「帆乃く…ん……」 　理玖はそっと顔を近づけて、涙が零れそうになっている帆乃の目尻にそっと口づけをした。 （最初は、多分鈴野と初めて会った時と同じような感情だって思ってた…同情というか共感というか……やっぱ俺が１番俺のことわかってなかったわ…） 「大丈夫、俺も好きだよ」 　帆乃のひたいに自分のひたいを合わせて囁く。 （だからこんなに、悔しくて苦しくて…痛くて、許せなくなってる……帆乃くんを傷つけている奴を） 　今度はひたいにキスをして、理玖はローテーブルにノートパソコンを置くとワープロソフトを起動、新規作成をクリックする。 　スマートフォンに入れていたidの新曲を聴きながら、理玖は文字を打つ。 　何度も　何度も　何度も　言ってるだろ　叫んだだろ 　だけど　なにも　ないと　勝手に言うだろ　何故だろう 　何度も　何度も　何度も　叫んだだろ　此処にいると 　そうか　そうか　わかった　解放していない　俺自身が 　衝動　衝動　衝動　衝動 　ああ　抑えて　抑えて　堪えて生きなさい 　衝動　制動　抑制　理性 　ああ　泣きそう　泣きそう　耐えられない 　 　「どうせ無駄」「できやしないから」「こっちに来るな」 　諦めた人生 　ほら生きるのつらい 　蹴落とされ　罵倒されて　燃えた煙草を　また押し付けられた 　痛いよ　痛いよ　痛いよ　もう感じないや　感覚無いや 　なにも　しない　なにも　心は守れるし　無関心であれ 　痛いよ　痛いよ　痛いよ　いつか終わろうか　この命が 　それで　そうか　わかった　お前らの望む結末 　これだろ？ 　Why do I have to behave unreasonably？(なぜ自分だけ理不尽を受けないといけない) 　Why am I the only one who says terrible words?(なぜ自分だけ罵倒されないといけない) 　Dirty,(汚ない)　Disappear,(消えろ)　Dead,(死ね)　Fxxk,(クソ)　Not worth living(生きる価値がない) 　Will live,(生きたい) Will live,(生きてやる) May the cry reach you(この叫びをきけ) 　衝動　衝動　衝動　衝動 　ああ　抑えて　抑えて　堪えて生きなさい 　衝動　衝動　衝動　衝動 　ああ　抑えて　抑えて　堪えて生きなさい 　衝動　衝動　衝動　衝動 　あれ？　どうして　涙が　泪が　ナミダが 　衝動　衝動　制動　抑制 　ああ　俺　生きてんだ　ならば　　「慟哭(どうこく)」