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第25話

「アニキ、返事できました?」 「う、まだ……」  昼に届いた梓からのメッセージは、今夜食事に行かないかというものだった。仕事の合間にとりあえず梓の名前は伏せてノリに相談をすると、どこか呆けた顔で感心されるという不思議な反応が返ってきた。  そもそも連絡先を交換したこと自体に驚いて、食事の誘いをどうするか悩んでいる事に更に驚いたらしい。  だってアニキ、今まで誰に誘われても悩みもせずに断ってたでしょとの言葉に、怜は苦笑しながら頷くしかなかった。  今は仕事も終わって、ノリを引き止めてスタジオの外でしゃがみ込んでしまったところだ。どうしたらいいのか分からない。隣に並んでしゃがんでくれたノリに悪いと思うのに、何も決断することが出来ないでいた。 「ねぇアニキ。これは俺のひとり言なんですけど」 「……へ?」 「人間関係ってたしかに大事だけど、アニキの心を磨り減らしてまで新たに持つ必要はないって思ってたんすよね。俺とか加奈とか、分かってるヤツが少しでもいる事がアニキにとって良いんじゃないかなって。それは今も思うっす。でも……アニキが悩んでるのに、なんだか今は嬉しい、っつうか」 「嬉しい?」 「はい。だってアニキ、今までの……苦しんで悩んでる時の顔とは違うっすよ。その人との関係、大切にしてみたいって思ってるんじゃないすか?」 「そう、なのかな」 「少なくとも二週間もやり取りできるくらいには楽しいんでしょ?」 「……ん」

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