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ハッピーバースデー 40

「え…っと……み、み、南里、さ」 「帆乃くん……俺と出会ってくれてありがとう……本当に…帆乃くんと出会えて良かった」 「え……」 「俺さ、色々と逃げてばっかで、面倒だと思うことと向き合うことって避けて…それで何となくずっと上手くやってきて、他人(ひと)を信じないとか何とか言ってさ……それで色んなもん失っても『まぁいいや』って……だけど、帆乃くんだけは…帆乃くんだけ、は…絶対失いたくないって……こんなん初めて思ったんだ」 「……みな…さ、と……さ…ん……」 「帆乃くんからは逃げない…帆乃くんが抱えてるものも全部抱えてやる…俺にとってそんだけ帆乃くんが大切だって気付いたよ……」  理玖は帆乃と視線を合わせて意を決する。 「帆乃くん、好きだよ。ずっと一緒にいてほしい」  常夜灯と窓から漏れる街灯の光だけ、そんなわずかな光量でも理玖の愛しいと伝える表情が帆乃によく視えた。 (あの時の…優しい眼が……俺に……) 「いいんですか? 俺……も……南里、さん……好き…で……」 「好きでいてくれたら嬉しい」 (絶対に伝えないって決めてた、迷惑かかる、普通の感情じゃないから、だけど…俺は…) 「す……き……です……」  帆乃が返事をすると、どちらからともなく顔を近づけて唇にキスをした。

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