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snow drop 2
「んだテメェら…勝手に入って……てか何で⁉ 昨日鍵かけた…」
「お姉様から合鍵を預かってるもんでな」
「何でだよ‼」
一樹は理玖の部屋の合鍵を得意げに見せる。帆乃はちらりとその鍵を見ると胸がもやっとする。
「ったく姉貴のやつめ…」
「それより換気しなよー。帆乃たんをこんなイカ臭い部屋に置いとくつもりー?」
唯は鼻を摘まみながらレースカーテンと窓を開ける。
理玖は大きなあくびをしながらベッドから降りようとしたが、隣で枕に顔を埋めてうつ伏せになっている可愛い恋人を抱き枕のように抱き着く。
「ほーのくん♡ おはよっ」
「ふにゃ⁉ 理玖さん…」
「んー…何で起こしてくれないのー? こいつらなんかに起こされたくなかったのになぁ」
「だって…理玖さん、よく眠ってたので…」
「別に良いのに」
理玖は帆乃の唇に軽いキスをした。それを見た2人は悲鳴を上げる。
「ぎゃあああああ! カズキング…りっくんが…りっくんがああああ!」
「理玖……お前、本当に理玖なのか⁉ 知らない! 俺はこんな理玖を知らない!」
「そそそそそそれに帆乃たんまで……私の帆乃たんがああああああ!」
唯は錯乱して理玖から帆乃を奪い返そうとするが理玖は帆乃を自分の腕に収め、軟体を生かし唯の手を足で止めて抵抗する。
「お前のじゃねぇ、俺の帆乃くんだから。ね、帆乃くん」
「へ……えーっと……はい…」
今度は唯に見せつけるように、理玖は帆乃を味わうようにキスをした。
「り……りっくん……そんな…なななな生の三次元BL…たまらんですあざまーす!」
「んぁ…はぁ……理玖さぁん…! こーゆーのは…2人きりの時だけにして…」
帆乃は恥ずかしさで頬を膨らませて理玖を見上げた。
「ごめんね、そこの眼鏡をちょーっと黙らせたかったから。さ、起きようか」
理玖は帆乃と一緒にベッドを降りて、一樹にローキックをして洗面所に向かう。
着ていた寝巻のシャツをを脱いで、顔を大雑把に洗うとパンツ一丁のまま洗面所から出てきた。
「ねぇ、仮にも女子がいるんですけどぉ」
「あ? 女子って?」
「もういいです」
唯がいることは気にも留めずクローゼットから服を適当に取り出して着替えを済ます。
「あ、一樹ぃ。帆乃くんに服貸してやれよ」
「は? 別にいいけど何で?」
「帆乃くんと身長変わんないじゃん。俺の服、小さめでも帆乃くんには大きいし」
「それは背が高いことを遠回しに自慢してんのか」
(理玖さん、何着てもスタイルいいからカッコいいなぁ……)
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