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衝動と慟哭 1
「ヤバい……フラれたかもしれん」
翌日、一樹と唯が1時限目の講義室に入ると、負のオーラを纏った親友が机に伏していた。
2人は落ち込んだ男を挟んで座る。
「は? 何言ってんの? あんなに甘々ラブラブいちゃいちゃバカップルしてたくせに」
「だからぁ……フラれたかもしれん」
「何をおいてフラれたと思ってんだよ」
「昨日代々木公園駅で別れた後からメッセ送っても未読スルーされてる」
「…………………は?」
恋に浮かれた女子高生のような回答に唯は伏してるバカ男、理玖の頭を叩いた。
「大の大人が一晩返事来ないだけでメソメソメソメソしてんじゃないわよ!」
「俺も心配して損したわ!」
「だけどさぁ! そのあと電話かけても電源切られてんだぜ⁉」
「それはバッテリー切れたまま寝落ちしたとか考えろよ。私よくやるし」
「帆乃くんみたいないい子がお前みたいなクソ眼鏡女と同じことするわけねーじゃん」
「殺す、絶対殺すクズ男」
「ちょっとお前メッセ見せろ」
一樹は机に置かれていた理玖のスマートフォンを取って、難なくロックを解除しメッセージアプリを確認する。
「うわぁ……キモ」
「はぁ? んなワケねーだろ。フツーだろフツー」
「フツーじゃねぇよ、キモいわ。俺が女なら引くね」
一樹は理玖のスマートフォンを汚物のように摘まんで唯に渡す。
唯もその甘々な文面に吐き気をもよおした。
「帆乃たんなら喜びそうだけど………とりまキモい」
「もういいよ、お前らの意見なんてきかねーから、バーカアーホどーてーもじょー」
「童貞関係ねぇだろ!」
「バカより常識あるわよバーカ」
2人が理玖を見捨てたタイミングで本鈴が鳴り、授業が始まった。
唯と一樹も、昨夜のうちに帆乃にメッセージを送信していたが理玖と同じく未読スルーのままだった。3人は何か嫌な予感をしていた。
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