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snow drop 6
コインランドリーで帆乃の制服と靴を乾かしている間に、4人はすぐ近くのイトーヨーカドーに行き、雑貨や日用品が扱われているフロアに行った。
「えーっと、歯ブラシと箸と、お茶碗…洗面所用のコップとマグカップ…」
「りっくん、何でイロチのやつ買ってんの?」
「は? 俺とお揃い」
「このバカップル! てかりっくんがバカ!」
「理玖さんとお揃い…」
「ほらぁ、さすがの帆乃たんもドン引きして」
「嬉しいです」
「………………もう私はこの糖度に殺 られそうだよママ…」
いつもとツッコミとボケが逆転し、唯は疲れてしまった。
「まぁまぁ、理玖にとってもいい機会じゃん?」
「何が?」
一樹はあきれ顔をしながらキッチン用品を眺めていた。
「理玖って掃除と片付けはちゃんとできるけど、洗濯はテキトーで縮ますこともあるし、料理なんて壊滅的だし…帆乃くんの為に少しはその辺覚えたら?」
「カズキング、それナイスアイデアだわ。りっくん料理ド下手だし」
「頑張って善処するから黙っててくれないか」
3人でやいのやいの言い合っていると理玖のスマートフォンが鳴った。
「あ、香島さんだ」
理玖が通話に出ると、電話の向こうの崇一は泣きそうな声をしていた。
「もしもし」
「南里くん! 昨夜は電話できなくて本当にすまない! 帆乃くんは…帆乃くんは大丈夫?」
「ええ、もうケガの痛みもなくて…今はちょっと外に出てます」
「ちょっと帆乃くんに代わってくれないか? もう心配だし不安だしで昨日も寝れてなくて」
崇一も帆乃のことを常日頃から気にかけて心配しているので、この不安は当然のものだった。理玖は帆乃に「香島さんが代わってだって」と言いスマートフォンを渡す。
2,3分会話した帆乃は理玖にスマートフォンを返し、理玖はもう一度受話器を耳に当てて崇一と話す。
「ちゃんと元気でしょ?」
「ねぇ南里くん…帆乃くん何か変わったことあった?」
「え?」
「こう…なんだろ……電話越しでも幸せオーラというか…見たことないくらいの明るいオーラがひしひしと感じたし……本当に昨日倒れてたの?」
「それは本当です…よ」
理玖は自分と帆乃の新たな関係については隠して濁すことにした。崇一もそれ以上は追求しない。
「今日ね、僕が14時までミーティングがあるから、14時半に渋谷の109 の近くにある電器屋に来てくれる? スマホの修理だったり…あまりに壊れてたら機種変するし」
「わかりました、14時半ですね」
「それじゃよろしくー」
「失礼します」
崇一との待ち合わせを決めて、理玖は時間を気にする。
「あ…そろそろ乾燥機、終わるんじゃね?」
「もうそんな時間経った?」
「じゃあ会計したら戻ろうぜ」
理玖は会計をしにレジに並ぶ。唯と一樹と帆乃は先にコインランドリーに向かった。
それから理玖の家に帰宅すると、帆乃は制服に着替えて荷物をまとめる。
理玖は帆乃に抱き着き支度を邪魔し、一樹に制止される。冷静で常識人な理玖の姿はそこになく、だが一樹はそれがどこか嬉しかった。帆乃も幸せを感じていた。
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