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snow drop 10
帆乃が機種を決めたので、崇一と帆乃は手続きをしにカウンターに向かった。
その間、理玖はすぐ近くのスマートフォン関連のアクセサリーやケースが並んでいるコーナーをウロウロして時間をつぶすことにした。
理玖は自分のスマートフォンを見ると、グレーの手帳型で布製のケースは端の傷やシミが目立っていた。
(この茶色いのって、去年だっけ? 回転寿司で鈴野のヤローが甘ダレ零して俺のスマホにダイレクトにかかったやつ…くっそベタついてキレたわ)
この時を回顧し反省し、新しいケースは布製をやめようと決め、頑丈そうなアルミ製やハードシェルのケースを見回る。
そこに並んでいた中で、空色のグラデーションが綺麗なケースを見つけ、すぐ横には深海のような藍色グラデーションと色違いのケースがあった。空色の方を手に取りじっくりと見る。
(この色……初めて会ったのが〝sky high”のMV撮影だったのもあるけど、帆乃くんってイメージだなぁ…)
一方、機種変更の手続きがそろそろ終わりそうな崇一は、店員が裏に引っ込んでいる間、少しだけ辺りを見回す。
「あんれー? 南里くん、その辺にいるって言ってたのになぁ」
「……あの、社長…」
「ん? どうしたの?」
「俺のこと……その……家のこと…ちゃんと……その…大切な友達には、言った方がいいのか…黙った方がいいのか……わからなくて…」
帆乃は下を向いたまま話す。
「今回のことで、多分…り……南里さん、には…少しだけ勘づかれてると、思うんです。その…体も、見られたので……り…南里さんは何も言わないんですけど…」
「そうか……でも帆乃くんは言葉にできる? 今の自分の状況を」
そう問われると帆乃は首を横に振った。
「俺やハナから説明するのは簡単だけど、それは違うじゃん。帆乃くんはどうしたい? 知って欲しいのか、知られたくないのか」
「………分かりません………でも、なんか…後ろめたいような、気持ち、あるので…」
崇一は帆乃の背中をトンッと叩く。
「簡単なことじゃない、だから帆乃くんの気持ちがもっと固まってからでいいよ」
「………はい」
肩の荷がほんのわずか下りたようで、帆乃は少しだけ顔をあげた。
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