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衝動と慟哭 3

 画面に映っていたのは、駅の改札前で理玖が帆乃を抱擁してる昨日の様子だった。 「これがただの通りすがって助けただけの仲なのか?」 「………橘さん、何が言いたいんですか?」 「南里、俺の家はみんなが噂をしている通り『いい家』だよ。父は国会議員、住まいは白金台、俺も弟も幼稚舎から成堂大学(ここ)の付属だ。つまり身内の醜聞は立場上許すことができない。それに俺は南里重工から内定をもらってる。自分の弟が君とこんな仲だと知れたら…俺はどうなる?」  理玖はとある単語に反応しはっと気が付いた。唯と一樹は胸にくすぶっていた疑惑が徐々に確信に変化する。  史哉の瞳からはいつものキラキラはなくなり、微笑みも悪党のようだった。 「……橘さん、勘違いしてませんか? 俺のこと」 「は?」  今度は理玖から史哉に2歩ほど近づいて、できる限りに凄んでみせた。 「俺は南里重工と何も関係ないですよ。俺と仲良くしてたっていいことはありませんから…」 「………何が言いたい、南里」  理玖は腕を伸ばして史哉の胸倉を掴んだ。 「世の中あんたの思い通りになると思うなよ…」  理玖の殺気のようなオーラは圧倒的で一樹と唯も顔を青ざめた。  史哉は腰が抜けたのか、理玖が解放した瞬間に地面に膝をついてしまう。 「ご忠告、ありがとうございます。でも俺は、誰かに指図されて大事なモン決めてないんで」  史哉にそう吐き捨てると、理玖は踵を返して正門に向かって走り出した。唯と一樹もそれを追う。 「……アイツ…被害者ヅラして同情させたか……クソが」  史哉の怒りは右手の親指のフリックとタップに込められ、予め用意していたものを拡散した。 「どこまで俺の邪魔をすれば気が済む…目障りなんだよ……死ねよ…」

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