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snow drop 11
「あれ? まだ終わんないんスか?」
後ろから急に声を掛けられて、崇一は少し驚き振り向く。
「みみみ南里くん…いつからそこに」
「さっきですけど」
「というか何処にいたの?」
「ずっとこのフロアにいましたよ。スマホのケース探してたんで」
理玖は持っていたビニール袋からガサゴソと商品を取り出した。
「強化ガラスフィルムと、頑丈なスマホケース」
「用意早いね…でも助かるよ」
「帆乃くんに、誕生日プレゼント」
理玖は強化ガラスフィルムと選んだスマホケースを帆乃に渡す。
帆乃は驚いた顔で受け取るが、困惑の表情になる。
「そんな……もういっぱい貰ってるのに…」
「あれはあれ、これはこれ。それに……じゃーん」
理玖は袋の中に入っていた残り一つの箱を出して帆乃に見せた。
「俺と色違いのお揃い、だよ」
「へ…」
帆乃は自分が持っているスマホケースと理玖が見せてきたスマホケースを見比べた。帆乃が持っているのは快晴の空のような青のグラデーションで、理玖が持っているのは深い海の底のような藍色のグラデーション。
「お揃い…」
「どう? その色が帆乃くんっぽいなって思ってさ」
帆乃はスマホケースをギュッと胸に抱いて喜びを噛みしめる。
「ありがとうございます……嬉しいです…」
帆乃の頭を理玖は優しく撫でた。
そんな2人のやり取りと雰囲気に崇一は違和感を覚える。
(え……何このあまーいような、むず痒いよーな……何かあったの? 二人とも…)
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