84 / 175
snow drop 3
洗濯機を回し始めると理玖は帆乃の隣を独占する。唯は冷蔵庫から500mlペットボトルのミネラルウォーターを帆乃に渡して隣を奪おうとするが、理玖に阻まれて失敗する。
「てか今何時?」
「9時過ぎ。りっくんにしちゃお寝坊さんだね」
「まーなー…あ、香島さんに連絡しねーと。とりあえず俺と一樹でコンビニ行ってくるわ」
「何で俺も⁉」
「財布」
「ふざけんなぁ! お前、ダンスのギャラ入ったんじゃねぇのかよ!」
理玖は立ち上がって一樹の首根っこを掴んで立ち上がらせる。
「帆乃くん、何か食べたいものある?」
「んー…何でもいいです」
「了解。癪だけど鈴野と留守番しててね。手ぇ出してきたらあとで絞めるからちゃんと言うんだよ」
理玖は帆乃のつむじにキスをして、一樹と一緒に出ていった。
「りっくんがあんなゲロ甘男だとは思わなかったわー…」
「うぅ…」
帆乃は改めて赤面し膝を抱えた。
「歴代彼女を家に泊めたことないし、人前で手ぇ繋いだりもなかったし、恋愛に関しては彼女無関心系クズ男だったからすぐ別れてたし…」
「唯ちゃんは…理玖さんの色んなこと知ってるんですね」
「2年以上一緒にいるからね。彼女いても私やカズキング、あとダンスとか…その時々に楽しいことを優先してたし……友人としては最高だけど、確かに付き合ってそれやられたら彼女はたまったもんじゃないわよね。大体彼女からは『サイテー』って言われてた」
「さいてー?」
帆乃は首をかしげる。そして唯の話を聞きながら胸の中がまたモヤモヤしてしまう。
(そうだよね…俺と違って理玖さん大人だしカッコいいから今まで付き合った人だっていっぱいいるのは当たり前だし……だからあんなに…エッチなことも馴れてるんだろうし……実際すごく気持ちよくてフワフワして……)
「帆乃たん、心の声ダダ洩れてるよー」
「にゃ⁉」
唯に覗き込まれて驚いて立ち上がるが、腰が抜けていてまたふにゃふにゃと座り込んだ。
「…帆乃たん?」
「ま、まだ立てなくて…」
「どんなプレイしたのよりっくん……」
ともだちにシェアしよう!