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第44話
怜はキッチンに向かい、ストックしてある茶葉の中からアッサムを取り出す。この後寝る事を考えるとミルクティーがいいかもしれない。
怜はマグカップを取り出しながら梓に声をかける。
「梓くんはミルクティーは好き?」
けれど返事がない。キッチンはリビング内にあるので不思議に思いながら顔を上げ、もう一度問いかけた。
「梓くん?」
「あ、はい!」
「ミルクティーでもいいかなと思ったんだけどどうかな?」
「ミルクティー好きです、それでお願いします」
「うん、了解」
梓はぼんやりとしていたのか、僅かに肩を跳ねさせながらそう答えた。
疲れているのかも知れない、なるべく早く切り上げなければと思いながらも、折角だから美味しい紅茶を飲んで欲しいと丁寧にミルクティーを淹れた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。わ、いい匂いする」
「ほんと? 良かった」
トレイに乗せた二つのマグを運び、ローテーブルに置く。
早速ひと口飲んだ梓が、今まで飲んだミルクティーでいちばん美味しいなんて言うから怜は笑ってしまった。
大袈裟だなと思いもするが、紅茶は好きで多少こだわりがあるから素直に嬉しい。怜もあたたかいミルクティーにほっと息をついてから切り出す。
「梓くん、僕の話聞いてくれる?」
「はい、もちろんです」
「ありがとう。三条さんの事だけど……昔付き合ってたんだ。付き合ってたって思ってたのは僕だけだったみたいだけどね。それで──……」
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