副社長なんて……あり得ないから……
「康太、今宵はホテルで過ごしませんか?」
榊原から言われたのは就業少し前だった
「おー!今日はバレンタインデーだかんな
伊織はチョコ食わねぇかんな用意してねぇけどな」
「僕が用意してるから大丈夫です」
「楽しみだな!」
康太はそう言い嬉しそうに笑った
バレンタインデーの夜
榊原と康太はホテル・ニューグランドに部屋を取った
部屋に料理を運ばせてディナーを楽しむ
「康太、君の為だけにチョコを用意しました」
榊原はそう言い少し長細い箱を康太に手渡した
康太はそのプレゼントを受け取り、リボンを解いた
箱を開けて………康太は苦笑した
「………これ……」
「解りましたか?」
榊原はにこやかに笑って康太を引き寄せた
「僕のカタチを型どりました」
榊原のプレゼントのチョコは……榊原の性器のカタチをして……黒く箱の中で鎮座していた
「やっぱし伊織の……だよな」
「シリコンで型を取り、その中にチョコを流し込むのです
シリコンで型を取るまでが結構大変でした……
萎えてしまったら僕のサイズとは程遠くなるので……
君のムービーを見ながら、禁欲して挑みました」
「………最高潮のサイズだよな」
「そうです!君に半端なサイズのは渡せません!」
そんな事に心血注がなくても……とは想う
だが愛する男からのプレゼントだ
康太は嬉しくて榊原の想いを受け取った
箱から出そうとすると
「素手で触れてはいけませんよ」と謂われた
「………触らなかったら……食えねぇやんか?」
「このチョコは人の温度を感じて蕩けるので、触れると直ぐに蕩けてしまうのです
そのチョコは、君の下のお口が食べるのです」
………下のお口……
そう言う事か
だからホテルに部屋を取ったのか?
「ホテルの方にはシーツは買い取るのでチェックアウトしたら捨てる様に頼んであります
なので心置きなく、蕩けさせて下さい」
康太は榊原の首に腕を回すと
「伊織が食べさせてくれるんだろ?」
「ええ。僕が食べさせてあげます
君の下のお口が食べた瞬間、蕩けて……僕はそのチョコを食べ君と一つになります」
「伊織の好きにして良い…
伊織がしてくれる事は総て受け止めてやる」
「僕の康太……。
君の中で蕩けて……僕と一つになるのです
僕の康太……愛しています」
「オレも愛している
お前しか愛せねぇ……」
「康太……ベッドに逝きましょうか?」
「おー!逝こうぜ!」
榊原はチョコの箱を持つと康太と共にベッドルームへと向かった
キングサイズのベッドの上にチョコの箱を置くと、榊原は服を脱ぎ始めた
自分の服を脱ぐ捨てると、榊原は康太の服も脱がせた
全裸になりベッドに寝そべると榊原に執拗な接吻を贈られた
蕩ける様な接吻に康太はトロトロに蕩けるて力が抜けた
榊原は康太の腰に枕を差し込むと脚を開いた
康太の秘孔に口吻けすると、ビチャピチャと淫靡な音を立てて舐め始めた
舌と指で康太の蕾を蕩けさせると、榊原は箱に入ったチョコをハンカチで包んで持った
体温を感じさせずにチョコを持つと、チョコは康太の秘孔の中へと挿入って行った
腸壁がチョコに搦みつく……
すると……そこから熱を感じたチョコが蕩けて……
存在感をなくした腸壁が蕩けて逝くチョコを離すまいと搦まり……
康太の秘孔はグチュグチュと音を立て溢れさせた
榊原は蕩けるチョコに口吻けた
グイッと奥までチョコを挿し込むが、押し込む先から蕩けて腸壁は更に熱を孕んで存在を探して蠢いた
「……伊織……欲しい……ぁん……疼く……伊織……挿れて……」
榊原は康太の目の前で聳え勃った性器を握り締めると
「欲しいですか?……コレが?」と見せ付けた
榊原の最高潮のサイズを見せつけられ康太は中が疼くのが解った
「欲しい……伊織……ねがっ……んっ……疼いて中が止まらねぇ……」
「なら開いて……見せてくれなきゃ……」
康太は脚を抱えると、榊原に双丘を開いて疼いて煽動する蕾を見せ付けた
「お前が欲しくて……止まらねぇ……」
「僕が、欲しいのですか?
バイブじゃなくチョコでもなく?」
「オレの愛する男はこの世で唯一人、青龍……お前だけじゃねぇか!
オレはお前しか要らねぇんだよ!」
康太が言うと榊原は恍惚の笑みを浮かべて
「最高の口説き文句です……危うくイキそうになりました」
「ほら、来いよ伊織
オレにお前を食い尽くさせてくれ!」
もうメロメロ……榊原は康太の脚を抱えると挿入した
奥まで一気に貫くと、康太の中を堪能するかの様に動かずに康太を抱き締めた
「愛してます奥さん」
「オレも愛してる
お前だけ愛してる
お前だけしか愛せねぇ……
オレが惚れて惚れて惚れぬいたのはお前だけだ……
こんなにオレに惚れさせた責任とれよ」
康太の中で榊原の肉棒が嵩を増して傘を広げた
想わず康太は「……大きいって……」と呻いた
「君が大きくさせているんです……もう我慢できません……康太……康太……康太………愛してます」
熱に魘された様に榊原は康太の名を呼び愛してると言葉にした
そして尽きる事なく求め合い……
夜が白む頃に……康太は気を失った
それでも榊原は止まらずに康太を抱き続け
完全に朝陽が昇る頃、やっと抜いた榊原は康太を抱き上げてバスルームに向かった
バスタブにお湯が溜まるまで、康太の体躯を洗い
お湯が溜まると康太を抱き上げたまま湯船に浸かった
ポチャンとお湯が顔に落ちて、康太は目を醒ました
「伊織…」
康太は榊原の名を呼んで口吻けを求めた
榊原は康太の唇に口吻けを落とした
「大丈夫ですか?」
「ん……大丈夫だ伊織」
「今日は僕のお膝の上で過ごしなさい」
「だな……どうせ動けねぇからな、そうする」
「チョコ……嫌でしたか?」
熱に浮かれてチョコを突っ込んでしまったが……
後になって冷静に考えてみれば……
バレンタインのチョコを上のお口でなく………
下のお口に突っ込んだのだから……康太は嫌だったかも知れない
康太は榊原にチュッと口吻けをすると
「伊織にされて嫌な事なんて一つもねぇよ……
オレが堪えられねぇのは伊織に……抱かれねぇ事しかねぇ……」
「康太……」
「お前がオレを見て
オレを愛してくれる事に嫌な事なんて一つもねぇよ」
「僕が愛するのは未来永劫、君だけだと約束したでしょ?
もし僕が約束を違える日が来たとしたら……
僕を殺して下さい
そんな日は未来永劫、絶対に来はしない………
だけど万が一、君が僕から離れる日が来たとしたら……
君が僕を殲滅して下さい
でないと僕は………何処までも君を追い掛けて逝ってしまいます……」
「そんな日は来ねぇよ伊織
オレはお前しか愛せねぇからな
だがもしお前が他の誰かを愛すなら……お前は自分の手でオレを葬り去ってくれ…
でねぇとオレは……この地球(ほし)ごと総てを消し去ってしまうから……」
「康太……そんな日は来ません……絶対に君を離したりはしません!」
榊原は康太を抱き締めた
いい加減逆上せるから浴室から出ると、榊原は康太の髪を乾かし服を着せた
そして自分の支度をする
髪を乾かし服を着ると、伴侶の腕時計をはめた
康太は榊原は手を取ると、伴侶の腕時計に口吻けを落とした
「愛してる伊織
愛してる青龍」
噛み付く様な口吻けを榊原から贈られ、康太は嬉しそうに笑った
ホテルの清算をしてレストランに逝くと、ウェイターが「お待ちの方がいらっしゃいます」と案内された
案内されたテーブルに逝くと、瑛太と一生と聡一郎と隼人と慎一が座っていた
瑛太は康太を見るとニコッと笑った
「さぁ好きなのを食べなさい」
「瑛兄の奢り?」
「ええ。愛する弟に奢る為に待っていたのです」
「瑛兄、ありがとう
オレ……めちゃくそ幸せやんか」
康太はそう呟き嬉しそうに笑った
皆で楽しく朝食を済ませると飛鳥井の家まで一旦帰り着替えてから会社へ出向いた
エレベーターを待っていると疲れ果てた水野千秋がエレベーター乗り場にやって来た
後ろを歩く一色和正は艶々で生気が漲り、水野は精魂尽き果てた顔をしていた
濃い時間を送ったのが伺えれた
康太は「お疲れだな千秋」と声をかけた
水野は康太を見て嬉しそうに笑ったが、次の瞬間険しい顔をして
「変態な事をされたので疲れ果ててます」とボヤいた
榊原はクスッと笑って
「蕩けさせて貰いましたか」と水野の耳元で囁いた
水野は真っ赤な顔になり、一色を睨み付けた
康太は「仲良さげで何よりだ」と笑った
「仲は良いですが……アイツは変態でした」
ボヤく水野に一色は「ひてぇな千秋」と拗ねた様に唇を尖らせた
榊原は水野に「チョコ、気に入りませんでした?」と問い掛けた
水野は真っ赤な顔になり
「………チョコを正和のカタチにだなんて……」と思い出して更に顔を赤くした
「それでも君は一色を受け入れたんでしょ?
それは愛しているから……なのでしょ?」
「はい……そうです」
「だからどんな事でも受け入れられるのでしょ?
何だか朝から惚気られてしまいましたね康太」
榊原はそう言うと康太を引き寄せた
水野は真っ赤な顔をしたまま、自分達の階に到着すると下りて逝った
榊原は「幸せそうで良かったですね」と腕の中の康太のつむじに口吻けを落とした
泣いている顔は見たくはなかった
幸せならそれで良い
康太は榊原を見上げ
「愛してるぜ!伊織」と言った
榊原は嬉しそうに笑うと
「僕も愛しています」と見上げる唇に口吻けた
この先も
何年経っても
想いは更に募り
愛を深くさせる
蕩ける愛にズブズブに甘やかし
共に逝ってくれるだろう
だからそれで良い
榊原が共に逝ってくれるなら、何処へ逝こうともそこが楽園となるのだから……
エレベーターが最上階に到着すると先に来ていた一生が待ち構えていた
遥か昔から共にいてくれた友だった
化け物と謂われた自分の傍にいてくれた仲間だった
その時は黒龍以外の仲間は要らないと距離を置いた
それでも近寄って来てくれ、何時も励ます様に一緒に飲んでいた
康太は一生の傍に逝くと
「一生、おんぶ」と甘えた
一生は笑って「あいよ!」と背を向け屈む、背中に康太を張り付けた
「お前の背中は何時もあったかいな」
「お前の為の場所だ!」
一生はそう言い笑った
榊原は副社長室のドアを開けると、康太を背負った一生を部屋の中に招き入れた
榊原は副社長室の椅子に座ると
「奥さん、おいで」と膝を叩いた
一生は榊原の膝へと康太を落とすと、肩をポキポキ鳴らして「珈琲を用意して来るわ」と言った
康太は榊原の膝の上に座ると、榊原の首に腕を回した
「バレンタインデーの夜、力哉はオレの子や家族と過ごしてくれたみてぇだな」
「一生と甘い夜ではなかったのですね?」
それはそれは……と榊原は口にした
「伊織、今夜は家族で過ごそうぜ
オレ達の子と家族と仲間と過ごそう」
「良いですね
バレンタインデーは終わっても僕達の日常は終わりません
僕達の闘いは終わりません
共に逝きましょう……奥さん」
「あぁ………共に……逝こうぜ」
二人は手を繋ぐと目を瞑った
余談
水野千秋はその日椅子に座るのも辛そうだった
そしてついつい昨夜の事を考えて赤面
一色のカタチをしたチョコを贈られ
それだけならまだしも……
そのチョコを下のお口に挿れられたのだ
チョコが蕩けてズブズブになる感触が解る………
貪欲な腸壁がチョコを搦め取って蕩けさせ足りないと催促するから……
止まらなくなり自分から脚を開き一色を誘ってしまった
………あぁ……恥ずかしい……
蕩けている穴を一色の前で開いて見せた
指を突っ込み左右に開いて………
「此処が……正和を欲しがっている……」と言い
一色のペニスを掴んで自分で挿れた
それもこれも………一色が焦らすから……
顔を真っ赤にする水野に一色は耳元で
「千秋、昨夜の事を思い出してる?」と問い掛けた
水野は一色を睨み付けた
涙目で潤んだ瞳がヤバい……
だがそこはやはり水野だった
はーっと息を吸い込むと
「一色室長、この戦略で他社を出し抜く事が出来るとも?」と何時もの出来る統括本部長へと変身した
一色はニャッと嗤うと
「そこは抜かりなく!
我が広報課の人材を持ってすればこれ以上の出来は期待してくだって宜しいです!
ですよね?君達!」
何故か……夫婦喧嘩のお鉢が社員へと回される
「さて君達、本部長はこれ以上の出来を期待されている!頑張るとしますか!」
一色の言葉に社員達は乗せられて突き進む
半ばヤケクソ
でも出来は一目瞭然
もっと先へと我らは駆け上がれると想える瞬間だった
広報課宣伝部は今日もフルパワーで突き進んで逝くのだった
飛鳥井建設は今日も活気に満ち溢れていた
ともだちにシェアしよう!