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ハッピーバースデー 13

 ファミレスを出た後、一度駅まで戻り、3人は帆乃に大学の図書館までの道のりを教える。 「曲がり道も少ないし、看板も頻繁に出てるし、わかりやすいと思うわ」 「はい…」  唯がなぜか帆乃と手を繋いで案内をし、男2人は後ろからそれについていく。  一樹はこっそりと理玖に話しかける。 「なぁ、理玖」 「あ?」 「顔」 「顔?」 「うん。超怖い」 「……は?」 「わかる、俺にはわかってる。鈴野が愛しい帆乃くんを独占していることにヤキモチを、ぐばぁ⁉」  一樹が言葉を言い切る前に理玖は一樹の脇腹に蹴りを入れた。 「おま…よ、よく足が上がるな……」 「まぁバレエやってたし」 「絶対使い方間違ってるよね⁉」 「2人ともー、何やってんのさー。置いてくよー」  唯は呆れたように2人を呼びかける。  それに対して理玖は「うっせー! 早ぇんだよタコ!」と本格的に不貞腐れた。  帆乃はそんな理玖を見て不安になり唯の手を放した。 「ん? どったの帆乃たん」 「あ…あの……やっぱり…み、南里さ、ん……怒って、ます…よね…」 「りっくんが? 何で?」 「お、俺が……鈴野さん、に…甘えてる……から…」 「そんなことで怒んないわよ」 「だ、って…その……す、鈴野さんは……南里さんの…こ、恋人、ですよね…?」  帆乃のトンデモ発言に唯は勿論、後ろにいた理玖と一樹も時間が止まった。 「帆乃くん……」 「帆乃たん……」 「ぷ……あはははははははは! す、鈴野と…理玖、が…恋人ぉ⁉ ひゃーはははははは!」  一樹はその場で腹を抱えてしゃがみ込み爆笑する。  唯と理玖はお互いを見ると「お゛え゛ぇぇぇぇぇ」と青くなった。 「ほ、ほ、帆乃くん……こ、のふ、2人…ど、どこが恋人、なの? くくく…ひゃーはははは!」  笑い苦しみながら一樹が訊ねると、帆乃はキョロキョロしながら顔を赤くする。 「帆乃たん…私はね、細くてもマッチョとナルシストはお断りなの!」 「俺はフツーに可愛い子がタイプだから鈴野はないわ」  2人は本域で否定する。 「そ、そうで…す……か…」 「そーなの! だから……って、帆乃たん⁉」  帆乃は何故かポロポロと涙をこぼしていた。 「あ…あれ…? あれ…?」  唯は慌ててしまい自分の頭を抱えた。一樹は唯に「落ち着け!」と諫める。 「何、で…俺……」  帆乃は手の甲でゴシゴシと涙を拭うが止まらない。理玖は帆乃の手をとって速足でその場から離れさせた。

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