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ハッピーバースデー 25
保健センターに到着し、看護師の指示に従い理玖は帆乃をベッドに横たえた。
すぐに医者と他の看護師もやってきて帆乃の容態を確認するためにベッドの仕切りのカーテンが閉められ、理玖たちは退室させられた。
山江と古谷も帆乃のことを心配しついてきた。一樹は話を切り出す。
「なぁ、さっき丸川から聞いたことがもうひとつあって……帆乃くん、橘さんと一緒にいたらしい」
「……橘さん? 何で?」
理玖は驚いて、そして眉間に皺を寄せる。
すると山江と古谷は少し考え込み、気まずそうに口を開いた。
「実はさ…私らも第10行く途中で小耳に挟んだんだよね」
「橘って4回生の去年のミスター成堂でしょ? 下級生たちがキャーキャー騒いでたし」
「そ、『橘先輩、イケメンで迷子を親切に案内する優しい人ー』って」
「……でも、何で橘さんが………」
理玖は橘 史哉と帆乃のつながりが分からずに混乱する。
「南里くん、その、帆乃くんって子の荷物に身分とか分かるものないかな? 保険証とかマイナンバーとか学生証とか…」
「あ……」
「それ確認したら? 多分看護師さんたちからも訊かれるだろうし南里くんたちが把握してないと」
古谷がそう提案すると理玖は躊躇 いつつも帆乃のスクールバッグを開けた。
「りっくん! カズキング!」
「お前らマジ勝手……って何で山江と古谷もいるんだよ」
バッグを開けたタイミングで学食に置いて行かれた唯と丸川がやってきた。どうやら一樹が居場所を報せたようだった。
理玖以外の5人がワイワイと話していると理玖はバッグから学生手帳を見つけた。そしてパラパラとめくり、裏表紙に学生証が挟まっているのがわかった。
「成堂大学付属北成堂男子高等学校、3年5組、出席番号17番……」
_____ 橘 帆乃
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