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第19話
なかなか仕事が上手くいかないらしい事や、それでも努力すら楽しいという事。アズサは仕事の話ばかりで、余程好きなのだとそれだけで伝わってきた。
怜がアズサの歌を聞いてみたいと言えば──顧客のものは全て把握しておきたいのはやまやまでも何しろ数が膨大でそうもいかないのが現状だ──考え込んだアズサに「俺がいいって言うまで探さないでほしい。検索もしないで」と乞われてしまった。
困惑したけれど、もっと胸を張れるようになったら自分で渡すと言われてしまえば頷く他なかった。
「そうだ、アズサさん」
「くん、でいいですよ。呼び捨てでもいいけど」
「呼び捨てはできないかな。じゃあ、アズサくん」
「ふ、はい。何ですか?」
「アズサくんの名字は何ていうの?」
「へ? あー……それは……」
「…………?」
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