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sky high 1
いよいよミュージックビデオ撮影日がやってきた。
朝8時に理玖は神田駅の西口改札の前で華笑と待ちあ合わせていた。
「南里くん、お待たせー」
「おはようございます、華笑先生」
急ぐようにやってきた華笑に挨拶をすれば、華笑は理玖の背中をバンッと強く叩く。
「いった!」
「緊張しすぎー。堅いといいダンス、いい表現ができないわよー」
「は……はい……」
(と、言われてもなぁ…)
理玖は少ない時間の中でやれるだけのことはやってきた。
だが華笑の振り付けは後半になるにつれ激しくなっていきどうにも体力の配分が上手くいかない。更に「趣味」の範疇を軽く超える難易度で覚えるだけで精一杯だった。
大学でも同じ時間割の一樹と唯に協力してもらい、空き時間で間違いなどをチェックしてもらい、さながら受験勉強のように頭と体に叩き込んだ。
「改めて思ったんですけど…華笑先生の振り付けマジで鬼っすよ」
「あらーん? 18歳で国際コンクールでだっけ? なんだっけ? ジゼルでしっかり金賞貰ってたのはだぁれ?」
「もう4年も前の話ですから! あの時と比べたら今は身体も硬くなってますし」
華笑がいつものように軽くからかってきて、少しだけ理玖はリラックスできた。
(ジゼル……俺よくあんなに跳べてたよなぁ)
過去の自分の演技を思い返すと感心してしまった。徒歩6分はあっという間で撮影現場に到着した。
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