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ハッピーバースデー 21
帆乃が落ち着いてから2人はスタジオを後にした。
一樹が帆乃を代々木公園駅の改札まで送ると別れ、帆乃は電車に乗る。
電車のドアの近くに立つと帆乃はスマートフォンにイヤホンを接続し、崇一に入れてもらった新曲のサウンドを聞く。
「スノードロップ……慰め、希望………恋の、最初の…眼差し…」
昨日と今日で調べた花や石や星、それらにまつわる神話や言葉でふと思い浮かんだのはやはり魅入られた「snow drop」だった。
もう一度最初から音楽を流して、目をつぶり頭の中で歌う。
曇り空を割る光が あったかくて
哀しかった日々は もう消えそうだね
白くて美しいものに憧れてた だから
手を伸ばして 触れて泣いてしまう
彩 の花たちが咲き始めるころを伝えようと
真っすぐ 空を仰いで 目を閉じたんだ
温かな貴方に寄り添いたいと思う
きっと同じ鼓動を感じてくれてる
温かな貴方に寄り添いたいと思う
願いを叶えて 手を繋ぎたい
(サビのとこは…欲張りすぎかな?)
不安になっても、まだ少しは嬉しくて、願うだけなら許してもらえそうで、帆乃はクスっと笑う。
だから帆乃は決めた。
(この気持ち……これは俺の勝手で、南里さんには迷惑に決まってる。だから、絶対に伝えない…絶対に、もう……)
「ただの、idと…ego……」
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